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「意図的に表現を変える」人を魅了する自己表現とは 佐藤綾子 株式会社国際パフォーマンス研究所 代表

佐藤綾子【第2回】与える印象を最も左右するのは”表情” – 「意図的に表現を変える」人を魅了する自己表現とは

佐藤 綾子

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2019年04月15日

「意図的に表現を変える」人を魅了する自己表現とは

「「程よく動く」方が好印象を持たれるのです。」

会ったばかりなのに、なぜか好感を覚える人、一方で、興味や関心を持てなかった人もいるはずだ。
『人は第一印象で決まる』。それを学問として体系化したのがパフォーマンス学。日本における同学問の第一人者として、多くの人に自己表現の技術指導を行っている佐藤綾子氏が、その貴重なメソッドを明かしてくれた。

小谷奉美 ≫ インタビュー 波多野匠 ≫ 写真 肥沼和之 ≫ 文

(※本記事は、2018年4月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)

与える印象を最も左右するのは"表情"

パフォーマンスの構成要素は非言語表現と言語表現で構成されており、人に与える印象は、非言語表現が70%、言語表現が30%です。(図1参照)つまり、話す内容そのものより、それ以外の表現が重視されるのです。その中で、大事な要素の一つが表情です。

表情が大事なことを裏付ける調査

私が研究した『好意の総計(図2参照)』というデータがあります。これは一人のモデルが、ビデオカメラに向かって「ありがとう」「どうも」「どうぞ」と話し、それを4000人以上に見せて、顔・声・言葉の内容のどれに好意を持ったか調査したデータです。結果、表情が60%、32%が周辺言語、言語は8%となりました。このデータから、人は演説やプレゼンの内容より、表情に意識が向いていることが分かります。

佐藤綾子 図1パフォーマンスの構成要素  図2 AS日本人の好意の総計

表情がよく動く人は、相手に良い印象を与えます。二者で対話をするとき、少なくとも1分間に28秒は表情を動かすよう意識しましょう。それより少ないと、相手のことが嫌い、何か不都合が起きている、という印象を与えてしまいます。

アイコンタクトも表情と同様

アイコンタクトも同様で、二者間の場合、1分間に32秒は視線を合わせたほうが好印象を与えます。32秒以下であれば「あなたに関心がない」というメッセージになってしまいます。衆議院議員・小泉進次郎さんの演説や、俳優・松平健さんのライブにはよく人が集まります。実は、彼らは、薄くですが、全員と目線が合うようにスーと目線を動かしていて、お客さんが「私を見てくれている!」と感じるからなのです。

安倍晋三首相は、第二次政権からアイコンタクトの秒数が増えています。最大に増えたのは東京オリンピック演説で、312秒のうち224秒も目線を人々に向けていました。その結果、東京が開催都市に選出されたことはご存じのとおりです。

佐藤綾子 ASコーディングシートによる安倍プレゼン分析

周辺言語は「グリンプスバイト」と「サウンドバイト」が要となる

好意の総計で32%を占める「周辺言語」も重要な要素です。まず、知っていただきたいのが、「グリンプス・バイト」。これは「一瞥での噛みつき」という意味です。印象に残る目力や笑顔で最初に噛みつかないと、相手は自分の話を熱心に聞こうとしません。人には覚醒・不覚性の欲求があります。不覚性はぼんやりしていたい、覚醒は目覚めていたいというもの。最初に好印象を与えた場合、相手は急に覚醒し、次の話にも興味を持ってくれます。

実際に話してから、「利口に見えたけどそうでもなかった」と思われることがあったとしても、それはまた次の話。まず噛みついて、関心を持ってもらうことが重要なのです。

「サウンド・バイト」も非常に重要です。これは声の大きさやトーン、話すスピードなどの周辺言語。心理学者のナリニ・アンバディの実験によると、声や喋り方に威圧感がある医者は、そうでない医者と比較すると、訴訟される割合が1.5倍も高かったそうです。

ジェスチャーも相手に与える印象を左右する

表情や周辺言語以外では、ジェスチャーも相手に与える印象を左右します。眼科のドクターに協力してもらい、全国で実験をしました。患者に病状やケガの具合を、「手をよく動かす」「少し動かす」「全く動かさない」の3パターンのしぐさで説明するというもの。すると、「少し動かす」のときが、良い先生だと思われることが多かったというデータがあります。つまり、全く動かなかったり、オーバージェスチャーでもなく、「程よく動く」方が好印象を持たれるのです。

講師紹介

佐藤綾子

佐藤綾子(さとう・あやこ)
博士(Ph.D. パフォーマンス学・心理学専攻)。社団法人パフォーマンス教育協会理事長。佐藤綾子のパフォーマンス学講座・主催。ハリウッド大学院大学教授。信州大学、上智大学大学院卒(MA)。ニューヨーク大学パフォーマンス研究学科卒(MA)。非言語研究の第一人者として、累計4万人のビジネスリーダーやエグゼクティブ、首相経験者をふくむ54名の国会議員、地方議員にコンサルティングとスピーチ指導を行う。日本大学藝術学部教授を経て現職。2017年現在、著書は全189冊、累計320万部。

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非言語研究の第一人者としてコンサルとスピーチ指導で絶大な信頼を集めている指導者。佐藤綾子株式会社国際パフォーマンス研究所 代表 佐藤綾子 講師のプロフィールはこちら

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