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満田理夫【第1回】わたしがハワイ在住の講師になった理由 – 研修講師リレーコラム
満田理夫プロフィール
満田理夫 Masao Mitsuta
日系企業、外資系企業にて人事業務経験18年。
昨今の社会経済の環境での日本の人材力の維持・向上に対する問題意識から、自らグローバル人材を体現すべくアメリカへ移住し、グローバル人材育成を支援している。
日本で開催される企業研修の他、日本人受講生を連れてフィリピン、インド、ロンドンなど様々な国で研修を開催。
わたしがハワイ在住の研修講師になった理由
私は今、オアフ島の我が家でこの原稿を書いています。家族(かみさんとネコ4匹)とともにハワイに移住してから、昨日でちょうど7ヶ月が経ちました。晩秋にハワイにやって来て、越冬し、春を過ぎ、そして今、待ちに待った「ハワイの夏」を迎えようとしています♪
と書きましたが、何か違和感を感じていらっしゃいますか?
そう!ハワイにも冬があるんです!ただ、ハワイの冬なんてまったく想定していませんでしたから、想定外の事態にかなり狼狽えたわけです。だってハワイなのに寒かったので(涙)。
では予め想定していれば狼狽えないかというと、そういうことでもありません。
企業の駐在員として赴任するわけではなく、また学業関係のビザで学校に入るわけでもなく、「個人的な思い」で移住を決めた私たち家族は、移住に関わるすべての段取りを独力で、自分たちの責任において進めなければならない。当然、様々な事態を想定して臨んだのでした。しかし…。
必然的に難解な英文書と格闘することになり(VISA関連、住民登録、ネコたちの検疫手続き等)、結果次第で生死を分けるような交渉を英語でやらねばならず(賃貸住宅の契約、クルマを個人売買で購入、ファーマーズマーケットで野菜を値切る等)、日本なら恐らくなんてことないひとつひとつの出来事が、すべて手に汗握る冒険活劇と化すのです(大袈裟)。
想定していない事態に面喰らい、想定通りにはいかない現実に大いに狼狽え、「臨機応変」「即断即決」という言葉が身に染み、「わかるとできるの差」を痛感し ます。この7ヶ月はそんな毎日の連続でした。そしてそれは、これからもずっと続くでしょう。
実はこれこそが、日本を離れ、異国の地で暮らすことを決意した「目的」そのものなのです。
もう何年も前から、「グローバル人材とは」の問いに「生命力」と私は答えています。世界のどこに行っても生きていけるのか?生命を維持するだけでなく、社会性の動物・人間として、コミュニティの中にポジションを作りながら、自分軸を持って生きていくことができるのか。
つまり今回の移住は、自分と家族を使った「生命力」の人体実験にほかなりません(笑)。私はたまたまアメリカのVISAの関係でハワイに住むことにしましたが、その地はハワイである必然性はないのです。ですから、私のオリジナルカリキュラムでご提案する海外出張研修も、ハワイ開催だけでなく、世界各国で設定するのです。
あらゆるものが世界中で繋がり、急速に変化していく中で、もはや企業に関係するものでグローバルでないものを探すことのほうが難しい。そんな時代の研修講師の私としては、世界を舞台にした自身の人体実験の結果が、必ずや、有益なネタを提供してくれるに違いないと期待しているのです。
一部上場企業のサラリーマンをやめて、自ら異国に移り住んでこんなことを考えている研修講師は相当な変わり者だと思いますが、これだけ変化の大きい時代に、こんな講師がいても悪くはないですよね。
これからも、ホノルル〜東京間を通勤しながら、研修の場でこういったエッセンスをお伝えしていきたいと思います。また一方で、日本を離れ、リアルな現場を見て感じることで得られる学びは、とてつもなく大きいと思うのです。
ですからみなさん、思いついたことはどんどんトライしていっちゃいましょう。今の仕事で、もっとできることはありませんか。周囲の仕事にもどんどん首を突っ込んでみるのはどうでしょうか。或いは、まったく別の領域で生きる人に話を聞きに行ってみるのはどうでしょう。自分で切り開く新しい環境は「生命力」をぐんとあげてくれますよ。
(※本記事は、2014年7月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事をWeb版として再構成しました。)
(Photographs by Masao Mitsuta)