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永谷研一 Vol.4 最初から続かない行動計画を撲滅する – 目標を達成するための”PDCFAサイクル”
【コラムジャンル】
OJT , PDCFA , PDCFAサイクル , ビジネススキル , 人材育成 , 問題解決 , 永谷研一 , 目標達成 , 研修 , 第4回 , 習慣化 , 行動計画 , 講演依頼 , 連載
2016年02月25日
「行動」を計画し実践する際に続く行動と続かない行動に分かれます。「なぜ行動が途中で止まってしまうのでしょうか?」
様々な企業の新人教育、リーダーや幹部候補生の研修・育成などに関わってきた永谷研一氏。
研修やOJTなどの人材育成の施策が「やりっぱなし」になっている点が問題だと感じ、のべ12,000人の行動を分析して「目標達成」に向かって行動をしていくプロセスをモニタリング、データ分析することで改善方法を編み出すことに成功。
『目標達成に必要なのは根性論でも精神論でもなく、「技術(スキル)」である』
その理論を体系化したのが、“新しいPDCAの回し方”である「PDCFAサイクル」なのです。このコラムでは、仕事がデキる人は必ずやっているという、「目標を達成するための”PDCFAサイクル”」について、永谷研一氏に語っていただきます。
「行動習慣」を計画し、実践する
目標を設定したら次に具体的な「行動」を計画し、実践していきます。
でも続く行動と続かない行動に分かれます。
「なぜ行動が途中で止まってしまうのでしょうか?」
それは最初から続かない行動を計画していることが原因の1つです。
その行動には2種類あります。
1つは「やること」。TODOリストで管理するタスクのことです。
もう1つは、「続けること」これは「行動習慣」と呼びます。
たとえば、「今年中に、TOEICで900点とる」という目標に対してやること(タスク)の例は、「参考書を買う」です。これは1回やったら終わりです。続けること(行動習慣)の例は、「朝、起きたら、ラジオの英会話講座を聞く」です。これは何度も繰り返される行動です。目標達成に結びつけるためには、続けること(行動習慣)を計画する必要があります。
行動を自然に無理なく続けるための技術を身につけることが大事なのです。
「3大“根づかない”行動習慣」は何か
私は企業で目標達成のための研修プログラムを実践しています。特許を取得したITシステムを使って行動実践をモニタリングしてわかったことは、本人の意志に関係なく習慣化しづらい行動があることです。
その「3大“根づかない”行動習慣」を紹介します。
第1位は、「否定形」です。
「遅刻しない」「ミスをしない」のように、否定形の言葉で作られた行動計画です。自分のダメな部分を律したネガティブな言葉です。これでは気持ちが前向きにならないのです。「〇〇する」といったポジティブな言葉に変えると良いでしょう。
NG 「注文受けのミスをしない」
Good 「注文を受けたらすぐにお客様に電話し再確認する」
第2位は、「勉強関係」です。
「英単語を1日10個覚える」「参考書を毎日、20ページ読む」などの勉強する行動計画を立てても、残念ながら続きません。その理由は、状況が変化して、時間がとれなくなるからです。「勉強する行動」よりも「勉強する時間を確保するための行動」を計画したほうが続けることができます。
NG 「毎日10分勉強する」
Good 「いつでも本を持ち歩き1分でも空いたら本を開く」
第3位は、「立派な言葉」です。
「顧客満足」「信頼獲得」「品質向上」などのもっともそうな言葉で作られた行動計画も、続きません。なぜなら本人ですら何をしたらよいのかわかっていないからです。もっと具体的な行動に落とし込む必要があります。
NG 「部内の信頼を獲得する」
Good 「始業10分前に出勤して、全員に声をかける」
このように最初から続かない行動計画を撲滅する必要があります。
ではどうしたらいいのでしょうか。
行動のタイミングは「ついでに」
行動を習慣化する際のキーワードの1つは、「ついでに」です。
そもそも新しい行動をやり続けようとしているのですから、簡単に習慣化するはずがありません。そこでおすすめしたいのが、すでに習慣化している行動にくっつけて、「ついでに」やってしまうことです。
たとえば、
「通勤電車(通勤のついでに)で勉強する」
「お客さまに会うたびに(会うついでに)商品の満足度を聞く」
「会議が始まった直後に(始まったついでに)成果目標を確認する」
このように既に習慣化している行動の「ついで」にしてみましょう。
行動を「アウトプットで見える化」する
行動した結果を「他者からも見えるようにする」ことが、続けるために重要なポイントです。
行動を他者にオープンにすることによって、もしやめてしまったら周りから“突っ込み”が入るようにするのです。例えば、「お客さまの満足度を聞く」だったら、「聞いた内容を部内会議で発表する」として見える化します。また、「・・を本を読む」だったら、「読んだ内容で不明点を先輩に聞く」(他者とのコミュニケーションは見える化の一部です)とします。
すると、周りからフィードバックがもらいやすくなり、行動の継続を後押しされる状況が生まれるのです。そして、勝手に止めることができなくなります。よって「行動を見える化」する人は、覚悟がある人と言えます。