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澤円【第1回】プレゼンがうまくいくマインドセット5カ条
プレゼンがうまくいくマインドセット5カ条
「私というフィルタを通して物事を語れるようにしておくこと」
プレゼンテーションの技術は、天からの贈り物。「自分のプレゼンがうまくいかないのは話す才能がないからだ」と諦めていませんか。「プレゼンの神」と呼ばれ、年間300 件以上の登壇をこなす澤円氏は、「正しいマインドセットを持つことがプレゼン上達の近道」と語ります。世界最高のプレゼンターから教わる、プレゼンがうまくいくマインドセットとは──!?
猪俣奈央子≫ 文、佐々木信之≫ 写真
(※本記事は、2020年1月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)
澤 円(さわまどか)
株式会社圓窓 代表取締役。 大手外資系IT企業所属。
立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、外資系大手IT企業に転職。ITコンサルタントやプリセールスエンジニアとしてキャリアを積んだのち、2006年にマネジメントに職掌転換。幅広いテクノロジー領域の啓蒙活動を行うのと並行して、サイバー犯罪対応チームの日本サテライト責任者を兼任。現在は、数多くのスタートアップの顧問やアドバイザを兼任し、グローバル人材育成に注力している。2019年10月10日より、株式会社圓窓 代表取締役就任。企業に属しながら個人でも活動を行う「複業」のロールモデルとなるべく活動中。また、美容業界やファッション業界の第一人者たちとのコラボも、業界を超えて積極的に行っている。テレビ・ラジオ等の出演多数。Voicyパーソナリティ。琉球大学客員教授。 Twitter : @madoka510
マインドセット 第1条 人前で話すのは誰でも怖い
あなたがもしプレゼンテーションに苦手意識を持っていたとしたら、それはあなただけではありません。アメリカのチャップマン大学が2014年に行った「アメリカ人が恐れるもの」という調査によると、2位は「高所」、そして1位はなんと「パブリックスピーキング」でした。「死ぬより怖いことは何?」と尋ねたヨーロッパでの調査でも、「パブリックスピーキング」が1位に。プレゼンが得意なイメージのある西洋人でさえ、人前で話すことは、怖いことなのです。
「プレゼンで失敗するかもしれない」「人前で話すのは緊張する」のは、実は当たり前のこと。まず、この事実を受け入れることからはじめてみてください。たとえ口がうまく回らなくても、手が震えても、気にしないことです。檀上で、「緊張しています」と公言してもいいでしょう。それを咎める人は誰もいません。むしろ聴衆は、共感や応援をしてくれるはず。緊張を隠そうとして、肝心のプレゼンテーションがなおざりになることのほうが問題です。
誰しもプレゼンが苦手であるということは、裏を返せば、トレーニング次第で大きなアドバンテージを得られるということなのです。
マインドセット 第2条 プレゼンは“生きざま”
私は年間300件以上の登壇を行っていますが、依頼されるプレゼンのテーマはさまざまです。本業に直結するものもあれば、まったく専門外の内容を頼まれることもあります。
どんなテーマであったとしても、毎回必ず〝澤円にとって、そのテーマはどのような意味や価値を持つのか〞を考えるようにしています。澤という人間とテーマとの接点を探るのです。
私というフィルタを通して物事を語れるようにしておくことで、どこかで聞いたことがあるような表面的なトークではなく、私にしか話せない内容になります。自身の内側から出た言葉なので、人に伝えようとするパワーも大きくなるでしょう。
ただ、この事前準備を行うためには、まず”私はどのような人間で、他人からどう見られているのか”といった自己理解をしておく必要があります。プレゼンとは、自分がどのように生きてきたかの延長線上にあるものです。時として、残酷なほどに”生きざま”が出ます。「生きざまなんて大袈裟だ」「私は〇〇株式会社の□□(役職)として檀上に立っているだけだ」とおっしゃる方がいますが、私は、一人の人間としての自己理解や自己開示なしに、伝わるプレゼンなんてできないと思います。
たとえば「営業課長という役割を任せられているから仕方なく製品の特長を語る人」と「”この製品は自分の生活に欠かせない、すばらしい製品だ”と本心から思い、製品の特長を語る人」
―どちらのプレゼンが聞き手の心を揺さぶるかは、言うまでもないでしょう。