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バンダイナムコ×ノビテク【第1回】研修を夢中にさせる!ゲームメソッドで研修革命 – ビジネスゲームに活用される「ゲームメソッド」とは
【コラムジャンル】
ゲームメソッド , ノビテク , バンダイナムコ , ビジネスゲーム , 一木裕佳 , 夢中 , 学び , 梅田昌史 , 活用 , 研修 , 研修革命 , 第1回 , 連載
2016年08月08日
ゲームメーカーが開発した社員研修プログラムの存在をはじめて知った教育担当者の多くがまず感じるのは「ゲームのメーカーがなぜ、社員研修プログラムをつくるのか?」ということだろう。この疑問について、プロジェクトを担当する新規事業部のゼネラルマネージャーの一木裕佳氏に解説していただいた。
「なぜ、ゲームメーカーが社員研修プログラムを!?」バンダイナムコゲームスが研修業界へ参入。その背景にはどのような考えがあるのか、「楽しい研修」というのは本当に成立するのかなどについて、バンダイナムコゲームスの社長室 新規事業部のゼネラルマネージャー・一木裕佳氏とマネージャーの梅田昌史氏に聞いた。
本間貴史≫文 櫻井健司≫写真
(※このインタビューは『ノビテクマガジン創刊号』発行時の2013年7月に収録した内容の再掲です。)
ゲームのメーカーがなぜ、社員研修プログラムをつくるのか?
「しごとっち」
研修受講者がブロックを組み立てている様子
シーンの一コマだけを切り取れば、従来の社員研修とかけ離れた光景に見えることだろう。子ども時代に親しんだカラフルなブロックを夢中で組み合わせて、「やっと達成できた・・・」と安堵の表情を浮かべるビジネスパーソン。また、別の社員研修プログラムでは、受講生が手もとのカードを真剣な表情で眺め、ゲームに没頭している。その様子は、友人や家族で顔をつきあわせ、ボードゲームに夢中になる姿とよく似ている。
このゲームの要素を取り入れた新しい社員研修プログラムは、ゲームメーカーのバンダイナムコゲームスによって開発された。先ほど紹介したように、ゲームの要素があるというハード面の特徴に加えて、バンダイナムコゲームスが有する独自の手法が受講者を引き込む。
同社は、2012年より社員研修の分野に本格参入。これまで、2つのプログラムをリリースし、すでに多くの企業で導入されている。一つ目のプログラムは、ワークショップ型の研修で気づきを引き出す「しごとっち」。もう一つが、ビジネスの基本的なスキル・マナー・考え方を身につける「ゲームカンパニーX」である。
ゲームメーカーが開発した社員研修プログラムではあるが、コンテンツ開発の企業に限定されるものではなく、製造メーカー、小売業、商社など、幅広い業種の企業に導入されている。
この社員研修プログラムの存在をはじめて知った教育担当者の多くがまず感じるのは、「ゲームのメーカーがなぜ、社員研修プログラムをつくるのか?」ということだろう。
この疑問について、プロジェクトを担当する新規事業部のゼネラルマネージャーの一木裕佳氏は次のように解説する。
一木 裕佳氏
「バンダイナムコゲームスが永年に渡って蓄積してきた知見を他分野に転用するプロジェクトを立ち上げ、それを運営していくのが私たち新規事業部の役割です。実は、社員研修プログラムの開発というのは、その一部でしかありません。他の分野では、高齢者のリハビリ用のプログラムや障がい者のための会話補助装置の開発、小学校の教科書づくりなど数々のプロジェクトを手がけてきました」
バンダイナムコゲームスは開発部門を担うバンダイナムコスタジオに、1000人以上のゲームクリエーターを有しており、1000を超える特許も取得している。また、大学や医療機関と連携しながら遊びの効用を研究してきた。これらの知見をゲーム以外の他分野に転用することで様々な問題が解決される。
たとえば、「小学生が休み時間でも開きたくなる」夢中になれる教科書があれば、勉強に集中できない子が増え、授業が成立しないという学級崩壊の問題をなくす一助となる。これを机上で語ることは簡単だが、現実的にこのような教科書をつくるのは容易ではない。子どもたちを夢中にさせてきたバンダイナムコゲームスの知見を駆使すれば可能になる、というわけだ。
同社では、国語・算数・理科の教科で計27冊の小学生用の教科書を企画・制作。現在、都内の私立小学校を中心に、多くの学校が採用している。このプロジェクトには、ふだん格闘技やロールプレイングなどのゲームソフトの開発を担当しているクリエーターたちが参加した。一木氏は、プロジェクトを通じて、「クリエイターの素晴らしい才能をゲームだけに活用するのはもったいない。ゲームづくりはバンダイナムコの中核業務だけど、それを大切にしながら、もっと広く活用すべき」との思いを強めたと言う。