働き方・生き方
HUMAN RESOURCE DEVELOPMENT 人材育成
遠藤貴子【第18回】人材育成のための第一歩は、 信頼関係を築くためのコミュニケーションから – 研修講師リレーコラム
【コラムジャンル】
endo , takako , コミュニケーション , コラム , リレー , 人材育成 , 信頼関係 , 研修講師 , 第18回 , 第一歩 , 築く , 遠藤貴子
2019年06月10日
遠藤貴子プロフィール
遠藤 貴子(えんどう たかこ)
研修講師/EQコーチ。
中央大学文学部卒業後、教育事業の会社で法人・個人営業に従事する。組織の中において、人材育成の責任と重要性、そして人が成長する素晴らしさを体感し、2007年人事コンサルタントとして独立する。現在は、大学での講義、企業の新人・中途採用に関するアドバイスや仕組み作り、企業内研修や個別のカウンセリングなどを通して、人材育成のサポート業務に従事している。
人材育成のための第一歩は、 信頼関係を築くためのコミュニケーションから
「企業は人なり」
経営の神様と言われた松下幸之助氏が残した有名な言葉です。松下氏は「松下電器は人をつくるところです。あわせて電気器具を作っております」とおっしゃっていたそうです。ユーモアたっぷりの言葉に聞こえますが、私は人を育てる覚悟と責任を持った、愛情深い言葉だと思います。
みなさんは、人を育成する時、何が重要だと考えていますか。私は、「まず自分を知ること。相手を観察すること。そして、信頼関係を築くこと」が重要だと考えています。
どうしても信頼関係を築くのが難しい人がいる…そういうお悩みをお持ちの方は、無意識に自分の「べき」や「当たり前」の物差し(癖)にあわせた、ひとりよがりなコミュニケーションをしているのかもしれません。
私のコミュニケーション研修では、具体的なコミュニケーションのテクニック(やり方)をお伝えしています。しかし、テクニックはあくまでも一般的なやり方にすぎません。テクニックと同じぐらい大事なこととしてお伝えしているのが、他人とコミュニケーションをとるとき、”自分の「べき」や「当たり前」の物差し(癖)を分かっているか“そして、”目の前の人の価値観を理解しようとしているか”という点です。
コミュニケーションは工夫(努力)することで、目の前にいる相手に、分かりやすいと納得してもらうことができます。また、その納得の積み重ねが、互いの信頼関係を築き上げていったり、人の行動変容につながっていると、私は考えています。
先日、新人の頃の私を指導してくださった先輩と久しぶりにお会いする機会がありました。その時先輩が「あなたを見ていて『納得する』ということが重要な価値観なのだと感じたの。だからあなたを指導していた時は、”急かさないようにしよう”ってすごく意識したわ。私、せっかちだから」と、笑っておっしゃっていました。その一言を聞いた時、なんと愛情溢れる育て方をしていただいたのだろう、と感謝したと同時に、私を理解してコミュニケーションを工夫していただいたからこそ、互いの信頼関係が築け、成長していけたのだと思いました。
簡単なことではないですが、人それぞれの強み、弱み、価値観、感情などを加味した上での伝え方、育成の仕方を考えることが、人材育成の近道です。信頼関係を築く時や、人の行動変容を促す時、わかりやすい説明と共に大切なのはその人の納得です。
(※本記事は、2018年10月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)