働き方・生き方
BUSINESS SKILLS COLUMN LIST ビジネススキル
株式会社横浜DeNAベイスターズ【第2回】スタジアムを家族や仲間とともに楽しめる場へと変革 – 共感力を高め愛される球団へと変貌 – 特集「共感力」
【コラムジャンル】
DeNA , スタジアム , ベイスターズ , 仲間 , 共感力 , 場 , 変貌 , 変革 , 家族 , 愛される , 株式会社 , 楽しめる , 横浜 , 特集 , 球団 , 第2回 , 高め
2019年11月11日
共感力を高め愛される球団へと変貌 - 特集「共感力」
「球団が考えていることがファンにうまく伝わっていなかったし、球団側もファンが望んでいることを正確には把握できていなかった」
DeNAに経営が引き継がれた2012年以降、横浜DeNAベイスターズの観客動員数は飛躍的に伸びている。その背景にあったのが、ファンと球団が共感し合うための数々の取り組みだった。
白谷輝英 ≫ 文 櫻井健司 ≫ 写真
(※本記事は、2019年4月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)
株式会社横浜DeNAベイスターズ
1950年、山口県下関市を本拠地とする「大洋ホエールズ」として創設。その後、大洋松竹ロビンス、大洋ホエールズ、横浜ベイスターズと改称を重ね、筆頭株主がDeNAとなった2011年12月以降は現在の「横浜DeNAベイスターズ」となった。横浜に本拠地を置くようになったのは、横浜大洋ホエールズ時代の1978年から。1960年には三原脩監督、1998年には権藤博監督のもとで日本一に輝いている。2018年度は4位でシーズンを終え、2019年度の巻き返しに期待がかかる。
河村康博(かわむら・やすひろ)
ブランド統括本部 広報部 広報グループ グループリーダー
大学卒業後PR会社に入社し、企業の広報支援業務を約5年間担当。2014年に横浜DeNAベイスターズへと移り、現在はブランド統括本部 広報部 広報グループのグループリーダーを務める。
スタジアムを家族や仲間とともに楽しめる場へと変革
ベイスターズは横浜スタジアムと協力し、スタジアム全体の雰囲気を変えることにも力を注いだ。昔の球場には「酒に酔った中年男性がヤジを飛ばしながら観戦する」という印象があったが、これを、家族や友達、同僚を気軽に誘い、大人数で楽しめる雰囲気に変えようとしたのだ。
「その一環として、4~5人で楽しめるボックス席を数種類用意しました。その席はとても人気が高く、あっという間に売り切れます。また、スタジアムで流す映像の作り込みや選曲なども、野球に詳しくない方でも楽しめるものに変えました」
こうした施策の軸となっているのが、ベイスターズが13年から掲げている「コミュニティボールパーク」化構想だ。従来はスタジアムに足を運ばなかったような層を呼び込み、新たなコミュニケーションが生まれる場を作り出すことを目指している。
「これらの取り組みにより、20~30代のお客さまが急激に増えました。その結果、『以前に比べ、友人や同僚を誘いやすくなった』『家族連れでも安心して盛り上がることができる』といった声が増えています」
受・発信を積極的に行い、ファンとの共感力を高めた
DeNAが経営を引き継ぐ前のベイスターズでは、集客に苦戦していた。その原因の1つに、「共感力の欠如」があったのではないか。
「昔から、球団とファンが目指す方向性は概ね一致しています。球団もファンも同様に、チームの勝利を求めています。また、ファンはスタジアムで楽しみたいと考えていますし、球団も皆様に笑顔になっていただきたいと望んでいます。そこは全く変わらない。ところが以前は、球団とファンが持っている『熱量』が循環していなかったのではないか、と思います。つまり、球団が考えていることがファンにうまく伝わっていなかったし、球団側もファンが望んでいることを正確には把握できていなかったのです」
そこでベイスターズは、11年以降、ファンのニーズ調査を積極的に行うようになった。大規模なアンケートをたびたび実施したり、SNSなどインターネット上の情報を集めたりして、ファンがチームに寄せる声を可視化。一方、情報発信のスタンスも一変させたという。
「例えば、新イベントを開催する場合、どんなお客さまが対象でどんな楽しみ方をお届けしたいのか、しっかりお伝えするようにしています。
ここ数年、ベイスターズは本拠地開幕戦に力を入れています。全ての横浜市民にワクワクしながら待ってもらえる一大イベントに育てたいのです。目標は、アメリカンフットボールの全米王者決定戦『スーパーボウル』。ハーフタイムショーのような質の高いエンターテインメントを提供しつつ、野球シーズンの開幕という特別な1日を楽しんでもらうのがコンセプトです」