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HUMAN RESOURCE DEVELOPMENT 人材育成
江藤真規【第2回】現代の女性が求めているのは少子化対策ではなく家族支援 – 働く女性のキャリアもライフも応援する新しい「家族支援」のカタチを広めたい。
【コラムジャンル】
カタチ , キャリア , ライフ , 働く , 女性 , 家族支援 , 対策 , 少子化 , 広めたい , 応援 , 新しい , 求めている , 江藤真規 , 現代 , 第2回
2020年02月10日
働く女性のキャリアもライフも応援する新しい「家族支援」のカタチを広めたい。
「必要なのは、子どもを産み育てながらも、働き続けられるという”安心”」
国の施策の一つとして掲げられている「女性の活躍推進」。女性が働きながら家庭を築き、安心して子どもを産み育てられる社会を実現するために、今、私たちが取り組むべきことは何なのだろうか。子育ての質向上、母親の社会進出支援を目的とした学びの場「マザーカレッジ」の主宰者であり、文部科学省「男女共同参画推進のための学び・キャリア形成に関する有識者会議」の委員を務める、江藤真規さん(博士 教育学/東京大学大学院)に話を聞いた。
猪俣奈央子 ≫ 文 波多野 匠 ≫ 写真
(※本記事は、2019年10月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)
江藤真規(えとう・まき)
株式会社サイタコーディネーション代表取締役/マザーカレッジ主宰/東京大学大学院教育学研究科博士課程修了博士(教育学)
自身の子どもたちの中学受験を通じ、コミュニケーションの大切さを実感し、コーチングの認定資格を習得。現在、講演、執筆活動などを通して、教育の転換期における家庭での親子コミュニケーションの重要性、母親の視野拡大の必要性、学びの重要性を訴えている。 著書は『勉強ができる子の育て方』『合格力コーチング』(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『勉強が好き!の育て方』(実務教育出版)、『ママのイライラ言葉言い換え辞典』(扶桑社)など多数。
現代の女性が求めているのは少子化対策ではなく家族支援
マザーカレッジで、子育てに悩む保護者のさまざまな悩みに耳を傾け、母親の社会的役割を広げる活動をするかたわら、2013年4月に東京大学大学院教育学研究科への進学を果たした江藤さん。経験則で語られがちな子育て論に科学的な根拠や研究データを取り入れ、マクロとミクロ両方の視点から社会の大きな課題である「保護者支援」に取り組みたいという思いからだった。
2019年3月には同研究科にて博士号を取得。子育てを行う保護者への直接的な支援はもちろん、学校の教職員や学習塾の運営者をはじめとする保護者との接点がある事業者への研修・講演など、活躍の場を広げた。
近年では、文部科学省の行う「男女共同参画推進のための学び・キャリア形成に関する有識者委員」となり、育休中を含む女性の学びやキャリア支援にも力を入れている。そんな江藤さんが今、もっとも注目しているのは企業や地域社会による家族支援(子育て支援)の拡充だ。
「労働人口が減少している日本では、女性の就労率と出生率の両方を上げなければなりません。そのためには女性が働きながら家庭を築き、安心して子どもを産み育てられる環境をつくる必要があります。実際、働く女性は増えていて、子育てサポート企業として『くるみん認定・プラチナくるみん認定』を受けた企業も増加傾向にあります。
ただ、産休・育休などの制度が整っているからといって女性が会社を辞めないかというと、そうではありません。マザーカレッジに通うお母さん方のなかでも就労意欲が高く、有能で、会社の制度が整っているにもかかわらず、キャリアを断念する方は決して少なくありません。
現代の女性たちは、仕事と家庭の両方を完璧にこなすことを求められ、大きな葛藤やジレンマを抱えています。子育てをしていれば、悩みはつきものです。受験や不登校、思春期など、いくつもの壁があらわれます。いくら仕事でうまくいっていても、家庭や子育ての悩みがきっかけとなり、仕事を辞めてしまう女性は多い。
とくに専業主婦の母親を見て育った、今の30~40代の女性には「子育てがうまくいかないのは、私が仕事をしているからだ」と、困難感の原因を自分の仕事につなげてしまう傾向があるようです。
『少子化だから子どもを産んでほしい』『労働人口が減るから働いてほしい』と言われて、出産や就業に前向きになる女性は少ないでしょう。必要なのは、子どもを産み育てながらも、働き続けられるという”安心”です。
私たちが取り組むべきなのは、今あるものを大切にするということ、つまり、私達の生活の基盤である”家族や家庭”が、その機能を十分に発揮できるよう、地域や企業が全力で支援していく”家族支援・子育て支援”なのではないでしょうか」
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教育の転換期における家庭での親子コミュニケーションの重要性、母親の視野拡大の必要性を訴えている。株式会社サイタコーディネーション代表取締役/マザーカレッジ主宰/東京大学大学院教育学研究科博士課程修了博士(教育学) 江藤 真規 講師のプロフィールはこちら