働き方・生き方
BUSINESS SKILLS COLUMN LIST ビジネススキル
【第16回】松本和也氏『惹きつける話し方』7つのルール – 【ノビテクマガジン倶楽部主催講演会】Report
NHKの人気英会話番組「英語でしゃべらナイト」や「紅白歌合戦」で活躍した元NHKアナウンサー松本和也氏をお招きし、松本氏の著書『心に届く話し方 65のルール』の中から、特に重要な7つのルールについてお話いただきました。
ノビテクマガジン倶楽部が主催する講演会の様子を毎回レポートいたします。
自分にとってどんなスキルが必要なのかを把握する
松本和也氏
話し方がうまくなりたい!…と、話し方教室に通ったり、著名人の本を読んだりと、あれもこれも手を出し結局続いてない…そんなことありませんか?
松本氏によると、話し方がうまくなりたい人の動機は、大きく分けて6つあるそうです。また、職業により必要とされるスキルが違います。
自分が必要な基本スキルを把握しないまま、一気にうまくなろうと考えると、本当に必要な話し方のスキルは身につかない、まずは自分に必要なスキルを確認することが大事と、松本氏。
話し方がうまくなりたい動機
・プレゼンがうまくなりたい。 | → 論理性・説得力 |
---|---|
・スピーチがうまくなりたい。 | → 人間性・説得力 |
・アナウンサーみたいに華麗に話したい。 | → 発声・滑舌 |
・知らない人とうまく会話をしたい。 | → 共感力・聞く |
・自分のことばで相手を動かしたい。 | → 人間性・説得力 |
・良い印象を持ってもらいたい。 | → 人間性・他 |
職業による必要スキルの違い
・経営コンサルタント・広報出身者など | → 論理性・説得力 |
---|---|
・アナウンサー・俳優など | → 発生・滑舌 |
・教育者・接客業・人材育成業など | → 共感力・聞く力 |
・カリスマ○○など | → 人間性 |
話し言葉と書き言葉の違い
話下手だと思っている人は、話し言葉の使い方が下手なのが原因。書き言葉と話し言葉の最大の違いは、書き言葉は時間をかけて書き出すことができるのに対し、話し言葉はその瞬間に話さなくてはいけないことだ。
例えば、自分で話が上手だと思っている人も、思いつくままにベラベラ喋っている人が多く、聞き手は「結論は何だろう」「何が言いたいのだろう」とイライラが募る。
真に話がうまい人は、聞き手が何を聞きたいかを考えながら、しゃべることができている。
「惹きつける話し方」7つのルール
話がうまくなるためにおさえておきたい基本ポイントは、以下の2つ。
1)聞き手に負担をかけないこと。(早口で喋る。時間ツメツメでしゃべっていないか)
2)1度聞いただけでわかること。(自分が気持ちいいようにしゃべってしまっていないか)
これをまずは念頭に置くことが重要。そして次は、どのようにすれば「惹きつける話し方」になるのか。そのルールは次の7つとなる。
ルール①構成はシンプルに
まず理解しやすいように、話す順番をシンプルにするのが重要。全てを1度に言おうとしない。結論や要点などをまず「ざっくり説明」し、詳細を「しっかり説明」という順番で話をする。
ルール②一文を短く
息継ぎをせずに一息で話せるのが5秒、文字では25文字以内。この時間、文字数で一文を終わらせるのが理想。文章を繋げると聞き手は理解しにくくなる。
【悪い例】 私は、大きくて枝振りの良い、桜の木を見ています。
これだと、私が何を見ているか、かなり聞かないと出てこないので絵が浮かばない。
【良い例】 私、見ています。桜の木。大きい木です。枝振りも良いです。美しいです。
冒頭から「私、見ています」と始まり、次に何を、どんなが付け加わるのでイメージしやすい。
つまり英語の語順のように、結論から先に話をすると、聞きやすくなる。
ルール③ 使うことばをシンプルに
文章が短いと、聞き手もすっと耳に入るので、心に響き、非常に心地がよい。しかし、どんなに内容が良くても、長い文章を早口で喋られると価値が落ちてしまう。ダラダラした喋りにならないためには、まずは話しことばで文章を書いてみるのが良いです。つまり原稿をつくることが大切で、原稿作りには法則があります。
当日のスライドの内容はどんどん写真に撮って良いとの大盤振る舞い。
わかりやすい話し言葉を作る法則
- ・無駄なことば、曖昧なことばを省く。
- 『○○かなぁと思います。』『○○にしようという風に思います。』『○○という風に思う次第でございます。』ではなく、『○○です。』と言い切る。
- ・接続後で文を続けず、一旦文を切る。
- 『○○でして、△△なんですね、私はですね、このように思うんですね。』ではなく、『私は思うんですね、△△のように。
- ・述語はなるべく前に出す。
- 『私は思うんです。』『私は聞いたんです。』と英語の語順で喋る。
- ・修飾部(形容詞説、副詞節)はそのあとに。
- 重要な情報を前に出すので、付け加えの情報は後ろに回す。
- ・体言止め、倒置法は効果大。
- 『好きです、あなたが。』『食べたいんです、カレー』『私読んでいます、○○という本』と名詞で結ぶことで、そのもの自体が浮き立つ効果がある。
- ・丁寧語は必要以上に言わなくてよい。
- 『○○でございます。』『○○という言葉を持ちまして私の挨拶に変えさせて頂きます。ご清聴ありがとうございました。』ではなく、『以上です、ありがとうございました!』と必要以上な丁寧語ではなく、シンプルなことばを丁寧に言った方が聞き手に伝わる
- ・用語をシンプル
- 漢語、外来語、略語、流行語はできるだけわかりやすく言い換える。過剰な丁寧語、受動態などを排除する
- ・間が大切
- 話の途中で間をとることは、聞き手にとって次の話を聞く準備になる。話をする際は、間も持ち時間に含めるほうがよい。間ができないほどパツパツに詰め込み、時間が足りなくなるのは、情報量が多いということ。20分のプレゼンなら、話は12分プラス質疑応答で構成するのが理想。間を取る「黙る勇気」が重要となる。
- ・気構えを持つ
- 話し手にとって、「黙る勇気」「捨てる勇気」「言い切る勇気」この3つの「勇気」は大切。自信がある場合は言い切ることが大切で、『私達はこの案に乗った方がいいと思います』とぼかすのは情報に失礼だというぐらいの気構えが大切です。
- ・話す時はプランターに水を与えるようなイメージ
- 相手に分かるように話すことは、プランター(相手)に水(情報)を、相手の吸収具合を見ながら少しずつ与えていくようなイメージです。
ルール④やさしくボールを投げるように話かける
「話す内容」をボールに例えると、1つ1つの情報を相手に届くように「こういう話なんです」「次に言うのは・・・」と言葉を投げること。機関銃の様に一方的に連射することはやめたほうがいい。頭のいい人の話の仕方は、時間辺りの情報量が多くなりがちなので注意が必要です。
ルール⑤大事なことばは意識的にゆっくり
早口で話しても大丈夫なのは滑舌のいい人だけ。それ以外の人は「少しゆっくり」を常に意識する必要がある。出だしが早いと、最後まで早くなってしまうので、母音・子音を大切にし、聞き間違われないように、1つ1つをしっかり話す。相手が聞く気があれば、声や滑舌が悪くても大丈夫。大切なのは「分かるようにゆっくり丁寧」を心掛けること。
ルール⑥最初の音こそ高くはっきりと
いい話も退屈だなと思われた瞬間、聞き手の耳に入ってきていません。最初の音を少しだけ強く言うとナレーションっぽく聞こえ、人の興味を引くことができる。語尾を上げたり、伸ばしたりすると、意味が切れるだけでなく、耳障りに聞こえてしまう。また、口癖や動作(腕を不自然に動かす。マイクの持ち方など)など、ノイズを与えないことも大切。
ルール⑦高低・強弱・緩急・間を使いこなす
聞き手をより引き込むには「スピード(ゆっくり・速く)」、「間」、「音の高低・強弱」を一定にしないことが重要。音に変化を付け強調することで、聞き手の注意を惹きつけ続ける事が可能になります。
まとめ
これらのトレーニングで最適なアイテムがスマートフォンです。自身の話を録画・録音し、何度も聞いて、スピード、語尾の強さ、間が取れているかをチェックすることが、話し上手の近道です。
さすが、話すことのプロ。わかりやすい具体例とともに、話し方のコツを、笑いを交えながら解説してくださいました。これは営業パーソンにも有効だ!と思うような、話し方のコツもありました。
話すことが苦手だと思っている人は、まずはこの7つのルールを活用してみてください!
松本氏の話をもっと聞きたい!と思った方は、ぜひノビテクビジネスタレントまでお問合せください。
講演依頼はノビテクマガジンで!
元NHKアナウンサーが心に届く話し方をレクチャーします。
音声表現コンサルタント/ナレーター 松本和也