働き方・生き方
HUMAN RESOURCE DEVELOPMENT 人材育成
河邑厚徳【第2回】”選択できる自由“を大切に – インタビュー「キャリアとは命を運んでゆくもの。」 – キャリアを真剣に考える
キャリアとは命を運んでゆくもの。常に「自分とは何者か」を問い続けながら成長していく。 - キャリアを真剣に考える
「命は一度きり、いかに満足した人生にするかには”選択”が問われます。」
映像ジャーナリストとして数々のドキュメンタリー作品を手がけ、多くのヒット作を生み出してきた河邑厚徳さん。40年余りにわたって「その時々に一番『伝えたい!』と感じたものを記録してきた」という河邑さんが、これからの時代のキャリア、生きること、育てることの本質に迫る。
岩崎知佳 ≫ インタビュー 櫻井健司 ≫ 写真 村上杏菜 ≫ 文
(※本記事は、2017年4月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)
”選択できる自由“を大切に
『はてしない物語』『モモ』で有名な児童文学作家であるミヒャエル・エンデは、一貫して「人が自由であること」を世に問い続けた人です。『NHKスペシャル』の『アインシュタイン・ロマン』シリーズでかかわり、僕がこれまで取材した人の中で一番影響を受けた存在です。
“時間”がテーマの『モモ』には夜汽車の挿絵があります。進行方向に背中を向けて走るこの列車こそ、僕は「キャリア」そのものだと思う。列車に乗っているのは今の自分、見えているのは過去、これから展開されていく背後が未来。未来は見えませんが、それを作るのは過去と今現在の自分。列車は先々で分岐し、駅(行き先)を選ぶことができる。
選択できるとは自由であるということ、そして可能性があるということ。命は一度きり、いかに満足した人生にするかには”選択”が問われます。
余裕、自由、問い直しが人を大きく育てる
全てが100%うまくいくことなんてない。うまくいかないことがわかったという意味では成功かもしれないし、成功のように見えて、違う角度で見ればそうでもないこともある
選択を繰り返す中で大きく失敗し落ち込むこともあるかもしれません。その時に大事にして欲しいのは、目の前の課題に対して逃げずに正面から誠実に向き合ったか、尽くしたかどうか。自分の頑張りに悔いがなければ、周囲に失敗を非難されても自分では自分を肯定して欲しい。結果の一面だけに振り回されず、成功でも失敗でも常に自分に問い直し続けること。それが自身の可能性や力をより大きく育てる秘訣だと思います。
今年(2017年)6月3日に公開のドキュメンタリー映画『笑う101歳×2 笹本恒子むのたけじ』では、自身の自由な心と真摯に向き合いながらニッポンの100年を駆け抜けた偉大な二人を描いています。二人の姿勢は、自由と可能性に年齢は関係ないことを教えてくれます。とはいえ、むのたけじさんが言うように、この年齢の二人を追うのですから明日は何があるかわからない。「一期一会」という言葉の意味を噛み締めながらカメラを回しました。
僕の仕事は失われていく時代を”記録”として留めて、未来へ渡すこと。二人の生き様と時代を若い世代に伝えることで、100年という時代の橋渡しができるような気がしています。そして、観た人それぞれが何かを感じてくれれば…、その時点でドキュメンタリー作品としてやっと完成することができます。
河邑厚徳 – インタビュー「キャリアとは命を運んでゆくもの。」 – キャリアを真剣に考える(了)
講師紹介
河邑厚徳(かわむら・あつのり)
映画監督/元NHKエグゼクティブプロデューサー。1948年生まれ。元女子美術大学教授。大正大学教授。早稲田大学講師。NHK入局以来、現代史、芸術、環境、科学、宗教などを切り口に『がん宣告』『シルクロード』『アインシュタイン・ロマン』『チベット死者の書』『インターネットドキュメンタリー・地球法廷』『エンデの遺言』『世界遺産プロジェクト』などのドキュメントを制作し国内外の賞を多く受賞する。映画『天のしずく 辰巳芳子いのちのスープ』(2012年)『大津波 3.11 未来への記憶』(2014年)に続き、2017年6月3日に『笑う101歳×2 笹本恒子 むのたけじ』を公開。
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ライフ・スタイル, 人材育成映画監督/元NHKエグゼクティブプロデューサー
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