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新将命【第3回】一問一答 – 「リーダー人財育成」答えは原理原則の中にある
新将命氏に一問一答形式で「原理原則」「メンター」「教育」について、お話しいただきました。
「リーダー育成」で悩める教育担当者に進むべき道を示唆するメンター・インタビュー。著作の累計部数、約30万部。「リーダーの教科書」、「経営の教科書」など、教科書シリーズの著者として知られる新 将命。彼の著書をバイブルとする経営者、人事担当者、管理職は多い。新がもっとも精力的に取り組んでいるのが「リーダー人財育成」だ。その活動の核心に迫る。
(※本記事は、2013年10月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。記事中の年齢、肩書きなどは2013年取材時のものです。)
一問一答:新さんは、「原理原則を知ることが大事である」ということを著作や講演で強調されています。このインタビューでも「原理原則の大切さ」を説かれた部分が印象に残りました。
原理原則の対極にあるのが、「我流」「自己流」です。これは、企業のアイデンティティを形成するものですから、ある程度は必要。しかし、我流にこだわりすぎれば、成長は止まってしまいます。原理原則なしに企業が壁をつきやぶって飛躍することは不可能です。これは、個人レベルで見てもまったく同じことがいえるでしょう。
一問一答:新さんは、リーダーに一番求められることにマインド、人間力をあげていらっしゃいますね。人間力を高めるために意識すべきことは何でしょう。
3つのポイントが挙げられます。
1つ目は、「座学」です。セミナー、講演会、読書などを通して、ものごとの基本や本質を学ぶ。原理原則を体系的に学べるのが座学のメリットです。多忙を理由に、座学を疎かにしてはいけません。読んで字のごとく、「忙」によって心は滅びます。日常業務に追われているとものごとの本質を忘れてしまう。それがやがて、企業や個人の低迷や衰退につながっていくのです。
2つ目は、「師」です。私は日本経済新聞の「私の履歴書」という人気コラムを愛読していますが、これを読んでいて気づいたことがあります。このコーナーで紹介されるのは、政界や経済界で成功した方々ですが、ほとんどの方にメンターがいる。知識を与えてくれるのがティーチャーであり、生きる知恵を与えてくれるのがメンターです。メンターがいれば、一時期、人生で失敗してもリカバリーしやすい。メンターの存在は、人生で成功する確率を高めるといえます。
3つ目は、「修羅場」。若いうちにできるだけ困難な仕事を経験した方がいい。将来、経営層を目指す方なら海外経験をするのが理想です。異なる文化に触れることで、人間の幅が広がります。
一問一答:さきほどあげた人間力を高める3つのポイントのうち、「師を見つける」ということは意外に難しいことですね。
おっしゃる通りです。気づいたらメンターがいた、ということはあまりないですね。たいていの場合、自ら求めて探すことでメンターは見つかるものです。
メンターは、できれば複数いた方がいいでしょう。具体的にいえば3人以上いるのが望ましい。メンターというのは自分より年上の方が多いので、もし1人しかいなかったらその人が亡くなった途端、メンターがいなくなってしまう。私自身3人のメンターがいましたが、存命なのはお1人だけです。気づけば、自分自身が多くの方々のメンターの役割 を担う年齢になりました。 勘違いしていただきたくないのは、メンターというのは、高名な人だけが対象ではないということです。身近な方でも、その人が優れた人間力をもっていればメンターにしてもいいのです。
「「リーダー人財育成」答えは原理原則の中にある」(了)