働き方・生き方
HUMAN RESOURCE DEVELOPMENT 人材育成
INTERVIEW ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社|Borderline ~教育担当者として譲れないもの~
【コラムジャンル】
Borderline , Vol.14 , インタビュー , デイビッド・スワン , ノビテクマガジン , ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社 , 人材育成 , 代表取締役社長 , 再掲 , 教育担当者 , 組織
2017年03月28日
オープンマインドな環境を整え、社員を成長させることが私の使命
バイリンガル・スペシャリスト人材を数多く揃え、金融、製造業、ITなど幅広い業界に人材紹介を行っているロバート・ウォルターズ・ジャパン。多くの女性が活躍していることでも知られる同社では、従業員にどのような教育を行っているのだろうか。同社の人材育成のリーダーとして活躍する代表取締役社長のデイビッド・スワン氏に伺った。
白谷輝英≫文 櫻井健司≫写真
デイビッド・スワン
ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社
代表取締役社長
David Swan|ROBERT WALTERS JAPAN|Managing Director
1971年、オーストラリア生まれ。キャンベラ大学で商学士会計学の学士号を取得。その後、オーストラリア公認会計士資格CPAを取得し、財務会計分野でキャリアを重ねた。1994年、空手の修業で初来日。2002年、ロバート・ウォルターズ・ジャパンに入社。2003年には金融部門のディレクターに就任し、6年間にわたって部門を統括して主要事業に育て上げた。2009年、日本支社の代表取締役社長に就任。2010年には韓国支社を立ち上げ、代表取締役社長に就いている。ベースギター愛好家で、プライベートで演奏活動も行っている。
※この記事は、2016年10月1日発行のノビテクマガジン発行時に収録した内容の再掲です。記事中の年齢、肩書きなどは2016年取材時のものです。
潜在能力の高い人材を中途採用して育成する
ロバート・ウォルターズ・ジャパンは、英語と日本語の両方を扱い、さらに専門的なスキルを兼ね備える「バイリンガル・スペシャリスト」の人材紹介サービスを手がける企業だ。正社員と、派遣・契約社員の双方に対応。数多くの人材を、銀行や証券会社などの金融業、自動車メーカーや鉄鋼メーカーなどの製造業、IT系企業など多彩な企業と引きあわせている。デイビッド・スワン氏は2009年に社長に就任し、2012年以降、同社を年2桁増の成長に導いてきた。
同社では、30の職種・業界に特化した専門チームを配置している。そこで中心的な役割を果たしているのが人材コンサルタントだ。
「人材紹介ビジネスにおいて最も重要なのは、企業の採用ニーズをつかみ、それに合った人材を提案するコンサルタント。能力の高いコンサルタントを数多く育てれば、それだけ業績は向上します。ですから当社では、教育に最優先で力を入れているのです」
同社では、金融業界やメーカー、IT業界などで2~3年の経験を持つ人を中途採用し、さまざまなトレーニングを行って育成する方針だ。一方、競合他社でコンサルタント経験が豊富な人を採用するケースはほとんどない。
「当社が日本でビジネスを始めたのは2000年のこと。当時、日本国内でバイリンガル・スペシャリストに特化した人材紹介企業は、ほぼありませんでした。歴史の浅い業界なので、経験豊富な人材を採用することが元々難しいのです。それに、他社で長く勤めた人はその企業のマインドセットが染みついていて、当社のやり方に慣れるまで時間がかかります。ですから、当社がカバーしている業界で業務経験を積んだ若手を採用し、人材紹介のスキルを教える方がいいと考えています」
スワン氏は、自ら社内教育に深く携わっている。各部門のシニアマネジャーとともに、トレーニングの内容を決定。また、コンサルタントの上級職である「シニアコンサルタント」やマネジャー向けの研修を新たに導入する場合は、トライアルを受けるなどしてその目で内容をチェックする。
「人材紹介企業には、顧客企業が属する業界の情報をいち早くキャッチし、それに対応することが求められます。ですから、当社の社風は非常にスピーディー。新たな教育プログラムがあれば、私をはじめとする経営層が率先して試し、役立つと思ったらすぐに導入を決めます。私自身は、全労働時間の1割ほどを教育のために費やしていますね」
同社の従業員数は、約230人。この企業規模にもかかわらず、社長自身が従業員教育にこれほど深く関わるのは珍しい。それだけ同社が、教育を重視しているということなのだろう。
入社後も継続的にトレーニングを実施
中途採用者向けの入社時研修は、全部で6週間。人材紹介のトレーニングや担当業界に関する知識、営業にまつわる研修などを、座学とOJTを取り混ぜて幅広く行う。
「コンサルタントの仕事に就いた後も、継続的にトレーニングを受ける仕組みです。社内で勉強会を行うこともありますし、オンライン研修に参加してもらうこともある。個人によって異なりますが、平均すれば週1回くらいのペースで何らかの研修を受けているのではないかと思います」
日本企業では、従業員をゼネラリストとして育成するところが少なくない。しかしロバート・ウォルターズ・ジャパンでは、従業員をスペシャリストとして育成する。
「例えば、コンサルタントを経理に異動させるようなことはしません。あくまで、人材紹介のプロフェッショナルとして能力を伸ばしていただきます。ただし本人の希望があれば、担当分野を変更することは全く問題ありません。仮に自動車業界でコンサルタントとして働いていた人がIT業界の担当に移りたいというなら、その業界の知識さえ身につければ、すぐに活躍することができるでしょう」
コンサルタントに対し、スワン氏は日頃から3つのことを強調しているという。
「1つ目は、企業と転職希望者の求めることをきちんと見極め、両者を上手につなぐこと。この仕事はエネルギーを注げば注ぐほど、得られるものも大きくなるものです。2つ目は、成約数を伸ばしてお金を稼ぐこと(笑)。そして3つ目は、仕事を楽しむこと。エンジョイしながら働く方が、いい仕事ができると私は考えています」
一方、マネジャー以上のメンバーに対しては、「自分らしいマネジメント」をするよう求めている。
「教科書に書いてあるようなやり方で部下を管理する必要はありません。自分自身の人格を大事にし、それぞれのやり方で部下を引っ張ってくれればいい。ただしそのためには、オープンマインドであることが重要です。他者の意見を受け入れ、自分自身が変わらなければならないと思ったら、素直に襟を正す。マネジャーが最初に管理すべき対象は自分なのだと、私自身も考え、実行しています」
Business Item
ハワイ旅行をした際に、家族から贈られた限定品のペン。このペンを持ち歩くようになってから、会社の業績もグンと上がったという。スワン氏いわく「幸運を呼ぶペン」。
「仕事でこのペンを使うとき、私を支えてくれる家族のことを思い出します。それが私の、仕事に対する原動力になっているのです。また、ペンを見るたびに、当社の全社員にも大切な家族がいることが頭に浮かびますね。そして、『当社を、もっとワークライフバランスが取れた組織に育てたい』という決意を新たにするのです」
メンバーが成長し働きやすい環境をつくる
外資系企業に対し、ドライな社風という先入観を持つ人は少なくないだろう。しかし、ロバート・ウォルターズ・ジャパンは違う。社内バーベキュー大会やチャリティーパーティー、従業員の家族を招くファミリーデー、優秀な成績を上げたチームが招待される「チームディナー」といった社内イベントを、頻繁に開催。また、同社を利用して転職に成功した人々を集めたネットワークイベントも、毎年実施されている。
「企業や同僚とつながっていると感じることは、とても大事なことだと思います。もしかすると、当社は普通の日本企業以上に家族的な雰囲気かもしれません(笑)。そのおかげか、従業員の在籍期間は、業界平均よりかなり長いはず。ディレクター(部長級)の在籍期間は、平均10年以上に及んでいます」
同社の日本オフィスには、なんと28カ国籍ものコンサルタントが勤務。また、従業員の女性比率は51%で、管理職の3割は女性だという。ダイバーシティの面でも、非常に先進的な職場だ。
「当社は完全成果評価主義。性別や年齢、国籍などは一切関係なく活躍できます。産休も個々のニーズによって他者より長めに取れますし、育児のための時短や、『パタニティーリーブ』(男性の育児休暇)といった仕組みも整備しています」
教育体制を充実させ、従業員が働きやすい環境を整えることは、スワン氏にとって大きなやりがいになっている。
「せっかく入社してくれたのだから、メンバーには当社に在籍している間に、できるだけ成長してもらいたい。そして、努力を積み重ねた結果、成果につなげるという経験をして、人生の自信を深めてもらいたいですね。そして私自身も日々成長しながら、メンバーのために力を発揮できることが、仕事へのモチベーションとなっているのです」
ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社
東京都渋谷区渋谷3-12-18
渋谷南東急ビル14階
http://www.robertwalters.co.jp
世界25カ国で人材紹介事業を手がけるロバート・ウォルターズの日本法人として、2000年に設立。外資系企業や日系グローバル企業などに対し、英語と日本語が使えるバイリンガル・プロフェッショナルの人材紹介を手がけてきた企業。日本のビジネスパーソンの可能性を広げている。国内では、東京と大阪の2カ所に拠点を展開中。