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ピョートル・フェリクス・グジバチ【第2回】国や個人レベルでもダイバーシティが進む – ダイバーシティ論 多様性のある組織だけが生き残る
【コラムジャンル】
Feliks , Grzywacz , Piotr , グジバチ , ダイバーシティ , ピョートル , フェリクス , レベル , 個人 , 国 , 多様性 , 生き残る , 第2回 , 組織 , 論 , 進む
2018年11月05日
ダイバーシティ論 多様性のある組織だけが生き残る
「多様な価値を受け入れられる度量の広さを持てない個人は、淘汰される可能性が高い」
日本で「ダイバーシティ」という言葉が課題になってから、すでに数年が経った。しかし、その中身をきちんと理解し、実践している企業は決して多くはない。ポーランドで生まれ、ドイツ、オランダ、アメリカで暮らした後で来日し、国内外の企業の多様性を実際に体験したピョートル・フェリクス・グジバチ氏に、日本の現状と、ダイバーシティ実現のために取り組むべきことがらを聞いた。
白谷輝英 ≫ 文 佐々木信行 ≫ 写真
(※本記事は、2018年1月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)
国や個人レベルでもダイバーシティが進む
多様性のある企業ほど、多様な顧客ニーズをキャッチできる。
私が以前勤めていたグーグルでは、「社内の多様性が社外のそれより低ければ、多彩なユーザーの気持ちなど分からない」という発想の元、多種多様な人材を集めていました。その姿勢は、今も変わっていません。グーグルの東京オフィスには、さまざまな国籍の人々が集まっています。そこには、日本人っぽい顔をしているのに英語しか話せない人もいれば、私のように日本語を話すヘンな外国人もいる(笑)。そうした多様性があるからこそ、グーグルはさまざまなニーズをいち早くつかみ、最先端のサービスを提供することができるのです。
日本企業も、ダイバーシティの必要性に気づき始めています。そこで、女性や外国人などの採用を拡大しているのですが、受け入れる側の人々、特に男性の経営層の中には、「そうした従業員を受け入れるなんて面倒」という意識が目に付きます。
しかし、時代は変わっています。少し話が飛躍しますが、今、北欧の小国であるエストニアでは、「e-ガバメント(電子政府)」の取り組みを進行中です。これは簡単に言えば、ほとんどの行政サービスを電子化する試み。投票や納税はオンラインで簡単に済ませられますし、医療や教育といったサービスもネット経由で受けられます。また、我々が日本にいながら、エストニアで会社を設立・運営することも可能なのです。
エストニアのような国が増えると、いずれ私たちは「自分で国を選べる」ようになります。例えば東京に住んでいる私が、チリの社会保険、カナダの教育サービス、アイルランドの医療サービスを利用するなどが可能になるのです。逆に言えば、国が国民を奪い合う時代がやってきます。こうした中、多様性を受け入れられない国は世界中の人々をひきつけられず、国民から見放されて衰えていくでしょう。
個人も、そうした時代に対応出来る能力が求められます。グローバルな考え方と世界に通じるスキル、語学力、そして多様な価値を受け入れられる度量の広さを持てない個人は、淘汰される可能性が高いのです。私の本業は人材育成や組織開発などのコンサルティングですが、ほかにも美術館の立ち上げ支援なども手がけています。そうすることで、「頭の中のダイバーシティ」を進めて自分の可能性を高めています。
国、企業、個人という全てのレベルで、多様化へと進む大きな潮流が生まれています。この流れは、もはや誰にも止められないのです。
講師紹介
ピョートル・フェリクス・グジバチ(Piotr Feliks Grzywacz)
プロノイアグループ株式会社 代表取締役
モティファイ株式会社 取締役 チーフサイエンティスト
ポーランド生まれ。2000年に来日。ベルリッツ、モルガン・スタンレーを経て、2011年Googleに入社。アジアパシフィックにおけるピープルディベロップメント、2014年からグローバルでのラーニング・ストラテジーに携わり、人材育成と組織開発、リーダーシップ開発などの分野で活躍。2015年独立して現職。 プロノイア社では、国内外の様々な企業の戦略、イノベーション、管理職育成、組織開発のコンサルティング・研修を行なう。モティファイは、社員とメンターが双方で使うユニークな人材育成プログラムや、働きやすい企業の環境づくりを支援する人事ソフトベンチャー。
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人材育成と組織開発、リーダーシップ開発などの分野で活躍。プロノイア・グループ株式会社 代表取締役社長、モティファイ株式会社 取締役
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