働き方・生き方
HUMAN RESOURCE DEVELOPMENT 人材育成
藤井由貴【第19回】「笑顔でコミュニケーション」を体現し、チームビルディングを実現させる! – 研修講師リレーコラム
藤井由貴プロフィール
藤井 由貴(ふじい ゆき)
研修講師。
日本航空国際線客室乗務員として勤務し、首相訪朝時には特別便に乗務。退職後も「サービスの現場」で働くことにこだわり、大手銀行VIPラウンジの立ち上げや、HRイベントなど現場統括を数多く担当。その後、コミュニケーションを主軸とした研修講師として独立。企業研修には仕事の現場との乖離があってはダメだと感じ、大手企業で内勤実務も経験した。プライベートでは子育て奮闘中。研修講師としても親としても、人を育てる難しさ、楽しさを感じる日々を送っている。
「笑顔でコミュニケーション」を体現し、チームビルディングを実現させる!
私は、研修講師になる前に、客室乗務員として10年以上接客の場で仕事をしていました。客室乗務員という仕事は、フライトごとに異なるメンバーで即興チームを組み、サービスにあたるという少し特殊な仕事です。
即興チームでも、うまく回るとサービスの質がぐっと上がり、現場に笑顔も増えます。逆に、うまく回らずギクシャクとした現場になることもあります。うまくいくチーム、うまくいかないチームの違いは、『笑顔でコミュニケーションが取れるチームであるかどうか』だと考えています。
チーム内で笑えないのに、お客様を笑顔になどできないのです。同様に、笑顔でコミュニケーションがとれないチームでは、お客様と笑顔でコミュニケーションもとれないのです。
研修も、初めての相手と即興チームを組み、短い時間で成果を出すことが求められます。ビジネス経験が豊富なビジネスパーソンは、プロジェクトの業務経験があるため、即興チームで仕事することに慣れているでしょうが、新入社員研修が社会人としてのスタートとなる新入社員はそうはいきません。新入社員研修が、チームとしてうまく機能するためにはどうすればいいのでしょうか。
私は新人研修の時に、クラス全体を職場のチームのように捉えて進めるようにしています。そこで最も気をつけることは、もちろん「笑顔でコミュニケーション」です。
受講生のなかにはコミュニケーションそのものに恐怖心があり、自信がない人が必ずいます。そういったサポートが必要な人を見落とさず、その人が笑顔でコミュニケーションできるように丁寧にサポートすることが重要です。
具体的には、距離感を近くし、個別コミュニケーションを他の人より多くとることを心掛けます。ここで1点気をつけたいのが、コミュニケーションが苦手な方は、特別扱いにも敏感な方が多く、特別扱いされているとわかると、心を閉ざしてしまう傾向があることです。特別扱いではなく、気にしているよ、目をかけているよ、ということがさりげなく伝わるようなサポートを心掛けています。伏し目がちだった人が、まっすぐに講師の目を見て、本人から何らかのアプローチをしてきたらサポートは成功です。
あとは講師自身がチームのリーダーとして、笑顔でメンバー(受講生)を信じて、自由に動けるようサポートし、何かあったらフォローは任せろ!という心意気で研修を進めるのみです。
笑顔でコミュニケーションをとりながら個人それぞれの強み弱みを活かし、一丸となって目標に向かう。厳しささえも楽しめるような、あのチームで動く楽しさを、研修内で少しでも味わってもらうことで、研修後の職場や仕事につながりやすくなる研修になると考えています。研修はもちろん、現場の業務でも、「笑顔でコミュニケーション」をぜひ意識して取り入れてみてください。
(※本記事は、2019年1月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)