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ピョートル・フェリクス・グジバチ【第4回】海のように全てを受け入れる組織づくりを – ダイバーシティ論 多様性のある組織だけが生き残る
【コラムジャンル】
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2018年12月10日
ダイバーシティ論 多様性のある組織だけが生き残る
「社内と社外を区切る垣根をできるだけ下げること。」
日本で「ダイバーシティ」という言葉が課題になってから、すでに数年が経った。しかし、その中身をきちんと理解し、実践している企業は決して多くはない。ポーランドで生まれ、ドイツ、オランダ、アメリカで暮らした後で来日し、国内外の企業の多様性を実際に体験したピョートル・フェリクス・グジバチ氏に、日本の現状と、ダイバーシティ実現のために取り組むべきことがらを聞いた。
白谷輝英 ≫ 文 佐々木信行 ≫ 写真
(※本記事は、2018年1月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)
海のように全てを受け入れる組織づくりを
社内と社外を分ける垣根を、さらに低くすることが必要だ。
すでに述べたように、日本企業には「生産効率を求め、多様化を拒否する」タイプの人が少なからずいます。しかし、私は絶望していません。日本、特に東京には、多様な人材を取り込むポテンシャルがあると思っているからです。
東京は、実は多様性にあふれた街です。アメリカの場合、行政の中心はワシントン、金融やアートはニューヨーク、エンターテインメントはロサンゼルス、ITはシリコンバレーと分かれています。一方、東京にはこれらの機能がコンパクトに集まっていますから、金融・アート・エンターテインメント・ITなど幅広い分野の関係者が顔を突き合わせることも容易です。
企業も、東京の多様性を利用しない手はありません。例えば、社員の副業を認めたり、他社の従業員やフリーランスで働く人々と社員が協業できる場所を設けたりすれば、自然と多様な人材を呼び寄せることができるでしょう。
大切なのは、社内と社外を区切る垣根をできるだけ下げること。組織を固定化されたものだととらえず、むしろ、全ての生命を受け入れる「海」のような存在に変わるべきだと、私は信じています。
では、国から個人までのあらゆるレベルでダイバーシティが進む時代に、企業には何が求められるのでしょうか。
私の答えは、『場づくり』です。従業員はもちろん、その企業に関係する全ての人々が「ここで活躍したい」「この職場なら自分のアイデアや仕事を尊重してくれる」と思ってもらえるような場所を設け提供する役割が、企業には不可欠だと考えています。
そのためには、「社員に副業を許してはいけない」「組織の形はしっかりとしていなくてはならない」などの古い常識を打ち破ることが必要です。また、従業員や社外の人々が交流しやすくなる仕組みを工夫するのもいいですね。例えばグーグルでは、「クリエイト・コリジョン(衝突を作る)」という発想でオフィスを設計しています。さまざまな部署のメンバー同士が顔を突き合わせるオアシスのような場所を社内に設け、「セレンディピティ」、つまり素敵な偶然によって従業員が交流できる仕組みを提供しているのです。
今後の企業は、組織や人々を結びつける「スーパーコネクター」の役割を果たすことが、さらに強く求められるでしょう。柔軟な発想で組織の壁を壊しながら、同時に、多くの人々が交流できる仕組みを構築する努力をすることが何より大切です。そしてその両輪が揃えば、ダイバーシティは加速していくのです。
ピョートル・フェリクス・グジバチ
– ダイバーシティ論 多様性のある組織だけが生き残る(了)
講師紹介
ピョートル・フェリクス・グジバチ(Piotr Feliks Grzywacz)
プロノイアグループ株式会社 代表取締役
モティファイ株式会社 取締役 チーフサイエンティスト
ポーランド生まれ。2000年に来日。ベルリッツ、モルガン・スタンレーを経て、2011年Googleに入社。アジアパシフィックにおけるピープルディベロップメント、2014年からグローバルでのラーニング・ストラテジーに携わり、人材育成と組織開発、リーダーシップ開発などの分野で活躍。2015年独立して現職。 プロノイア社では、国内外の様々な企業の戦略、イノベーション、管理職育成、組織開発のコンサルティング・研修を行なう。モティファイは、社員とメンターが双方で使うユニークな人材育成プログラムや、働きやすい企業の環境づくりを支援する人事ソフトベンチャー。
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人材育成と組織開発、リーダーシップ開発などの分野で活躍。プロノイア・グループ株式会社 代表取締役社長、モティファイ株式会社 取締役
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