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西村佳隆【第2回】イノベーションの天地人の具体事例とは? – イノベーションの天地人~普通の人による創造的イノベーション~
“イノベーションの天地人”の具体事例とは?
みなさんこんにちは。西村です。
前回は西村流 天・地・人で終わりました。
【西村流 天・地・人】
〇天のイノベーション:天才のイノベーション
〇地のイノベーション:地道な研究の積み重ねによる技術イノベーション
〇人のイノベーション:普通の人の力による創造的イノベーション
今回は“イノベーションの天地人”の具体事例を挙げるところからスタートいたします。
〇天のイノベーション:天才のイノベーション
少し古いかもしれませんが、iPhoneでしょうか。iPhoneは日本の電機メーカーの技術者曰くは、別に新しいものでもなく、日本でも作れたそうです。しかしハードとしてのiPhoneはそうであっても、その背後にある音楽やアプリのプラットフォームビジネスも含めると世界に大きなインパクトを与えたイノベーションでしょう。
〇地のイノベーション:地道な研究の積み重ねによる技術イノベーション
電気自動車や、次に来ると言われている燃料電池車などですかね。
〇人のイノベーション:普通の人の力による創造的イノベーション
急に小さい話になってしまいますが、私は“カドケシ”を見たときその着眼点の素晴らしさに驚きました。http://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/kadokeshi/
私は子どものころに細かい部分を消すためにカドを残していたことを思い出しました。コクヨ社の誰かがそこに気づいたんですよ!きっと。ユーザーアンケート調査をしても、技術研究をしても、「カドが多い消しゴム」なんて出て来ません。
私がこのコラムで取り上げたいイノベーションは、主にこの“人のイノベーション”=“普通の人の力による創造的イノベーション”についてです。
このコラムが、読者の皆さんの“イノベーション脳”を促進し、イノベーション人材の育成やイノベーティブな商材を生み出すことに少しでも役立てればいいと考えています。
西村佳隆とイノベーションへの関わり
さて、ここまで色々と語ってきましたが、ここで私の自己紹介とイノベーションへの関わりをお伝えすると・・・
現在、 “創造性教育・創造性開発”と“価値創造コンサルティング”の旗を掲げて活動をしています。
約20年間のメーカー、外食、コンテンツプロバイダー、玩具と、多様な業界において新商品や新事業のプロデュースと、既存商品や既存事業のテコ入れを行ってきました。また、それと並行して約10年、起業支援NPOや、自治体や企業に対するコンサルティング、地域活性化活動、子ども・若者への創造性教育などを行っています。
生み出す・仕掛けることに無上の喜びを感じる、挑戦することにワクワクする、そんなタイプです。これまでも、これからも、「生み出す、仕掛ける」をキーワードに活動し、社会へ貢献したいと考えています。
これが、天地人 西村です。
“オープンイノベーション“、“デザインシンキング”
みなさんは、“オープンイノベーション“、“デザインシンキング”というワードを耳にされたことはないでしょうか?これらのワードは、実はイノベーションに関連したワードなのです。
オープンイノベーションは、時代に先駆け10年以上前から手掛けています。
私が以前バイクメーカーに勤務していた2000年代前半に、原宿でカフェをオープンさせました。それが今風に言う、メーカーのオープンイノベーション拠点です。それは、当時の社長特命プロジェクトで、原宿界隈の情報感度が高い仕掛け人達と組んで、互いの自社商材にイノベーティブな付加価値を生み出そう!という取り組みでした。
原宿の裏通りに、見た目はオシャレなカフェをつくりました。裏通りに作ったのは観光客に来てほしいのではなく、観光客に対して仕掛けている側の人たちに集って欲しいから。そんな当時で言うストリート系のデザイナーやアーチストたちとコラボ活動を展開する拠点として作成しました。
デザインシンキングとは、新しい発想を生む手法のことで、外観デザインがどうの、という話ではありません。
このキーワードもここ1,2年でよく聞かれるようになりましたが、人の行動に焦点を当て、なぜ使う(楽しむ)のか、そしてなぜ使わない(楽しまない)のかを行動から洞察し、素早い思索と試作と検証することで、イノベーションを生み出す、というものです。
デザインシンキングについては、詳しくはこちらをご一読下さい。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/design/20140508/264172/
“オープンイノベーション“、“デザインシンキング”、その名前は知らなかったのですが、私が商材や事業開発(イノベーションを起こした)をした時に、これまで普通に使ってきた手法でした。これらによってヒット商材を生み出し、事業と社会に貢献し、社内外の賞なども受賞してきました。
と、ここまでやや自慢話めいたことを書いて参りましたが、光があれば影がある。表があれば裏があるわけで、「バカか、おまえは!」、「おまえは何を言ってるのか、わからない!」こう罵られたことは数知れず。全員が賛成する考え方やアイデアは、その時点で独創的であってもクリエイティブでもイノベーティブでもない。もちろん私の伝え方が単に下手な場合もあるとは思いますが。(この社内理解、社内説得のストレスのせいで(と、自分で思っている)髪の半分は白髪です。)
社内に立ちはだかる壁を、ものともせずに突破していった!
などという武勇伝はあまりなく、ガックリとうなだれていたことも少なくありませんでした。
「イノベーションはガラクタの山から生み出される」
ある方とイノベーションに関する話をしていたときの発言です。質より量。イノベーションはトライ、壁、失敗、を経た中から、次に生かし、学び、生まれる。
(かもしれない)
そうなんです!
“かもしれない”レベル。
イノベーション観点での成功と失敗
私も恥ずかしくてここに書けない失敗をしております。一般的には、“成功の反対は失敗”ですよね。イノベーションの観点からは違います。
成功の反対は何だと思われますか?
“何もしないこと”
“成功の反対は何もしないこと”です。
では失敗とは?
失敗とは、成功へのプロセスです。失敗を経て学ばないと成功しません。そのことを日々実感しております。
理解し難い人、扱いづらい人、自己主張が強い人、失敗ばかりする人。これまでの会社の常識では、研修や指導によって軌道修正される人材ではありませんか?ここまでお読み頂いた方はもうおわかりだと思います。
これらの人はイノベーションのポテンシャルがありそうですよね!
「新しい取り組みが生まれてこない」
そう嘆いていらっしゃる会社や経営者の方々の声が聞こえてきます。
でも、それって、
・優秀な管理者ばかり揃っていませんか?
・“売る事”が目的なのに、“社内議論を勝ち抜くこと”が重要になっていませんか?
・挑戦を尊ぶ雰囲気になっていますか?
“働かないアリ”の話はご存じでしょうか?
働きアリのうち2割は働いていないそうです。しかし、この働かずにフラフラとほっつき歩いている2割のアリが、新しいエサのありかを開拓してくるそうです。新しいエサが見つかると8割の働いている働きアリがやってきてエサを巣に運ぶ。働かない(ように見える)2割のアリを取り除いても、残った8割の中からまた働かない(ように見える)2割のアリが出現するそうです。
8割のアリ⇒日常の主力業務のマネージャーやスタッフ
2割のアリ⇒新しい世界を見つけて来るイノベーター
ではないでしょうか?
イノベーションを起こすために
さてみなさんへ投げかけです。
・イノベーションを起こせる社員をどう育てていますか?
・イノベーションを起こせるチームをどう育てていますか?
・イノベーションを起こすために、社内の風土をどう醸成しますか?
現在、私が掲げた創造性教育に共感している同志の一人が、人の感性や考え方を分析するシステムを持っており、<イノベーション人材向けAI(人工知能)特性分析システム>を一緒に作りました。
これは社会心理学、組織心理学、統計学に、かつコンピュータによる多変量解析を組み合わせることで開発されたもので、自由記述の文章から、それを書いた人の特性を判断・分類する。これまでの特性分析では回答選択式のため、キャラクターを演じることも可能であったが、文章から分析するため、より自然な状態での特性把握が可能になります。
このシステムで、望まれるイノベーション人材を創出する一助になるのではないかと期待をしています。(別の用途として、このシステムで顧客の声を分析し、商材開発に活かすことも可能になります。)
私は実戦&実践での叩き上げです。講師専門の方のように流れるような伝え方はできないかもしれません。しかし、実体験に基づく知見や話は大手企業管理職レベルの方々にも大変喜ばれております!会社に在籍しながら、東大の博士課程に在籍されていらっしゃる方からも「この考え方(私の講座での話)をゼミで紹介するよ!」と言って頂いたこともあります。イノベーション関連の人材研修やセミナー、商材や事業開発の助っ人としてお役に立てることと思います。
最後に
これを読んで頂いたということは、イノベーションについて自社のあり方に課題意識を持たれていらっしゃいますよね?どのようなことを課題だと考えていらっしゃるのか、よろしければお聞かせ下さい。また今回のご感想なども。
ノビテクマガジン事務局へのメールや投稿を頂けますと幸いです。
みなさまからのご意見によってこのコラムを作って行けたら、より面白いものになると思いますので。
次回は、私が行ってきたイノベーションのお話をいたします!