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得田裕介【第3回】情報×思考プロセスのリーダーシップ – 研修効果を1UPさせる情報活用術
研修効果を1UPさせる情報活用術
リーダーとは、単純に引っ張ること、促すこと、フォローすることだけでは成り立たない。ではどうしたら良いか?人の視線を高めるきっかけが必要です。それは一体何でしょうか。
研修の学びを1段階アップさせるためのスキルとして、「思考整理コンサルタント」の得田裕介講師による、思考の整理方法を用いた情報活用術をご紹介します。
情報×思考プロセスのリーダーシップ
「次の一手が閃いた!これならきっとうまくいくはず。なんだかやる気が出てきた。早く行動に移したい。そして、結果が出始めた。必ずや成功するはず。」
この一連の流れこそが、私が皆さんに望む「情報×思考プロセス」の効果である。
「情報×思考プロセス」の効果を生み出す「リーダーシップ」
私は、この一連の流れを組織の中で、意図的に生み出すことが「リーダーシップ」だと解釈している。ピーター・ドラッカーは著書”現代の経営”でリーダーシップについてこう述べている。
「リーダーシップとは、人の視線を高め、成果の基準を上げ、通常の制約を越えさせるものである。」
人の視線を高めるきっかけこそが“閃き”である。リーダーとは、単純に引っ張ること、促すこと、フォローすることだけでは成り立たない。チームメンバーの視線を高めさせるためには、やる気を引き起こす一連のプロセスが必要なのだ。
イノベーティブ・リーダーが共通してもつ能力
また、イノベーション理論の第一人者であるクリステンセンは、イノベーティブ・リーダーが共通してもつ能力を「発見力」だと結論づけた。発見力は、まずは情報を収集する能力に分けられる。「質問力」、「観察力」、「実験力」、「人脈力」である。そして、これらの中枢に置かれる能力が「関連付ける力」である。
イノベーションを起こす人材は、常に自ら情報を取りに行き、試行錯誤して情報を活用しようと努力する。単に情報を得るだけでなく、情報と情報を関連付けたり、間接的な情報を自分ごとに関連付けたりするのである。そこで生まれた閃きが、失敗を繰り返しながらも、生きた活動となってイノベーションを引き起こしていく。
イノベーションを起こす人材が育つ組織
さらに、クリステンセンはもう一つ面白い研究結果を引き出した。それは、イノベーターの中でも、特に優れた人材(15%)は、これら発見力と言われる創造的な業務を、「自らが率先して(誰に任せることなく)」行っていたというのだ。例えば、Amazonのジェフ・ベゾスといった人材である。
一方、残りの人材(85%)はどうしていたかというと、発見力を生む創造的業務を、自分の部下に引き渡し、できるだけやりやすいようにフォローに回っていたというのだ。結果として、どちらの組織がイノベーションを起こす人材がより多く育っているかというと、それはトップが率先して創造的業務をこなしていた前者(特に優れた15%)の組織であったのだ。
経営層の要望
私は研修講師として、選抜型で次世代リーダーを預かり、一人ひとりに対して固有の実務問題を解決しながら育成するプロジェクトをしばしば行っている。その度に経営層の方々とお話をする機会を多くもつのだが、彼らのほとんどが私にこう要望を出してくる。「率先垂範型で自らが市場を切り拓くリーダーを育てて欲しい」と。
企業には、部下の誰かが運良くビジネスチャンスを拾ってくるのを待つほど余裕はないのである。トップ自らが切り拓き、その背中を見せることによって、部下に追随させる。そんなアクティブな企業でなければ、今の時代には生き残っていけないと確信しているのである。
自分の組織が停滞していると感じるならば
繰り返し言うが、率先垂範型のイノベーティブ・リーダーシップの基盤となるのは、「情報×思考プロセス」で次の一手を閃かせ、それを行動に移していく一連のプロセスである。きっと意識次第で出来ることのはずである。
あなたが、自分の組織が停滞していると感じるならば、ぜひともこう考えて欲しい。俺が率先垂範して、新たな情報を起点にし、皆の視線を高め、成果の基準を上げて、そこに新たな道を切り拓いてやろうではないかと。
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