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宇都出雅巳【第6回】この本を読んだというのはどの時点で判断するか – 速読勉強術のプロ まとめてグルグル10冊書評
【コラムジャンル】
10冊 , ダイヤモンド社 , ノウハウ , まとめてグルグル , リーダーシップ , 仕事が楽しくなる!25のルール , 勉強術 , 大林伸安 , 宇都出雅巳 , 書評 , 本 , 竹内薫 , 第6回 , 速読 , 連載
2015年03月16日
「仕事が楽しくなる!25のルール」あなたはどう読みたい?
さて、最終的にこの『仕事が楽しくなる!25のルール』はどのように読んでいけばいいのでしょう? どこで「この本を読んだ」と言えるのでしょう?
こういったビジネス書、ノウハウ本の場合、見ていかなければならないのは、本を読んで「そういうことか」とやるべきことを知って終わるのか? 実際にそれを日々の仕事で実践、行動するのか? ということです。そういう意味でいうと「読んで終わり」ではなく「読んでからが始まり」と言えるわけです。たとえ、この本を全部読んだとしてもそれを実践しなければ意味がないですよね。そう考えると、たとえ、読んだところはこの本の一部、数ページだったとしてもそこを徹底的に実践していれば意味はあるわけです。
先ほど、「この本を読んだ」というのはどの時点で判断するのか? という問いを投げかけましたが、実は本というのは読んだか? 読んでいないのか? という話でもないわけです。そう考えればこの本にはいろいろな読み方が考えられるでしょう。
たとえば、毎日1つのルールを読み、それを1日意識して一つでも二つでも実践に移すという読み方があるかもしれません。その際も、毎日違うルールに挑戦してもいいでしょうし、1週間は同じルールを読み、実践するということもあるでしょう。また、1週間は毎日あるPartの5つのルールをすべてに目を通し続け、1日一つはルールの実践を行うという読み方、行動の仕方もあるでしょう。こう考えたときに、「1冊10分で読む!」とか「読書速度が3倍になる!」といった速読なるものがあまり意味のないことにも気づかれるでしょう。
そして、行動するということを視野に入れた速読をするためにも、速読技術よりも、目次からまえがき(はじめに)などから読んでいって全体をつかんでいく読み方が重要になるわけです。
リーダーシップ論・リーダー育成本としても読める「仕事が楽しくなる!25のルール」そもそもこの本はなに?
そろそろ『仕事が楽しくなる!25のルール』についての解説を終わり、別の本に移ろうと思いますが、そもそもこの本は何の本なんでしょう?
「それはタイトルにあるように、仕事が楽しくなる25のルール、サブタイトルから言えば、働き方の黄金法則でしょう」と言われるかもしれません。確かにそうですが、私は今改めてプロローグの目次やはじめにを読んだときに引っかかった「仕事を楽しくする」、「自分で仕事を楽しくする方法を見つけていくしかない」という言葉が響いています。
本書には25にもわたって、仕事が楽しくなる、そのために行う具体的なルールが書かれていますが、その根底にあるのは、他人や環境、仕事自体を理由にせずに、自分自身に原因を求め、自分ができることからやっていこうという姿勢ではないのか、と思うのです。
これはまさに広い意味での「リーダーシップ」と言ってもいいと思います。被害者、犠牲者の意識からではなく、自らが創造者、主人公として生きていくことですから。そしてこういった意識、心構え、Being(あり方)があって初めて、具体的なルールが実践できて、その行動に心が伴うといえます。また逆に言えば、具体的なルールを実践することを通して、自らが創造者、主人公として生きていく意識の変革(イノベーション)がもたらされるとも言えます。
どちらにせよ、本書を「仕事が楽しくなる」ためのハウツー本ととらえることもできますが、もっと深くとらえれば、リーダーシップ論であり、リーダー育成書とも読めるわけです。またこれは、著者の大林氏が「仕事が楽しくない」と不満を持っていた若手社員から仕事にリーダーシップを発揮し、研修会社の社長(リーダー)になるまでの道のりを描いた本とも読めるでしょう。
そう考えるとまたこの本が違った形で読めたり、感じるところが違ってくると思います。こう考えると「この本を読んだ」というのはどの時点で判断すればいいか、またわからなくなってくるかもしれません。ぜひ、さらに考えていってください。
ここまで、「仕事が楽しくなる!25のルール」を例に読み方をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。
この読み方を理解いただいたところで、次回からは、宇都出式のグルグル書評を本格展開していきます。
お楽しみに。
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速読勉強術、仕事のミスをなくすビジネススキルに関する講演、研修などができるトレスペクト教育研究所代表 宇都出 雅巳 講師のプロフィールはこちら