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齊藤正明【第8回】マグロ漁は、“儲ける”ためではなく、 “モテる”ためにやる! – 目指せ!デキるビジネスパーソン ~マグロ船から学んだ全てのこと~
【コラムジャンル】
デキる , ビジネスパーソン , マグロ漁 , マグロ船 , モデル , リーダーシップ , 儲ける , 全て , 学んだ , 目指せ , 研修 , 第8回 , 講演会 , 講演依頼 , 連載 , 部下育成 , 齊藤正明
2016年02月04日
船に乗る前は、「マグロってたくさん捕れて、甲板でビタビタ暴れてるんだろうなぁ」と想像をしていましたが、現実にはマグロはなかなか捕れないようです。そんな日の漁師達の様子から上司の在り方が見えてきます。
私は「日本一の船!」と、言われるマグロ船に乗せられた経験があります。
『マグロ船』という職場は、一般の会社と比べると、狭くて不便な環境でした。それだからこそ、皆が力を合わせ、助け合うことで安全を守り、かつ、大漁で帰港を果たしていました。『マグロ船』という、狭くて不便な環境だからこそ培われた、『人を活かすコミュニケーション』や、『困難を前向きに受け止める姿勢』を、お伝えしています。
マグロ漁は、“儲ける”ためではなく、 “モテる”ためにやる!
船に乗る前は、「マグロってたくさん捕れて、甲板でビタビタ暴れてるんだろうなぁ」と想像をしていましたが、現実にはマグロはなかなか捕れないようです。
マグロの種類によって捕れる数は大きく変わるようですが、私が乗ったときの獲物であった、メバチマグロやキハダマグロは、平均すると30分に1匹かかる程度です。ただしあくまでも平均なので、群れに当たれば一気に捕れますし、そうでないときは、何時間も縄を揚げるだけの単純作業が続きます。
「普段は明るい漁師たちも、不漁のときにはさすがに元気もなくなり、ピリピリした雰囲気になるだろうなぁ……」と思っていた私は、不漁の日は、意識しておとなしくしていました。
不漁の日の漁師たちの様子
しかし実際、どうだったかと言いますと、「あの店、パチンコ、あんまり出さんようになったのぉ」という感じでパチンコの話をするか、「○○丸の機関長が、『あの店のおなごはみんなキレイじゃ』って言うちょったど」など、どうでもいいような話で、みんなゲラゲラ笑いあっていました。
つまり、漁師はマグロが捕れても捕れなくても楽しそうに働いていたのです。
漁師に、「マグロがいっぱい捕れるときには元気なのはわかりますが、マグロが捕れないときにもみんな元気ですね」と言うと、「マグロを捕るためにやっちょるわけではねぇけんのぉ」と、理解できないことを言われました。では、何のために漁をしているのか理由をたずねると、次のように話してくれました。
何のために漁をしているのか
「まぁ“遊び”よの。 みんなとおしゃべりするためにやっちょる」
「はぁ?! じゃあ、あの過酷な肉体労働は何なんです?」
「あれは、筋トレじゃ。 筋肉があれば女にモテるじゃろうが」
「筋肉があれば女にモテる」という漁師の理屈はさっぱりわからなかったのですが、「皆さんにかかると、何でも楽しくなるんですね」と、少し嫌味を込めたような言い方をしました。
すると漁師は、「コイツは何もわかってねぇ」と言いたげな、少し厳しい顔つきになり、「マグロが捕れるかどうかは、漁場を決めた時点で、もうどうにもならねぇ。読みが当たっちょれば捕れるし、そうでなければ捕れねぇ」と話してくれました。
つまんないことを楽しく変える工夫
「おいどーらも、つまんねーことや、辛ぇことやらはいくらでもある。けんどの、それを言い始めたらキリねぇし、いいことねぇじゃねぇか」
「じゃあ、つまんないことを楽しく変える工夫って何ですか?」
「そいつは簡単ど。 “サッカー”でも“将棋”でも、“ゲーム”やらが楽しいんは、なかなかうまくいきよらんからじゃろ」
「サッカーなんかは、1点がなかなか入らないですよね……。 『点、入れ放題です』と言われたら、逆に楽しくないでしょうね」
「そげーじゃろ? じゃから、うまくいかねぇってんは、本当は楽しいんど」
「『仕事はお金をもらうんだからツマラナイもの』っていう常識は、実は間違いなのかもしれないですね」
上司は部下のやる気を鼓舞させていくべき者
企業でも、「計画を立てたとおりに、なぜ売上が上がらない!?」というような、ツライ時期というものはあると思います。こうしたときに理屈を使い、部下に対して、「給料をもらってんだから、とにかくやれ!」と怒鳴ったところで、嫌々させたところで成果は上がらないでしょう。
上司の立場にある者は、マグロ船のように、部下が「ツライ」、「うまくいかない……」と感じている仕事を、「どうやったら楽しく感じてもらえるか?」というところに知恵を働かせ、「仕事ってな、ゲームとかスポーツと同じなんだぞ。なかなかうまくいかないから、君がいる意味がある。一緒に知恵を出し合って、目標をクリアしていこうじゃないか!」と励まし、楽しさを見いださせ、やる気を鼓舞させていくべきものであると教わったのです。
目指せ!デキるビジネスパーソン ~マグロ船から学んだ全てのこと~(了)
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