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宇都出雅巳【番外編】仕事効率を高める読書術 – 速読勉強術のプロ まとめてグルグル10冊書評
【コラムジャンル】
10冊 , かばんはハンカチの上に置きなさい , スクーWEBキャンパス , ダイヤモンド社 , まとめてグルグル , 勉強術 , 宇都出雅巳 , 川田修 , 書評 , 本 , 番外編 , 速読 , 連載
2015年02月04日
宇都出講師!スクーのオンライン授業でとりあげた書籍の速読書評!
今回のグルグル10冊書評は、番外編として、2月3日に実施した、“スクーWEBキャンパス”のオンライン授業で扱った書籍「かばんはハンカチの上に置きなさい」(著/川田修 ダイヤモンド社)の書評をお届けします。
「仕事効率を高める読書術」というテーマでオンライン授業を行ったのですが、その中で速読実践する本としてこの本が選ばれ、30分間速読を実践いたしました。
「かばんはハンカチの上に置きなさい」 川田修著
著者はプルデンシャル生命保険のトップセールスである、川田修さん。タイトルの「かばんはハンカチの上に置きなさい』、そしてサブタイトルの「トップ営業がやっている小さなルール」からわかるように、営業マン・ウーマンがすぐに実践できるルールがいっぱいの本です。
正直、この本を最初見たとき、ウっと抵抗感がありました。私は30代前半に営業コンサルティングや営業トレーナーをやっていた時期もあり、セールストークの本を出したり、アメリカのセールス本を翻訳もしているのですが、実際の営業経験が少ないため、コンプレックスがあるからなんです。
しかも、「はじめに」には、「本は年間3冊ぐらいしか読みません」という言葉。年間1000冊以上読んで、まさに「もっと本を読みましょう」という読書術を教えている授業の私にとっては、「あたた……」でした(苦笑)。また、「情報収集や机上の勉強よりも、もっと大切なことがあるのです」という言葉も。あのプルデンシャル生命でトップセールスの実績をお持ちの方にここまで言われると、何も言えないですよね。
「書を捨て、営業に出よ!」と締めたいところですが、もう少し本を読んだ感想を。
まずは目次から本書の構成を。
5章から成り立っています。
第1章 相手目線でちょっと違うことをやる(80ページ)
第2章 「ちょっと違うこと」から気づく、大事なこと(12ページ)
第3章 営業マン・ウーマンは弱いものである――自分の弱さを認めるということ(23ページ)
第4章 そんな私も新人でした。営業現場で一から学ぶこと(34ページ)
第5章 営業とは、お客様と物語を作る仕事である(49ページ)
章タイトルを読まれてどんな印象を持たれたでしょう? 何がわかったでしょう? どの章に興味をひかれたでしょう?
このようにざっくりと章タイトルを読むだけで、いろいろわかったりします。
各章のページ数をご参考までに書きましたが、おわかりのように第1章が全体の4割ほどしめています。逆に第2章は1割もありません。第1章はタイトルからも想像できるように、本のタイトルにもなっている「かばんはハンカチの上に置きなさい」をはじめとする、さまざまな「相手目線に立った」「ちょっと違ったこと」がずらりと並んでいます。本書の「ウリ」の部分と言えるかもしれません。
ただ、ページ数の少ない第2章が、「ちょっと違ったこと」がずらりと並んだ第1章をググッと締める大事な章になっています。分量も少ないので小見出しを挙げておきましょう。
●テクニックは人真似から始まる
●真似の先に、大きな変化がある
●お客様は、商品と一緒に空気を買う
●社内でもワイシャツの腕まくりをしない、本当の理由
最初の「テクニックは人真似から始まる」。ここで、第1章でずらりと並んだテクニックをとにかく人真似でいいのでやってみなさいと伝えています。そして、次の「真似の先に、大きな変化がある」では、「そういっても……」と二の足を踏むだろう読者に、「真似の先」を示してググッと背中を押しています。
私なりの視点でいうと、第1章が行動や振る舞いといった「DOING(やり方)」に焦点を当てた章だとすれば、第2章は価値観や人格といった「BEING(あり方)」に焦点を当てた章といえます。たくさんの営業テクニック本、そして営業の心構えを説いた本はありますが、両方兼ね備え、そこをつなぐところまで書いた本はなかなかないように思います。
第3章、第4章は、今やトップセールスとなった川田さんも昔は……ということで、川田さん自身の弱さや失敗をさらけ出し、読者との親近感を作っている章ですね。
そして最後の第5章。お客様の立場に立つことの大事さを、川田さんと実際のお客様との間であった物語を通して繰り返し語られている章です。第3章、第4章が川田さん自身に焦点を当てて営業を語った章だとすれば、この章はお客様を通して営業を語った章だといえるかもしれません。
この章の最後から2つめの節・「一生の『手に職』としての営業」では、川田さんの思う営業という仕事の本質がズバリとまとめられています。そして最後の節・「営業という仕事の、真の魅力」で、このタイトルどおり、営業という仕事の魅力、そして、そんな仕事を伝えたいという思いから本書を書いたことが語られます。
で、やはり、年間3冊しか本を読まないという川田さんならではといいますか、とても大事な言葉で締めくくられていました。
「ただし、一番大切なことは、本の中ではなくお客様と皆さんの間にあるということを忘れないでください。」
さすがですね。
なお、本好きの私という視点から付け加えたいことが一つ。
年間3冊しか本を読まないという川田さんですが、最後の章で「本は内容だけでなく、気持ちを贈るもの」「本は、自分の人生観を伝えるもの」として14ページにわたって、本について書かれているんです。「本は読むもの」と思いがちな私にとって、別の視点で本をとらえさせてくれるものでした。
本書を速読実践した授業が終わって、番組作成スタッフの方から、「宇都出さんならこの本、何分で読まれます?」と聞かれました。私は「とても読みやすいので、15分か20分ぐらいでしょうか」と答えました。
その言葉に嘘はありませんが、それですべて「読んだ」とか「わかった」と言えるものではありません。あくまでも今の時点の私と本書との読書経験に過ぎないからです。
本書に書かれている「ちょっと違うこと」やそれを自分の仕事に当てはめて気づいたことを実行してみて、初めて「読んだ」と言えるかもしれません。実践したあとに改めて本書を読み返して、「川田さんの言いたかったことはこういうことだったのか」と自分の読みの浅さや、読み間違いに気づくかもしれません。
また、本書を1か月間、常に持ち歩き、毎日ほんの少しでも読んで、心がけることが、本書を読むことかもしれません。それは川田さんというトップセールスに営業同行、営業指導してもらうことに近いともいえるでしょう。
本というのはさまざまな読み方があります。そして、今、本を読んで思ったり、わかったことは、今のあなたと本に起こった体験に過ぎません。私が紹介している高速大量回転法という速読も一つの選択肢として、あなたと本との付き合いを豊かにしてもらえれば、うれしいです。
スクーWEBキャンパスでは、2月10日にも、「忙しい社会人のための、仕事効率を高める読書術〜「読む」ということの本質理解」をテーマにオンライン授業を行います。
お時間ございましたら是非、ご参加ください。
追伸:1000名近くの方々にお申し込みをいただいております。この場を借りて、皆様に心より御礼申し上げます。
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速読勉強術、仕事のミスをなくすビジネススキルに関する講演、研修などができるトレスペクト教育研究所代表 宇都出 雅巳 講師のプロフィールはこちら