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児玉教仁 – オンラインゲームで〝体感型〞新入社員研修
オンラインゲームで仕事を疑似体験 自ら考え、自ら動く「自律型人材」を育てる 〝体感型〞新入社員研修をひも解く
2021年4月、デジタル教育ソリューションの開発を行うグローバルアストロラインズ株式会社と株式会社ノビテクが共同開発した新入社員向けオンラインビジネスゲーム研修『〝新〞仕事の進め方研修』がスタートする。コロナ禍で人々の働き方が大きく変わるなか、そもそも新入社員研修はどうあるべきなのだろう。ウィズコロナ、アフターコロナ時代に先駆けた〝新しい研修のカタチ〞について、グローバルアストロラインズ株式会社の代表である児玉教仁氏に聞いた。
(※本記事は、2021年5月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)
猪俣奈央子 ≫ 文 櫻井健司 ≫ 写真
児玉教仁(こだま・のりひと)
グローバルアストロラインズ株式会社 代表取締役
静岡県の高校を卒業後、1年半アルバイトで学費を稼ぎ渡米。ウィリアム・アンド・メアリー大学を卒業後は、三菱商事株式会社に入社。鉄鋼ビジネスを経て、ハーバード経営大学院に留学。MBA(経営学修士)を取得。IT関連の子会社を立ち上げ、経営後、2011年同社を退社後、グローバル・リーダーの育成を担うグローバル・アストロラインズ社を立ち上げる。2012年よりイングリッシュブートキャンプを主宰。様々な国際企業でグローバル・リーダー育成の講師としてプログラムの開発・自らも登壇している。
新しい時代に求められる社員の役割やスキルとは?
2020年ほど、人々の働き方が一気に変化した年はないだろう。突如現れた新型コロナウイルス感染症の流行により、多くの企業がリモートワークを導入。対面でのコミュニケーションを避け、オンラインでの仕事が推奨された。働き方は変わったが、社員に求められる役割やスキルはどう変化したのか。児玉氏は、「2020年以前から潮流としてあった変化が、このコロナ禍で加速している」と語る。
「2020年以前からあった潮流とは3つ。
1つ目は組織内のグローバル化です。組織内のグローバル化とは、英語力の向上といった意味ではなく、多様性を活用できる組織になっていけるかということです。一人ひとりの意見を大切にしながら、組織を一つにまとめていくのは簡単ではありません。そのため、いざ実践しようとすると、難易度が高く今まではなかなか浸透しませんでした。しかし、リモートワークの普及により、各自が好きな場所で、好きな時間に、自分の生活スタイルで働くことが比較的容易になり、組織の多様性が加速しました。
2つ目は、マネジメントの高度化。オフィスに集まって仕事をしていた従来の働き方では、社員は職場にいるだけで、さまざまな情報にアクセスできました。新人はお手本となる上司や先輩の行動や所作を見ることで自然と学ぶことができましたし、何となくの雰囲気でチームを運営することも可能でした。
組織員は、阿吽の呼吸である程度は動いてくれ、そこに居るだけで必要なスキルは吸収されてきた側面があったのです。しかし、リモートワークの環境下では、そうはいきません。求められるマネジメントレベルは上がり、マネージャーのスキルがビジネスの成長にダイレクトに影響を与えます。
3つ目は働き方のDX(デジタルトランスフォーメーション)です。リモート環境下で、いかにデジタルを用いて、生産性や効率性、あるいはビジネスやサービスの価値を高めていけるかが、これからますます重要になっていきます。そのためには、オンラインで集まってやるべきことと、個々人が一人で取り組むことを区別し、最適なカタチで組み合わせる必要があります。マネージャーのみならず、社員全員が、働き方のベストプラクティスを模索していく時代なのです」
オンラインには不得手とされる〝体感型〞プログラムへの挑戦
これらの時代変化に合わせて、新入社員研修のあり方も変えていくべきだと児玉氏は語る。
社会人になりたての人たちを、働き方が大きく変化している職場に送り出すわけだ。新入社員研修ではそのような環境でも、迷子にならず、しなやかに成長していく素地を身につけて欲しい。そのためには、「さまざまな環境下(リモートワークでの一人作業含む)において仕事を進められるスキル」「自ら積極的に周囲に働きかけ、行動を起こせる自律性」がキーとなる。
適切なタイミングで報告・連絡・相談ができる。目的志向でPDCAを回し、自ら成長していける。そんな自律型人材を育てるべく開発されたのが、新入社員向けオンラインビジネスゲーム研修『〝新〞仕事の進め方研修』だ。
「なぜ、ビジネスゲームを活用するのか。それは講義スタイルの研修で得られる効果には限界があるからです。ビジネスゲームの良さは、失敗や成功を〝体験〞〝体感〞できること。もともと体感型の研修はオンラインでは難しいと言われていましたが、ビジネスゲームを活用することで、オンラインでも十分に実施可能です。
たとえば、『〝新〞仕事の進め方研修』のカリキュラムの中に、『中森先輩のいない1日』というチームの仲間と疑似体験するプログラムがあります。チームで仕事の段取りや優先順位を話し合い、決定していくのですが、もしも時間通りに仕事が終わらなかった場合、〝自分たちは仕事の進め方がわかっていない〞と気づけます。何が悪かったのか、どうすればできるようになるのか、分析するようになる。しかも受講者は、研修であることを忘れるほどに熱中します。
分析や学び合いのあと、再度ビジネスゲームにチャレンジ。〝行動〞を変えることで〝結果〞が良くなる改善サイクルを体感することは、自律的に成長していく人材を育てていくための土台になります」
「行動ログ」「思考」「振り返り」の可視化で自律的な学びを促す
本研修の独自性は、「行動ログ」「思考」「振り返り」の可視化ができること。これもオンライン研修ならではの特徴だろう。
「ビジネスゲーム内でのさまざまな行動や決断は、受講者たちの行動ログとして、システム内に記録されます。しかも、チームの選択や判断一つで、ゲーム内の状況がどんどん変わっていくのです。デジタルを活用することで、よりリアルな仕事の状況に近づけられる。そして、『このチームは熟考している』『意思決定のスピードがはやい』などチームの特徴が色濃くわかります。良かった点や改善点を見える化し、フィードバックできるのも、本研修ならではの魅力です」
さらに、この研修では参加者全員が考えや気づきを入力し、即座に共有・反応・コメントできる〝デジタル振り返りツール〞を活用する。
「このツールを活用する利点は、受講生全員の意見に触れられること。また、普段の集合研修では引き出せないような多様性のある意見に触れることができ、学びが広がること。そして、SNSのように「いいね!」をつけたり、コメントを入力し合ったりすることで、参加意欲や参加者の一体感が醸成されることです。オンラインの研修では、横のつながりが生まれにくいという課題がありますが、このツールが休み時間の雑談のような役割を担ったり、対面のコミュニケーションよりもさらに深くお互いを知るきっかけになったりします。このツールの活用によって、オンライン研修のエクスペリエンスが、教室での集合型研修のそれを超えることになるのです」
DXされた「仕事疑似体験」「行動ログ」「デジタル振り返りツール」で、自律的な思考・行動を促し、成長を後押しする本研修。活用したい対象は、新入社員や若手社員に留まらないというのが企業のホンネかもしれない。時代の変化に合わせて、社員の行動やスキルを高め、マネジメントのあり方を変えていく一つの契機になり得るのではないだろうか。
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