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永谷研一 目標を達成するための”PDCFAサイクル”

永谷研一 Vol.3 「行動目標」をつくる4つのステップ – 目標を達成するための”PDCFAサイクル”

永谷研一

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行動につながる正しい「行動目標を立てる」には、4つのステップで行うことが大切です。

様々な企業の新人教育、リーダーや幹部候補生の研修・育成などに関わってきた永谷研一氏。
研修やOJTなどの人材育成の施策が「やりっぱなし」になっている点が問題だと感じ、のべ12,000人の行動を分析して「目標達成」に向かって行動をしていくプロセスをモニタリング、データ分析することで改善方法を編み出すことに成功。
『目標達成に必要なのは根性論でも精神論でもなく、「技術(スキル)」である』
その理論を体系化したのが、“新しいPDCAの回し方”である「PDCFAサイクル」なのです。このコラムでは、仕事がデキる人は必ずやっているという、「目標を達成するための”PDCFAサイクル”」について、永谷研一氏に語っていただきます。

「行動目標」をつくる4つのステップ

行動につながる正しい「行動目標を立てる」には、次の4つのステップで行うことが大切です。

ステップ1:問題を洗い出す

「あるべき姿(めざすべき結果)」をAとし、「現状」をBとします。
そのAとBの間にあるギャップを「問題」と呼びます。
ステップ1は、この問題をすべて洗い出すことです。

たとえば、ある営業マンの例で話しましょう。

月商300万円があるべき姿(A)
現状では月商100万円(B)だとします。
その差(A)-(B)200万円を生み出している問題をすべて洗い出していきます。
「商談の量が少ない」
「商品の単価が低い」
「商品を理解してもらえない」
などなど多くの問題をあげることができるはずです。

このときのコツは、解決策を先に考えないことです。問題はすべて抽出してしまいましょう。ここに漏れがあると、誤った目標を立ててしまいます。

ステップ2:問題を選択する

ステップ1で洗い出した数ある問題から問題を1つ選択します。
すなわち、あれもこれもと手を広げずに、目標達成するために解決すべき問題を絞り込んで、優先順位をつけていくのです。次のように考えるとよいでしょう。

優先順位1:会社に対して著しいマイナスの影響を与えるもの(訴訟リスクなど)
優先順位2:他部門から、早期の解決を切望されているもの(品質問題など)
優先順位3:一番簡単なもの(知識習得など)

一番簡単なものが優先度が高い理由は、解決しやすいものから目標達成してしまい、再度目標を設定するというPDCFAサイクルをどんどん回したほうがよいからです。なお勘違いしないで欲しいのは、選択から漏れた問題をないがしろにするということではないということです。

ある目標のために実践する行動の習慣化によって、別の問題が解決するということもよくあります。

ステップ3:課題を設定する(問題を分析する)

問題の選択が終了したら、次は課題設定です。
課題設定とは、問題を分析してその真の原因を見出し、まず取り組むことを決めることです。

その問題が起きているのはなぜか、と深堀して考えるのです。分析には、特性要因図(フィッシュボーン)などの手法を使う手もあります。またQ(品質)、C(コスト)D(納期)の3つの視点で考えることも効果的です。

たとえば、先ほどの営業マンはステップ2で「商品を理解してもらえない」ことを選択したとします。その原因を分析したところ、わかっているつもりだった商品知識が不足していることが判明しました。だから、説明力に乏しかったのです。そこで、問題を解決するために、まず「商品知識を身につける」ことに取り組むことに決めました。これが課題設定です。

このように、問題の真の原因を分析することが大切になります。決して、問題の逆読みが課題と勘違いしないで下さい。

例えば、
問題「商品を理解してもらえない」
課題「商品を理解を理解してもらえるようになる」
としないようにしっかり問題の発生原因を突き止めて下さい。

ステップ4:成果を明確にする

最後のステップは、成果の明確化です。

すなわち、設定された課題に取り組んで得られる結果(成果目標)を明確にすることです。ここには、「達成期限」と「数値目標」の2つの要素を盛り込むことが大切です(数値目標は、達成したかどうかの判断基準が明確な「〇〇できるようになる」でも可)。

以上のように、「問題を解決するために、課題に取り組み、成果を実現する」という構造となっている目標が、行動につながる正しい目標(行動目標)といえます。先ほどの月商100万円を目指している営業マンの例ですと、

行動目標:
「8月末までに商談の数を週10件に増やす」

「8月末までに商品知識を身につけ、お客さまに商品の魅力を5分で伝えられるようになる」
となります。

そして、最後に最も重要なことは、「共有」です。

一人ひとりの目標設定の裏にある背景や想いを周りの人と共有することです。自分の目標に感情移入してくれる周りの人がいることが目標達成に影響を及ぼします。

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