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ピョートル・フェリクス・グジバチ【第1回】多様性を高めることが企業生き残りの近道 – ダイバーシティ論 多様性のある組織だけが生き残る
【コラムジャンル】
Feliks , Grzywacz , Piotr , グジバチ , ダイバーシティ , ピョートル , フェリクス , 企業 , 多様性 , 生き残る , 第1回 , 組織 , 論 , 近道 , 高める
2018年10月22日
ダイバーシティ論 多様性のある組織だけが生き残る
「現代においては、思考の多様性が豊かな組織ほど生き残りやすいのです。」
日本で「ダイバーシティ」という言葉が課題になってから、すでに数年が経った。しかし、その中身をきちんと理解し、実践している企業は決して多くはない。ポーランドで生まれ、ドイツ、オランダ、アメリカで暮らした後で来日し、国内外の企業の多様性を実際に体験したピョートル・フェリクス・グジバチ氏に、日本の現状と、ダイバーシティ実現のために取り組むべきことがらを聞いた。
白谷輝英 ≫ 文 佐々木信行 ≫ 写真
(※本記事は、2018年1月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)
多様性を高めることが企業生き残りの近道
今やほとんどのビジネスパーソンは、ダイバーシティという言葉を耳にしたことがあるでしょう。しかし、なぜそれが必要なのか理解している人は、決して多くないように見えます。
ダイバーシティが生み出す最大の効果は、「思考の多様性」を組織にもたらすことです。そして現代においては、思考の多様性が豊かな組織ほど生き残りやすいのです。
現代企業の成長には、イノベーションとマーケティングが不可欠です。そしてこれらの正否を大きく左右するのが、多様性の有無です。例えば、ある企業がワンパターンな人材しか抱えていなかったら、豊かなアイデアが出ず、イノベーションなど決して起こせないでしょう。また、外国人も含めた多彩な消費者のニーズを想像することができず、マーケティングにも失敗してしまうはずです。
例えば、日本のメーカーが作っているテレビのリモコンを見てください。そこには、数十個のボタンが所狭しと並んでいます。あんなにたくさんの機能があっても、とても全ては使いこなせませんよね。それなのに、どうしてこのようなリモコンが生まれてしまうのでしょうか。あるとき、私の講演会を訪れた家電メーカーの社員から、こんな話を聞いたことがあります。「ピョートルさん、お気持ちは分かりますが、我々にはこうしたリモコンを作るしかないんです。だって、競合のA社もB社も、同じようなモノを作っているのですから」
つまり日本のメーカーは、消費者ではなく、ライバル企業しか見ていないのです。
そうした「多機能な商品を大量生産によって安価に作り出し、他社より優位に立つ」というやり方は、1990年代くらいまでなら通用したはずです。そして、効率よく商品を作ることで他社と差別化ができていた当時は、ダイバーシティはむしろ邪魔な存在だったでしょう。ところが、グローバル市場で極端に多様化した消費者ニーズを相手にしなければならなくなった現代では、その手法は完全に時代遅れだと言えます。
今は効率化より、多様性をベースにさまざまなアイデアを出し、イノベーションを実現することが重要になっています。しかし、日本企業には「多様性より効率性の方が重要」という古い発想から抜け出せない人がいて、ダイバーシティを阻んでいるのです。
講師紹介
ピョートル・フェリクス・グジバチ(Piotr Feliks Grzywacz)
プロノイアグループ株式会社 代表取締役
モティファイ株式会社 取締役 チーフサイエンティスト
ポーランド生まれ。2000年に来日。ベルリッツ、モルガン・スタンレーを経て、2011年Googleに入社。アジアパシフィックにおけるピープルディベロップメント、2014年からグローバルでのラーニング・ストラテジーに携わり、人材育成と組織開発、リーダーシップ開発などの分野で活躍。2015年独立して現職。 プロノイア社では、国内外の様々な企業の戦略、イノベーション、管理職育成、組織開発のコンサルティング・研修を行なう。モティファイは、社員とメンターが双方で使うユニークな人材育成プログラムや、働きやすい企業の環境づくりを支援する人事ソフトベンチャー。
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人材育成と組織開発、リーダーシップ開発などの分野で活躍。プロノイア・グループ株式会社 代表取締役社長、モティファイ株式会社 取締役
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