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坂本行廣【第3回】諏訪貴子氏 町工場発!女社長の経営改革と人財改革 – 【ノビテクマガジン倶楽部主催講演会】研修講師の書き下ろしreport
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2015年02月15日
ダイヤ精機株式会社 代表取締役 諏訪貴子氏をお迎えした「町工場発!女社長の経営改革と人財改革」の様子を研修講師 坂本行廣氏がレポートいたします。
坂本行廣(さかもとゆきひろ)
<人材・組織開発ファシリテーター/メンタルコーチ>
人材・組織開発コンサルティング会社で階層別教育など各種研修、組織風土改革、次世代リーダー育成プロジェクトなど各種プロジェクトの開発、実施に携わる。研修では、理と情のバランスを重視し、受講者が頭で理解し、心で納得することを心掛けている。2013年にプレイフルワークスを設立し、現在は仕事をプレイフルに楽しめる人材、組織作りに取り組んでいる。
ノビテクマガジン倶楽部が主催する講演会の様子を研修講師のわたくし坂本が毎回レポートいたします。
町工場発!女社長の経営改革と人財改革
2014年11月10日(月)の講演会は、日経WOMANウーマン・オブ・ザ・イヤー2013をはじめ数々の賞を受賞したダイヤ精機株式会社社長の諏訪貴子さんでした。
ダイヤ精機は、ものづくりの町、大田区を代表する精密金属加工メーカーで、諏訪貴子さんは創業者のお父様の後を継いだ二代目社長です。二代目社長ということで、順風満帆の人生かと思いきや全く逆で、「谷あり谷あり」 の人生だったそうです。就職活動時は氷河期で、かつ女性で工学部出身のいわゆるリケジョには求人がほとんどなく、何とか入社した自動車部品メーカーでは秘書課に配属のはずが、創立以来唯一の女性工員(上下に作業着を着ている唯一の女性社員)として好奇の目に晒され続けたそうです。その後、お父様からの依頼があり、ダイヤ精機に入社するものの会社再建策として人員削減を提案したところ、ご自身がリストラされたそうです。しかも2度も。。。
その後、お父様のご逝去に伴い社長に就任したものの、銀行から合併の話を持ちかけられるなど苦難の連続だったそうですが、「駄目だったら謝ってすっぱり辞めよう!」と開き直り、3年の経営改革を断行していくことを決めたそうです。
その3年の経営改革の中で、私が最も印象に残っているのが、諏訪さんの「今出来ることをしよう!」という姿勢です。例えば、戦略策定のためSWOT分析し、自信満々に色々な方に意見を伺ったところ、
「これはあなたの目線でしょ。お客様の目線が入っていない!」
という厳しい指摘を受け、落ち込むのかと思いきや、さっそく取引先に伺い
「なぜ、うちに仕事を出してくれるのですか?」
と質問されたそうです。先方は、「そんなこと聞く社長は初めて」と言いつつ率直に教えてくれたそうです。他にも、昔は一社依存型の経営で、2008年のリーマンショック時は売り上げが9割減になってしまい、仕事がほとんど無くなってしまったそうです。ただ、時間だけはあったので、その一社にフットサルの試合を申し込み、見事勝利すると同時に普段会えない両社の社員がコミュニケーションできる良い場になったと笑いながら話されていました。ちなみ翌年は負けたそうで、さすが大企業は人材が豊富だと笑っていらっしゃいました。
なぜ、私がこの「今出来ることをしよう!」という姿勢が印象に残ったかと言うと、この考え方がアドラー心理学でいう「今この瞬間を生きる」に通じるものだからです。「今この瞬間を生きる」とは、過去に囚われず、未来に思いを馳せるのではなく、まさに今この瞬間を真剣に、真摯に生きるということです。人生を“線”で捉えるのではなく、一瞬一瞬の“点”の繋がりで捉える考え方です。
中小企業は、経営資源である「人」「モノ」「金」「情報」「時間」のほとんどが十分ではなく、将来に対する不安も大企業に比べると格段に大きい状況で、足りないもの、必要なものに目を向け始めると、それこそ一歩が踏み出せないという状況に陥ってしまいます。諏訪さんを見ていると、軽やかに今、この瞬間を生きていらっしゃるなと感じました。一緒に働くと、しんどいけど、きっと面白い時間を過ごせるだろうなと思う、とっても素敵な方でした。
今回も刺激ある学びの機会をいただきありがとうございました!
いや~、学ぶって楽しいですね。