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山下淳一郎【第1回】”新しい事業を作り出す”ということ – ドラッカーに学ぶ成功への原理原則
【コラムジャンル】
チーム , ドラッカー , 原理原則 , 学ぶ , 山下淳一郎 , 成功 , 新しい事業 , 目次 , 第1回 , 経営 , 講演会 , 講演会依頼 , 連載
2015年10月15日
「未来において何かを起こすということは、新しい事業を作り出すということである。新しい経済、新しい技術、新しい社会についてのビジョンを、事業として実現するということである」
こんにちは、トップマネジメントの山下淳一郎です。私は、ピーター・ドラッカー教授の理論をベースに様々な企業・団体の活動のお手伝いをさせていただいております。本コラムでは、ドラッカー教授の名言と日本企業を照らし合わせて、分かりやすくビジネスのヒントをお伝えできればと考えております。
“新しい事業を作り出す“ということ
私は仕事柄、いろいろな経営者・リーダーの方々とお話をさせて頂く機会があります。現在、様々な企業が、事業を変革(イノベート)させることに全力を注いでいます。言うまでもなく、これまで築き上げてきた事業が通用しなくなってきているからです。変化が激しい今日、当然と言えば当然のことかもしれません。社会の変化に合わせて、事業を新しい次元に進化させていくことは、避けて通れない重要な課題です。
ピーター・ドラッカー教授は、
「未来において何かを起こすということは、新しい事業を作り出すということである。新しい経済、新しい技術、新しい社会についてのビジョンを、事業として実現するということである」
と言われています。新しい事業を作り出す取り組みとは、
「今行っている何かを変えること」であり、
「今行っている何かをやめること」であり、
「今行っていない何かを始めること」
の三つに尽きるのです。
なぜ順調に進んでいるのにいまの事業を変えるのか!?
1962年、セコム株式会社は日本警備保障株式会社として設立されました。
1962年創業当時の従業員数はたった2名。その頃の日本にはまだ警備という事業は存在しませんでした。警備という需要はまだなかったのです。創業時3ヵ月営業に歩いて契約はゼロ。警備業を見たことも聞いたこともないお客様からは、「知らない人に警備なんて任せられない」、「知らない人に警備してもらうのはかえって不安だ」などと言われ、まったく相手にされなかったそうです。
創業から苦闘の連続であった4年が過ぎた1966年、ようやく事業が軌道に乗り始めました。
創業者の飯田亮さんは、そういった状況の中で、これまで従業員の方々が体を張ってやってきた巡回警備を廃棄し、日本初の機械による警備システムに切り替える決断をされました。機械警備システムとは、建物にセンサーを設置し、異常を感知したセンサーの情報が電話回線を通じてセンターに送られ、警備員が駆け付けるというものです。
当時、従業員さん全員が大反対したそうです。
なぜ順調に進んでいるのにいまの事業を変えるのか!?
命をかけて警備をやってきたのになぜ機械に任せるのか!?
自分たちが信用できないのか!?
従業員さんには、さまざまな想いがあったことと思います。
飯田亮さんは、事業を新しい次元に進化させようと挑まれたのです。事業とは、社会の問題を解決していく強い意思をもったひとつの生態系です。その生態系を進化させる取り組みを私たちは“イノベーション“と呼んでいます。それは、生まれていないニーズを生み出し、まだ満たされていないニーズを満たすということです。
創業者の飯田亮さんは、イノベーションを失った組織はあっという間に衰退すると言われています。現在、セコム株式会社は、売上規模約7000億円、従業員約1万5000人、海外19カ国に事業展開する大きな企業となっています。いつの時代も新しい扉を開くのは、未来を描くリーダーの強い信念と勇気です。
そうしたリーダーから、真の新しい事業が作り出されるのです。
次回は、ドラッカー教授が教えてくれている「5つの質問」についてお伝えさせて頂きます。
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