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藤井佐和子【第3回】教育担当者のキャリア研修お悩みQ&A – 仕事を楽しくするためのキャリアを今考えよう
「キャリア」を正しく理解しましょう!
「キャリア研修を実施する時に重要なのは、研修の目的とゴールを明確に設定し、伝えることです。」
仕事を楽しくするための仕事をするうえで、何気なく見聞きし、話している「キャリア」。この言葉の本当の意味や意義を理解すれば、仕事にも人生にも、もっと楽しく、積極的に向き合えるはずです。
キャリアカウンセラー、ダイバーシティコンサルトとして数多くのキャリア支援、講演会・研修などを手がけてきた、キャリエーラ代表の藤井佐和子さんに、キャリアに関する素朴な疑問や、研修担当者のよくある悩みについて答えていただきました。
田村知子 ≫ 文 櫻井健司 ≫ 写真 岩崎知佳 ≫ インタビュー
(※本記事は、2017年4月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)
Q6.研修後、受講者から「結局、何をしたらいいの?」「受講しても何も変わらないかも…」といった感想が。改善するにはどうしたらいい?
A6.研修の目的とゴールを明確に設定し、伝える。
キャリア研修を実施する時に重要なのは、何のための研修なのか、研修を受けることで受講者にどう成長してほしいのかといった研修の目的とゴールを明確に設定し、伝えることです。「キャリア研修を受けても、結局、何をすればいいのかわからない」と感じてしまう人は、その目的とゴールがよくわかっていないことが多いものです。
まずは研修を実施する前に、担当者と講師がそれを明確にして、受講者が理解できるように伝えください。その際には、言葉の定義も共有しておきましょう。例えば「キャリア」という言葉を1つとっても、社内で実施する研修の場合は「社内でのキャリア」など、決めておくことが大切です。
Q7.キャリア研修を実施すると、受講者が転職を考えるのでは?という不安があります。
A7.研修が今の仕事への動機づけにつながるような、社内キャリアの選択肢の情報を提供し、併せて考えてもらうおう。
自分のキャリアを真剣に見つめると、転職という選択肢を視野に入れる人が出てくるのは当然のことです。一定数の人が転職を意識する覚悟も必要。ただ、やみくもに転職を考えるのは現職の企業にとっても本人にとっても良いことではありません。
例えば、今の仕事を深めていきたいのか、役職をステップアップしていきたいのか、ほかの職種にもチャレンジしてみたいのか。そうした社内でのキャリアの選択肢を考えられるような情報も与えて、本人たちに考えてもらうのです。
いずれの道を選ぶ場合にも、今、目の前の職場や仕事で「できていないこと」は、他の場所でも「できない」ままのはずです。まずはそのことをしっかりと理解していただきましょう。そうすると、研修が今の仕事への動機づけにつながるはずです。
Q8.受講者が気兼ねしないよう、外部講師を招いたが、なかなか本音で話してくれません。
A8.建前的なことを語らず、研修担当者が研修の冒頭で本音を語ることも重要。
研修の導入で、話しやすい雰囲気を作ることが大切です。
例えば、「この場で見聞きしたことは、この場以外には持ち出さない」と担当者や講師、参加者の間で約束するのもいいでしょう。気持ちを吐き出してもらうようなワークは、人事担当者がいると話しにくいと感じる人も多いので、そうした時間には人事担当者は席を外すといった配慮も有効です。
研修担当者が研修の冒頭で本音を語ることも重要です。働き方や価値観が多様化する社会の中で、過渡期を迎え、試行錯誤している企業も少なくないでしょう。そんな中で建前的なことを語っても、参加者には響きません。「会社側も、社員のキャリアをどう支援していけばいいのか模索している。研修の中で皆さんの忌憚ない意見を聞いて、一緒に考えていきたい」といった正直な気持ちを伝えると、受講者も心を開きやすいと思います。
また、外部講師は受講者の本音を引き出したり、視野を広げたり、モチベーションを上げたりするプロです。単に研修担当者が伝えてもらいたいことを話すように依頼するのではなく、そうした外部講師の強みを生かせるよう、打ち合わせの段階でしっかりと社内の課題を伝えて共有し、積極的に意見交換をすることも大切です。そして、一緒により良い研修を作り上げていきましょう。
藤井佐和子 – 仕事を楽しくするためのキャリアを今考えよう(了)
講師紹介
藤井佐和子(ふじいさわこ)
株式会社キャリエーラ代表取締役/ダイバーシティコンサルタント
大学卒業後、カメラメーカーの海外営業部勤務を経て、大手総合人材サービス企業にて、派遣事業部、人材紹介事業部の立ち上げに携わる。主に女性を対象とした転職支援チームで数多くの転職を支援。その後、独立し、株式会社キャリエーラを設立。延べ1万3000人以上のキャリアカウンセリングを行う一方、数多くの企業に対し、研修やスキーム作りなど人材育成支援を実施。その他、大学の非常勤講師、講演、キャリアセミナー、執筆など幅広く活動中。
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