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株式会社横浜DeNAベイスターズ【第1回】放映権ビジネスの崩壊で来場者増が求められるように – 共感力を高め愛される球団へと変貌 – 特集「共感力」
【コラムジャンル】
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2019年11月04日
共感力を高め愛される球団へと変貌 - 特集「共感力」
「『野球さえしていれば、お客さまが喜んで来てくださる』という時代ではなくなっています 」
DeNAに経営が引き継がれた2012年以降、横浜DeNAベイスターズの観客動員数は飛躍的に伸びている。その背景にあったのが、ファンと球団が共感し合うための数々の取り組みだった。
白谷輝英 ≫ 文 櫻井健司 ≫ 写真
(※本記事は、2019年4月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)
株式会社横浜DeNAベイスターズ
1950年、山口県下関市を本拠地とする「大洋ホエールズ」として創設。その後、大洋松竹ロビンス、大洋ホエールズ、横浜ベイスターズと改称を重ね、筆頭株主がDeNAとなった2011年12月以降は現在の「横浜DeNAベイスターズ」となった。横浜に本拠地を置くようになったのは、横浜大洋ホエールズ時代の1978年から。1960年には三原脩監督、1998年には権藤博監督のもとで日本一に輝いている。2018年度は4位でシーズンを終え、2019年度の巻き返しに期待がかかる。
河村康博(かわむら・やすひろ)
ブランド統括本部 広報部 広報グループ グループリーダー
大学卒業後PR会社に入社し、企業の広報支援業務を約5年間担当。2014年に横浜DeNAベイスターズへと移り、現在はブランド統括本部 広報部 広報グループのグループリーダーを務める。
放映権ビジネスの崩壊で来場者増が求められるように
かつての日本プロ野球は、「放映権ビジネス」によって成立していたが、20世紀に入り状況はがらりと変わった。放映権以外のやり方で球団の収益を改善することが強く求められるようになったのだ。
野球が絶大な人気を誇っていた頃に比べ、集客は簡単ではなくなっていると、横浜DeNAベイスターズ(以下「ベイスターズ」)広報部でグループリーダーを務める河村康博氏は語る。
「以前のプロ野球は、強力なライバルが少なかったのですが、今は新たな娯楽が次々に登場し、ファンを獲得しています。『野球さえしていれば、お客さまが喜んで来てくださる』という時代ではなくなっています」
そして2004年、プロ野球全体は、「球界再編問題」という深刻な危機に直面。これを機に多くの球団は、観客をスタジアムに呼び込んで収益を高める方向へと、かじを大きく切り始めたのである。
わずか6年間で観客動員数が74%増大
ベイスターズは、観客数アップの取り組みに熱心な球団の1つだ。
DeNA体制で臨んだ初年度、年間観客動員数は116・6万人にすぎなかった。ところが18年には202・8万人と、6年間で実に74%も伸びた。同時期、セ・リーグ全体の観客動員数は21%増。伸び率2位の広島東洋カープが40%増だったのに比べると、ベイスターズの突出ぶりがよく分かるだろう。また、12年には約50%だった客席稼働率も、18年には97%まで向上。つまり野球開催日の横浜スタジアムは、いつもほぼ満員になっているわけだ。
ベイスターズがこれほどまで観客動員数を伸ばした最大の理由は、スタジアム全体のエンターテインメント性を高めたことにあった。
「今のお客さまは、『プロ野球とJリーグのどっちに行こうか?』ではなく、『プロ野球と映画とテーマパークのどこに行こうか?』と考えます。つまり、私たちの競合は他のスポーツチームだけではありません。エンターテインメント産業全般と、お客さまの土日・アフター5の時間を奪い合っているのです。
そこで勝ち抜くためには、野球そのものの魅力を高めるだけでは不十分でした。例えばディズニーランドは、魅力的なキャラクターやアトラクションだけでなく、ショーやグッズなど幅広い楽しみ方を提供して来場客を魅了しています。私たちも同様に、『野球以外の魅力』を提供する努力が必要でした。そこで、試合の前後に行われるイベントやセレモニーを充実させたり、スタジアム内にある飲食店の質を高めたりしたのです」