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福満景子【第25回】伝わる話し方とは – 研修講師リレーコラム
福満景子プロフィール
福満 景子(ふくみつ けいこ)
フリーアナウンサー/人財育成コンサルタント
鹿児島県出身。新卒で銀行勤務後、NHKキャスターへ転身、テレビ・ラジオなど各メディアで活動。40代前半で『日本でいちばん大切にしたい会社』(坂本光司著/あさ出版)に衝撃を受け、大学院の坂本研究室へ。そこで「人を大切にする経営」を軸に企業研究と視察および、多業種の経営者の取材に携わる。坂本光司氏と坂本研究室の共著で書籍『「日本でいちばん大切にしたい会社がわかる」100の指標』(朝日新書)、『幸せな職場のつくり方~障がい者雇用で輝く52の物語~』(ラグーナ出版)、『日本でいちばん社員のやる気が上がる会社—家族も喜ぶ福利厚生100』(ちくま新書)の制作に関わる。現在はアナウンサー業に加え、講演・研修・個人レッスンを行っている。講座内容は「好感度がアップする話し方講座」「人に好かれるコミュニケーション講座」「信頼される話し方講座」「オンラインで伝わる話し方講座」といった話し方・コミュニケーション講座以外にも、「人を大切にするおもてなし講座」「信頼されるビジネスマナー講座」など多岐にわたる。3児の母。海と空と旅が好き。フルート吹き。
(※本記事は、2021年3月現在の書き下ろしです。)
伝わる話し方とは声を磨き、本気で話すことから始まる
「あなたは自分の声と話し方が好きですか」
この質問に積極的に「はい」と答える人は多くありません。ほとんどの人は「もっといい声になりたい」「説得力のある、分かりやすい話し方を身につけたい」「一瞬で人を惹つける話がしたい」など成長意欲を持っています。しかし、日常では声や話し方を学ぶ機会はなかなか訪れないものです。
本を読んで独学で学ぶ方もいらっしゃいますが、学んだことをご自身で実際に使うレベルまで落とし込むこと、またその方法を考えることはなかなか難しいのが現実です。
ですので、コミュニケーション研修や話し方研修は変化を促すきっかけになります。声や話し方は、何が良くて何を改善すべきか、第三者に言われて初めて変化できるものだからです。
私は、研修講師として話し方や、声の出し方の研修なども行っていますので、受講者から、「伝わる話し方のコツは何ですか。コツを簡単に教えてください」とよく聞かれます。技術的なコツはいくつか挙げられます。
①結論から話す。
②一文一義(一文を短く、一つの意味)で伝える。
③具体的なたとえ話を盛り込む。
④数字で表現する。
⑤できるだけ専門用語を使わない。
⑥横文字を使わない。
⑦話す相手の年代にあった事例を挙げる。
⑧相手の理解のスピードに合わせる。
しかし、技術的なコツだけでは、伝わる話し方ができるとはいえません。では、伝わる話し方には何が必要なのでしょうか。
それは、言葉だけでなく自分の熱意も相手に届けようと、本気で相手に向き合うことです。
表情やジャスチャーを使い、遠回しではなく熱を込めてシンプルに伝える。そうすることで、言葉も熱意も相手に届きます。本気の熱意が伝わることが、人の気持ちを動かし、行動を促すのだと考えています。また、声も重要な役割を果たします。
口元だけのぼそぼそと力のない声で話すのではなく、相手に届けることを意識してお腹から発することが大切です。声が塊としてポンと相手に届くようなイメージで、お腹から話すことで響きのある声になります。伝わる話し方のコツだけにとらわれず、「これを伝えたい」という熱意、本気の思い、そして声を磨くことがなによりも大切だと考えています。
銀行員からNHKキャスターに転身し、専業主婦を経て現在はフリーアナウンサー、研修講師という異色な経歴の中、一貫して話す仕事を続けてきました。
企業研修の講師が務まるのは、この経歴のおかげだと思っています。不器用なため、失敗をしては学習し、また別の失敗で学習する、という数多くの失敗経験があります。研修ではそんな自分の経験を事例にし、お話しています。参加者が素直に耳を傾けてくれるのは、私の失敗からの経験談が共感を呼ぶからかもしれません。
これからも研修を通じて人財育成に携わり、その人らしい活躍につながるように、笑顔が広がるサポートができたら幸せです。