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HUMAN RESOURCE DEVELOPMENT 人材育成

現代のリーダーシップに必要な「アダプティブリーダーシップ」とは?

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【コラムジャンル】

2024年09月13日

これまで日本の企業を支えてきた管理・トップダウン型リーダーシップとは180度異なる、アダプティブリーダーシップとはどのような考え方なのか。リーダーシップ分野における米国のトップコンサルタントでハーバード大学教授のロナルド・A・ハイフェッツ氏のもとで学んだ、吉田和生氏に詳しく教えてもらいました。

(※本記事は、2024年9月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)

力武亜矢 > 文 波多野 匠 > 写真 

吉田和生(よしだ・かずお)

吉田和生 研修講師

研修講師
リーダーシップ分野において米国トップの権威であり、米国内外の政府や一流企業にコンサルティングを行うロナルド・A・ハイフェッツ教授のもとで学んだ吉田氏が担当。2014年ハーバート大学ケネディ・スクール終了。在京テレビ局に在籍し、営業、編成、制作、経営企画部、ベンチャー会社出向などを経て、現在は、映画・アニメ・IPなどの新規ビジネスを行っている。米国トップのリーダーシップ理論の視点と、自らの中間管理職の視点の両方を持ち、受講者の「今」に寄り添うことを目指している。

リーダーシップに素質は関係ない!
大切なのはマネジメント理論への理解と言語化

●アダプティブリーダーシップとは、どのようなリーダーシップ論でしょうか。

日本語に訳すと「適応型リーダーシップ」です。これまでの日本のリーダーシップは、量産型の経済をまとめるために行われてきたトップダウンの管理型で、基本的には既存の手段で解決できました。時代が一律大量生産型経済から多様性社会に変わったいま、組織を成長させるためには、個性の異なる一人ひとりの人材に”適応”するようなボトムアップのリーダーシップへ変革しなければなりません。
「アダプティブ(適応性)」とは、あらゆる環境に適応することを指します。変化し続ける外部・競合環境はもちろん、昨今のテレワーク普及や働き方の多様化によって変化したコミュニケーションのとり方や、チームメンバーによって異なる就業時間とプライベートとの線引きへのリーダーの対応などが挙げられます。数字で示せない課題が多いため、自発的に発見と改善を繰り返す必要があります。
アダプティブリーダーには、三つの軸があります。一つ目の軸は、”真の”目標を具体的に立てること。例えば、目標が「5人で10億円達成」では抽象的すぎるので、目標を達成する意義、達成するための5人それぞれの役割と期間などを決めます。二つ目は、自分ではなく人を動かすこと。三つ目は、リーダー自らが生涯学習し、自己改善し続けることです。

●さまざまなリーダーシップ論がある中、なぜアダプティブリーダーシップが欠かせないのでしょうか。

ITの進化で世界中が自由につながるいま、世の中は複雑で不安定、かつ曖昧になっており、過去の実績・成功例では解決しないことが多く出てきました。大げさな言い方をすると、一つひとつの課題に、毎回、イノベーティブな考え方で取り組まなければ、継続的な成長が難しい時代になり、常にアダプティブな発想が求められるようになりました。
そのなかでも重要な認識は、リーダーの肩書や立場では人は動かず、適切なリーダーシップの実践・アクションが必要だということです。アダプティブリーダーシップ研修では、リーダーシップという行動を繰り返しトレーニングし、継続的な成長を可能にします。

●吉田さんが「アダプティブリーダーシップ研修」を始めた経緯は?

私は、2016年に米国から帰国後、30代〜40代の中間管理職を中心に研修をしてきました。このクラスの多くは、プレイングマネジャーです。プレイヤーとしての優秀な成績が評価され、マネジャーに昇格した人たちです。彼らは昇格と同時に、マネジメント業務を任されることになり、急にチーム全体で結果を出すことが求められるようになります。しかし、プレイヤーとマネジメントでは勝手が違うため、優秀なプレイヤーほど、うまくマネジメントできずに悩んでしまうのです。そんな姿をたくさん見てきたことが、研修を始めた背景にあります。

●多くの管理職に足りないもの、必要なものは何でしょうか。

メンバー育成のノウハウです。特に40代以上の人は「上司や先輩の背中を見て技を盗め」と言われて成長した世代ですので、後輩にもそれを求める傾向があります。一方、現在の20〜30代は、言語化を求め、理解してから行動します。しかし、先輩の背中を見て成長した世代は「言語化して」と言われても、できないのが現状です。ですので、私の研修では、マネジメントのノウハウを通じて徹底的に言語化を鍛えます。人は、自分の頭でちゃんと理解できていることは言語化できるものです。言語化できないということは、ぼんやりとしか理解できていないということです。そのため、人に教えることができないのです。

●具体的な言語化トレーニングの例を教えてください。

例えば、リーダーシップの映画を見てもらい、登場人物の行動目的や思考などを30文字程度にまとめ、発表し合うワークショップを行います。講師のガイドに則って、受講者全員の文章をすり合わせていくと、余計な言葉が取り除かれて15文字程度にまとまります。事前の宿題として数時間かけ、チームで30分議論して作った30文字が、あれよあれよと半分になる。自分達が思っていた言語化のレベルが、全く、足りていなかったんだ…と受講者の皆さんは体感・内省します。
講座の構成は受講者のディスカッションが約7割になるのですが、全てのディスカッションでこういった作業を繰り返すことで、たくさんの要素から「真に大切」なことを「最短の言葉」で伝える言語化スキルが身に付きます。リーダーが言語化できれば、言葉でメンバーを納得させて動かすことが可能になります。

●たしかに、言語化できなければ、どんなにマネジメントを学んでも伝えられないですね。

その通りです。専門書を100冊読んでも、言語化できるレベルまで理解していなければ現場で活用できません。本当に必要な1冊をきちんと言語化できるようになる。これが最短かつ努力が報われる道です。”リーダーシップ”は幅が広くて”正解”がない。その誤解が悩めるマネジャーに100冊の本を読ませるような、非効率的な努力を強いていると思います。本を100冊読まずとも、この研修は理論が全て言語化されていますので、最短でリーダーシップ=マネジメントスキルを高められます。

●受講者の中で、研修の成果が出た事例を教えてください。

ある保険会社の課長職の受講者様で、支店として数年にわたり売上目標を達成できなかった状態から、研修受講中に目標達成できるようになり、翌期からは3期連続で予算を大幅に超えて、一気に全国支店のTOP3になったケースがあります。

●最後に、受講をお考えのみなさまへメッセージをお願いします。

伝えたいことやマネジメント方法をしっかり言語化できる人。年上年下に関わらず部下の育成がしっかりできチームで結果を出せる方は、今のままでOKです。一方で、それができていない人は、自分でも答えが分かっていないということですので、まずは言語化できるようにしましょう。言語化ができるようになるだけで、マネジメントや実務の効率は格段に向上します。

「アダプティブリーダーシップ」を理解しよう! Q&A

あらゆる課題が解決できるアダプティブリーダーシップの基礎理論を学びましょう!

Q、どのような悩みを持つ受講者が多いですか?

A、「下世代とうまくコミュニケーションがとれない」「チームをまとめられず成績が上がらず、結局自分が手を動かしてしまう」「部署異動でリーダーになり、付き合いの短いメンバーを指揮することに悩んでいる」などのお悩みを持つ管理職が多いです。リーダーの概念を知り、課題解決の方法を学び、言語化して伝えられるようになれば、その多くが解決します。

Q、研修に必要な時間や日数を教えてください。

A、研修カリキュラムは全3回で、1回8時間です。リーダーシップの考察、言語化トレーニング、そして現実の課題分析が主な内容となります。初回で学んだことを実際に職場で実践。成功したこと失敗したことを2回目の講義に持ち込んでもらい、生きた事例としてメンバーで共有し、講師が解説。単なる理論ではなく、実践のPDCAを回して、2回目・3回目と実践(する)スキルをブラッシュアップしていく流れです。研修を通じて、アダプティブリーダーシップを身に付け、成長するチームを作り続けられる人材になっていただくことを目指します。

Q、研修でどのような成果が得られますか?

A、ハーバード大学ケネディ・スクールのカリキュラムとほぼ同じ内容で学習できます。異なる点は反復の回数と時間で、ハーバード大学は約3カ月に対し、当研修は3日間です。研修中は会場が実践場となり、実際に受講者自身が悩んでいること、失敗した事例に当てはめながら学習するため、実態に即したあらゆる課題解決能力を身に付けられるとともに、リーダーとして欠けている部分への気づきも得られ、対処する方法を学ぶことができます。

 

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吉田和生

  吉田和生 研修講師

株式会社ノビテク TEL.03-5844-1144

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