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戸辺美由起【第2回】「多様な視点で物事を捉える」方法のトレーニング – 戸辺メソッドトレーニング~物事の捉え方を柔軟にする手法~
【コラムジャンル】
NLP , コミュニケーション , コラム , トレーニング , ノビテクマガジン , 創造力開発 , 多様 , 戸辺メソッド , 戸辺美由起 , 手法 , 捉える , 捉え方 , 方法 , 柔軟 , 物事 , 第2回 , 視座 , 視点 , 視野 , 講演会 , 講演依頼 , 連載
2015年09月14日
前回のコラムでは、「まずはトレーニングの前に、今の自分自身に気づいてください」ということをお伝えいたしました。今回から、具体的な戸辺メソッド「物事の捉え方を柔軟にするためのトレーニング方法」をお伝えいたします。
前提として、物事を捉えるには、「視点」、「視野」、「視座」と3つの領域があります。
「視点」とは、物事の着眼点のことです。
「視野」とは広さや関係性のことです。
「視座」は高さや深さのことです。
物事の捉え方を柔軟にするには、「多様な視点」、「広い視野」、「高い視座」を持つことが役に立ちます。今回のコラムでは、まずは「多様な視点で物事を捉える」の具体的なトレーニング方法についてお話しします。それでは、まいりましょう。
「多様な視点で物事を捉える」方法のトレーニング
①物事の両面を捉える
例題:「わがまま」、「優柔不断」の人の良い点とは何ですか?
「わがまま」な人と言われる人のよい点は何でしょうか?
「自分の意志がある、自分の意見やニーズを主張できる」ということではないでしょうか。ただ、時と場所、状況をまったく無視して、自分の意志ばかり通そうとしても、「わがまま」となってしまいます。職場の仲間とランチに行くときに、職場から15分かかるレストランに行きたいと強く主張すると、「あの人はわがまま」と言われるかもしれません。
「長所と短所」は裏返しです。自分や周囲の人の短所を長所に変える練習をすることは、捉え方を柔軟に捉えるトレーニングとなります。これは、特にリーダーや、自分に自信を持てない人にはしてほしいトレーニングです。
物事のプラス面とマイナス面を捉える練習をすることも効果的です。人には物事を捉えるクセのようなものがあります。物事のリスクに意識が向かう人もいれば、可能性を捉えていく人もいます。物事のプラス面を捉えたら、マイナス面を捉える練習は自分の思考を柔軟にする身近なトレーニング法です。
②物事を活かすという視点で捉える
例題:「自分の過去の困難だった経験から得たものは何ですか」
人は様々な経験をしながら生きていきます。時には、自分にはあまり起こって欲しくなかった経験もあるものです。その経験から得たものは何か、そしてそれがどのように今の自分に役立っているのかを考えることは、ブレイクスルーにつながる有効な一つの方法です。
「失敗は成功の母」とは言いますが、その失敗から学ぶことができ、それを活かすことができれば「失敗」は「自分を育てたよい経験」と変わります。
自分の物事を捉えるときにそれを止めるものの一つは、「感情」です。自分が強いマイナス感情に捉われていると、なかなか柔軟な捉え方ができないものです。このマイナス感情を手放すひとつの方法が、「学びを得る」ということです。「この経験からの学び」を得たとき、人はあの過去の経験を考えると起こる心地よくない感情を手放すことができます。
感情をよりよいものに変えることができる力も、柔軟な捉え方をするために必要な力となります。
その方法は今後、お伝えします。
③事実を捉える「一般化と個別化」
例題:「あなたは何回失敗したら、『私は、いつも失敗する』と言いますか」
人は、経験から様々なことを学びます。
例えば、私たちはドアを開けるときに、どのようにして開けるのかと考えることは殆どありません。通常のドアであれば、自然とドアを押したり、引いたりしてドアを開けます。どうしてそのようなことができるのか。
小さな子供の時、初めてドアを押したら開いたとします。次の時も押したらドアは開きました。そのような事が何度か続くと、その人の脳の中では、「ドアは押すと開くもの」という一般化という学びが起こります。そして、ある時ドアを押したら、ドアは開きません。今度は引いてみたらドアは開きました。
そこで「ドアは押すと開くが、時には引くことによって開けることができる」という行動の柔軟性が生まれます。
私たちは一般化があるから、便利に生きていくことができますが、この一般化が行動の柔軟性を奪うときもあるのです。「みんなそうだ」、「いつも~になる」という考え方は、まさに人の一般化の表れです。それを柔軟にする方法は「まずは事実を捉える」ことです。
ドアを開けるときも、まずはノブの回し方をガチャガチャしながら確認するそこにある現象、すなわち事実を捉えることから違う行動を生み出すことができるのです。「みんなそうだ」と言ったならば、「みんなとは誰か、そうだと言える事実は何か」と捉えることは行動の柔軟性を高めます。「いつも失敗している」ならば、「いつもとはいつなのか、失敗という事実はそれぞれ何があったのか」を考えてください。
そして、失敗という事実が何かが分かれば、それをどのように活かすのかという考え方にもつなげることもできます。そして、例外を探すことも役に立ちます。「いつも失敗している」ならば、「上手く行ったときはいつか」と考えます。言葉は思考とつながります。
自分や周囲の言葉に気づくこと、それは柔軟な捉え方をするための大切な第一歩です。
④自分の常識に疑問点を投げかける
例題:「自分がそうだと信じていること、大切にしていることの例外は何ですか?」
自分の持っている常識は、自分がよりよく生きるための支えとなりますが、それが強すぎると時には自分の柔軟性を阻害していきます。例えば、約束は守るべきであるという常識。
「約束は守るべき、それは当然でしょ」となった時、誰かと約束して、その人がその約束を守らない時に、柔軟な行動は難しくなります。「時間は出来れば守った方がよいが、守れない時もある」と捉えられることにより、約束を守ってもらえなかったときに、どうして、約束を破ったんだ。ひどい奴だ」とならずに、建設的に話をすることもできるでしょう。
よりよい未来を作る今後につながる行動を取ることができるのです。自分の信念や常識を柔軟にするためには、次の問いを自分自身に投げかけてください。
「本当にそうと言える事実は何か」
「そうできないとき、そうと言えないときはあるのか (例外を探す)」
「仮に、そうしてしまったら、そうしなかったから何が起こるのか(その後の成り行きを考える)」
毎日歩いている道を変える、同じ車両に乗っていたならばその車両を変える、そして時には部下の椅子に座ってみると、どのような景色が見えますか。自分の言葉に気づく、習慣を変えて違うことをするなど、柔軟な捉え方をするために役立つ方法は身近にも沢山あります。
多様な視点で物事を捉えるトレーニングのまとめ
②物事を活かすという視点で捉える(経験から学びを得る)
③事実を捉える「一般化と個別化」(何が事実かを見極め、時には例外を探す)
④自分の常識に疑問点を投げかける(自分の信念や常識を見つめ直してみる)
まずは、「多様な視点」を手に入れるために、日常生活でこの4つのことを意識して考え、行動するようにしてみてください。意識して行っていたものが、無意識にできるようになったときに、きっと自分自身の変化が分かるはずです。
それでは、次回は「広い視野」と「高い視座」をもつための戸辺メソッドトレーニング方法についてお話しいたます。お楽しみに。