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西村佳隆【第5回】イノベーションを生む組織 – イノベーションの天地人~普通の人による創造的イノベーション~
トピック:発想のジャンプが素晴らしい!
こんにちは、イノベーションの天地人の西村です。
驚きました!今回のトピックを聞いて下さい。
これです↓
“持ち運べるクルマ” WalkCar(ウォーカー)というそうです。
ココアモーターズHPより
http://www.cocoamotors.com/
まるでマックのパソコンに乗っているみたい!
120kgまで乗れるEV(電気自動車)とのこと。これまで自動車といえば、周りを部屋状に囲まれていて、“一番小さいクルマ”でも、1人乗りで50ccスクーターのエンジンを搭載したものでした。
例えば、ミツオカ自動車の“マイクロカー”シリーズ
ミツオカ自動車HPより
http://www.mitsuoka-motor.com/lineup/history/microcar/
ところが、先ほどのWalkCar は、パソコンサイズ!!自動車の思い込みを取っ払って、“手軽な移動具”を、と考えたらあの提案になった。既存の価値観にとらわれない、発想のジャンプが素晴らしい!この観点から驚き、脱帽した次第です。
前回のおさらい
さて、前置きが長くなりました。そろそろ本題に入ります。このコラムでは、
【西村流 イノベーションの天地人】
この3つめ
・人のイノベーション:普通の人の力による創造的イノベーション
について、今回も語ります。
イノベーションには、『外から見えやすいイノベーション』と『外から見えにくいイノベーション』の2種類あることをこれまでの回でお伝えしてきました。
前回はサービスや商品そのもののイノベーション、“外から見えやすいイノベーション”についてお伝えしました。今回から2回にわけて、”外から見えにくいイノベーション”についてお伝えしていきます。
”外から見えにくいイノベーション”とは、
製品やサービスを生み出す仕組みや生み出す組織などについてのイノベーションで、外部からはわかりにくく気づきにくいため、マネされにくく、長期にわたり独自性や強みを維持しやすい
という特徴をもっていました。
この”外から見えにくいイノベーション”は、
①今あるものを別視点で考えることにより、別の価値提案が出来ないか、考えてみる
②新しいものを生み出す専門チームをどう作るのか
③売れる要因の見極め。どんなことを指標にビジネスを進めていくのか
(売りたい商材の売上以外に、その売上をアップさせる要因が何かあるかを見極める)
この3つの事項を意識し考えて進めるといいという話を、前回まででしてきました。①の話は、前回の「外から見えやすいイノベーション」でお話したので、今回のコラムでは、 ②新しいものを生み出す専門チームをどう作るのか を説明しましょう。
専門チームを作るためには、“イノベーションを生む組織”と”社内でイノベーションを生む仕組み”の両方を作る必要があります。
イノベーションを生む仕組みや組織体制を作ると、
・複数回のトライをするので、イノベーションが生まれる可能性が高まる
・外(競合)からは見えにくいので強みの源泉になる
というメリットが生まれます。
それでは、“イノベーションを生む組織”はどうつくるのでしょうか。これには大きくは以下の2つの視点があります。
◇構成メンバーの特性
◇イノベーションの段階に応じた役割
をれぞれを詳しく見ていきましょう。
構成メンバーの特性とは?
天地人のうち、“人のイノベーション”の部分ですね。
さて、突然ですが、“イノベーションを生む人材”とはどんな人でしょうか?
イメージしてみて下さい。
独創的な人?
常識にとらわれない人?
“組み合わせ”が上手な人?
どんな人をあなたは、イノベーションを生む人材だと思いますか?
実は、イノベーションを生むチームに必要なタイプは5つあります。
(必ずしも、いつも5つのタイプが必要になるとは限りません)
①“我が道を行く”独創タイプ
②“科学者”分析タイプ
③“やってみて考える”行動タイプ
④“見守る”お母さんタイプ
⑤“堅実な”管理者タイプ
①②③のタイプは納得感があると思います。しかし、④⑤のタイプは意外だった方も多いのではないでしょうか?
①、②、③の3タイプはそれぞれ生み出すタイプで、次のような特徴でしょうか。
④と⑤は、そんな彼ら彼女らを育てる両親のイメージでしょうか。
④“見守る”お母さんタイプは、①、②、③の人たちの
・話を聞いてあげることで、さらに力や可能性を引き出したり
・彼ら彼女らの承認欲求を満たしてあげることで、モチベーションを上げたり
・彼ら彼女らのチャレンジを見守ってあげたり
そういったことが役割です。
私の偏見があるかもしれませんが、①、②、③の人たちは少し子どもっぽいところがある人が多いと思います。ですので、それを見守るお母さんタイプが大切な役割なのです。
そしてもう1つの⑤“堅実な”管理者タイプ
イノベーションと管理者。一見すると相反すると思われがちなのですが、意外にも堅実な管理者タイプの方はとても重要です。ただやみくもに抑えるだけではなく、①、②、③の人たちをある程度自由に泳がせながら、締めるところは締める、押さえるところは押さえる、そんな役割です。
①、②、③の人たちは、ややもすると、
・日程やスケジュール通りに動けない・動かない
・計画を立てない
・風呂敷を広げて畳まない
・人の話(会社の言うこと)を聞かない
・自分のやりたいことだけをやる
ちょっと極端な表現ですが、このような傾向があります。このように、“変なヤツら”とその理解者となる④“見守る”お母さんタイプと⑤“堅実な”管理者タイプが、互いに信頼を醸成してゆくことで、イノベーションを生む良いチームとなります。
私西村は、②と③の両方の要素を持っております。(自分はどのタイプになるか、知りたいと思いませんか?実は、そのタイプを調べることができます。それは、なんなのか?それは、このコラムの最後を読んでみてください。)
次に“②新しいものを生み出す専門チームをどう作るのか”の2つ目。
イノベーションの段階に応じた役割とは?
イノベーションの段階は、
1)タネの期間、トライアンドエラーの期間、他のものと組み合わせの期間
2)“モノになるか”の検証と研究の期間
3)ビジネス化の期間
大きくはこの3つがあります。
1)タネの期間、トライアンドエラーの期間、他のものと組み合わせの期間の段階では、①、②、③の人たちが活躍する部分が大きく、④がそれを見守るのです。
1)“モノになるか”の検証と研究の期間の段階では、①~⑤の人たちが連携してコトにあたり、外部との関わりを増やしていきます。
3)ビジネス化の期間段階では、主に⑤の特性の人が、本社機能に対してチームの成果を組み入れる働きかけをします。
このように、生まれたイノベーションが社内的に育ってゆく段階に応じて、必要な特性を持つ人の関わり度合いが変わってくるのです。実際は、①、②、③の人たちはその成果を手放したがらないこともありがちです。しかし、いつまでも彼ら彼女らがハンドリングしていると、効率的にコトが進まないので、関わり度合いを“変える”必要があるのです。
と、ここまで、”外から見えにくいイノベーション”の②新しいものを生み出す専門チームをどう作るのかという課題の中の“イノベーションを生む組織”についてお伝えしてきました。
次回は、”外から見えにくいイノベーション”の②新しいものを生み出す専門チームをどう作るのか”社内でイノベーションを生む仕組み”についてお伝えしたいと思います。
ではまた!
イノベーションを生むチームに必要な5つのタイプを分析
私の仕事は、“顧客を虜にする技術コンサルタント”です。
クライアント企業がサービスや商品、事業を“生み出す”ことや、既存の商材を独自コンセプトの再構築によって“甦らせる”ことを手がけております。
今回のコラム内で取り上げた、『イノベーションを生むチームに必要な5つのタイプ』について、みなさんの会社の従業員の方々や組織を、“イノベーション特性”という切り口で見るとどうなのか?という分析があります。
分析対象の方に、簡単なテーマに沿った300文字程度の文章を書いて頂きます。それを診断システムにかけるだけで、どのタイプに属する人材なのかを診断することが可能です。アンケート形式ではないので、理想の人物を演じた回答ではない、自然な状態を分析することが可能です。
本診断は、ドイツの哲学者シュプランガーにその源流を持つ“ドーゼフ理論”に基づく心理統計技術と、人工知能による自然文章解読技術によるものです。組織づくりの重要なデータとしてご活用頂き、その成果を上げております。
ご興味を持たれた方は、ノビテクさんを通じてご連絡下さい。