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得田裕介【第1回】記事に疑問をもち実務ブリッジングしてみる – 研修効果を1UPさせる情報活用術
研修効果を1UPさせる情報活用術
「牛にIoTセンサーをつけた新たなビジネス」という記事をみて、あなたは何を考えるだろうか?
研修の学びを1段階アップさせるためのスキルとして、「思考整理コンサルタント」の得田裕介講師による、思考の整理方法を用いた情報活用術をご紹介します。
記事に疑問をもち実務ブリッジングしてみる
「牛にIoTセンサーをつけた新たなビジネス」という記事をみて、あなたは何を考えるだろうか?
私は、問題解決をベースとして、情報の活用から次の一手の閃きを促す研修の講師(思考整理コンサルティング)に従事している。考え方と情報を掛け合わせることで、ハッとする発想が沸き起こる。その発想がやる気を引き起こし、次の一歩となる行動に移っていく。そのようなプロセスをもって、受講者の方々の背中を押し支えたいと考えているからだ。
さて、牛になぜセンサーをつけるのだろうか。まずはそのような”疑問”を持ってほしい。センサーによって何を把握し、そして、その情報によって何を“実現”したいのかと。
牛にセンサーをつける目的
実はセンサーをつける目的は2つある。一つは、センサーによって牛の体温を常時把握して、発情期を的確に押さえることだ。そのタイミングで人工授精をさせ、子牛を産ませる。子を産んだ後は最も牛乳が多く搾取される。そう、効率的に牛乳の搾取量を最大化できるのだ。
さらにもう一つの目的もある。それは、牛同士の”いじめ”を把握することだ。牛にもいじめがあるらしい。いじめられた牛は孤立して、その孤独感から牛乳が出なくなってしまう。だから、孤立した牛がいないかIoTセンサーによって”位置情報”を常時把握するのだ。孤立すれば、群れに戻してあげる。そのことによって、牛乳の搾取量を最大化するのだ。
疑問の答えは、センサーによって発情期と位置情報を把握し、牛乳の搾取量を最大化するということである。
その情報から何を得る?
ここで気づいて頂きたいのが、酪農家のビジネスモデルが大幅に変わって来ているということだ。これまでは、餌の質や与え方などに注力することによって搾取量を上げていたかもしれない。しかし、今やITの力を使わずしては、理想の搾取量には追いつかないレベルになってきたのかもしれない。必要なビジネスパートナーはこれまでにはない、IT企業、例えばNTTドコモといった企業になってきたのだ。
ここで先の疑問に続いて、もう一つ”考える”作業をしてほしい。それは“自分ごとに置き換える”作業である。私はこれを実務ブリッジングと言ったりもする。この記事から読み解いた情報から、例えば一つ、自分のビジネスを新たに構築できないかと考えてみるのだ。
ビジネスモデルというと、ついつい自社のビジネスを分析することに活用するツールだと思ってしまうかもしれない。しかし、このビジネスモデル・ツールを、自社だけでなく、お客様のビジネスを分析することに活⽤してみてほしい。
記事から発想した例
例えば、酪農家をお客様と見立ててみよう。酪農家にとって、今や”ITパートナー”がつくかつかないかは、経営において重大な課題とも見て取れる。IoTセンサーを持たない酪農家は、センサーを持つ酪農家に搾取量が大きく差をつけられてしまう恐れもあるからだ。だとすれば、自社でIoTセンサーのシステムを開発して、酪農家に対してこのシステムを売り込めば、酪農家の重大課題を解決できるかもしれない。お客様に喜ばれるだけでなく、自社の新たな収益の拡大につながる可能性が見えてくるわけだ。まさにソリューションビジネスである。
情報を選別し、自分ごとに落とし込む
情報は今や氾濫状態にある。しかし、その一つ一つの情報を活用できるようにならないと、いくら情報がたくさんあっても意味はない。むしろ混乱してしまう。数ある中から情報を選別して、自分ごとに落とし込んでいく作業が必要なのである。
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