働き方・生き方
BUSINESS SKILLS COLUMN LIST ビジネススキル
永谷研一 Vol.6 経験から学べる人になるには – 目標を達成するための”PDCFAサイクル”
【コラムジャンル】
OJT , PDCFA , PDCFAサイクル , ビジネススキル , 人材育成 , 内省 , 反省 , 問題解決 , 振り返り , 永谷研一 , 目標達成 , 研修 , 第6回 , 習慣化 , 行動計画 , 講演依頼 , 連載
2016年11月01日
目標達成に近づけるために、「行動を振り返る」ようにします。このときにやってしまいがちなこととは?
様々な企業の新人教育、リーダーや幹部候補生の研修・育成などに関わってきた永谷研一氏。
研修やOJTなどの人材育成の施策が「やりっぱなし」になっている点が問題だと感じ、のべ12,000人の行動を分析して「目標達成」に向かって行動をしていくプロセスをモニタリング、データ分析することで改善方法を編み出すことに成功。
『目標達成に必要なのは根性論でも精神論でもなく、「技術(スキル)」である』
その理論を体系化したのが、“新しいPDCAの回し方”である「PDCFAサイクル」なのです。このコラムでは、仕事がデキる人は必ずやっているという、「目標を達成するための”PDCFAサイクル”」について、永谷研一氏に語っていただきます。
「行動を振り返る」とは、反省すること?
行動習慣が実践できるようになったら、目標達成に近づけるために、その「行動を振り返る」ようにします。
このときにやってしまいがちなのが、失敗や過ちなどの「できなかったこと」だけを見つめてしまうことです。日報や週報などにも、自分がダメだった部分を「反省」し、トップや上司の目を意識して取り繕った改善策を書いているという人が多いのではないでしょうか。
しかし、反省するということは心理的に気持ちのいいことではないので、「やる気」を継続することがむずかしくなっていきます。
行動を振り返り、過去の経験から学んで次に活かしていくためには、反省するだけではダメなのです。経験から学ぶためには、自分に対してより深く向き合う必要があります。それには、心理的に気持ちのいいことのほうが効果的です。
そのためには、まず「できたこと」に着目して、自分で自分を認めるようにすることです。すると、「自己肯定感」が増していくので、自分のことが好きになっていきます。
これが、「内省」のための重要な最初のプロセスとなります。
「内省」とは何か
内省とは、読んで字のごとく、「自分の内(心の中)をかえりみること」です。
誰かのために行うのではなく、自分のために自分の内側のもう一人の自分と会話するというイメージです。経験から学べるようになるということは、内なる自分自身と会話ができるようになるということです。
ところで、どんな人にも「心のフタ」があります(専門的には、ペルソナといいます)。そのフタの存在は自分が生きてきた証であり、傷ついた経験の量だけフタは厚くなっています。でも、そのフタを開けなければ自分と向き合うことはできません。フタの下には「純粋な心」が隠されていて、それに触れたとき、内省(自分の行動や考えを深く振り返ること)が可能になります。フタを開けるためには、自分で自分を認めなければならないのです。
「究極の質問」を自分に投げかける
「できたこと」に着目して自分を認め、心のフタを開けることができたら、「学び感度」センサーのスイッチがONになります。この次に行うのが「はたして本当に“できた”といえるのか?本当にこれでいいのか?」という「究極の質問」を自分に投げかけることです。経験から学べる人は、決して仕事をやりっぱなしにしません。スルーしがちな「できたこと」から学び取ろうとするのです。
・「お客さまに見積りを早めに提出したら、受注できた」
・「新しい工程表で製造指示を行ったら、うまく動いてくれた」
・「部下からの相談を親身になって聞いたら、笑顔で仕事をするようになった」
このような「できたこと」を振り返り、究極の質問を行うと経験から学べます。
▶︎「お客さまから受注はもらったが、見積りを早く出してたからに過ぎない。競合他社の動向も考慮して、次回は仕入原価を見直して提案したほうがよいだろう。」
▶︎「新しい工程表での製造は、きつかっただろう。今回は無理をしてくれただけかもしれない。今後は設計の時間に余裕を持たせるようにしよう。」
▶︎「部下のモチベーションが上がっている。一度、相談に乗っただけでこうなるのだから、また落ち込むことがないように、毎日、朝礼で相談に乗るようにしよう。」
「できたこと」をスルーせず、自己分析することによって自分を客観視する力がつき、次の行動の質が上がります。これこそが、経験から学ぶことだといえるのです。