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専門家が語る「本当の多様性」とは-実現に向けて今企業ができること-

白砂祐幸【第3回】障がいのある人と一緒に協働できる環境を作っていくことが必要 – 専門家が語る「本当の多様性」への現状と課題-実現へ向けて今企業ができること-

ノビテクマガジン編集部

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2017年12月05日

「障がいのある方の能力をどのように積極的に取り入れていくかを戦略的に考えていくことが必要です。」
企業価値を実現することを目標に、政府が新たに打ち出した「ダイバーシティ2.0」今、企業が考え行動しなくてはいけない事を分野ごとの専門家が課題、現状を解説。
(※本記事は、2018年1月1日発行のノビテクマガジンに連動した詳細記事です。)

「数の確保」が目的になりがちな障がい者雇用

白砂祐幸
白砂祐幸

企業における障がいのある方への向き合い方は、「法定雇用率」というコンプライアンス事項への取り組みによって形成されてきました。

この制度により企業は障がい者を「一定数採用しなければならない」、つまり『数の確保』のための対応になりがちです。その結果、企業文化に添いやすく、企業にとって即戦力となる身体障がいの方に採用が偏重しています。また、採用市場の中で多数を占める精神障がいの方に関しては、企業側に受け入れる文化が育っておらず、採用に二の足を踏む、または採用しても短期的な働き方の提供に留まってしまっているという現状があります。

何よりも課題なのは、「障がいのある方と一緒に働く」ということへの意識が日本全体で低いことです。障がい者雇用を担当するのは管理系部門の仕事、障がいのある方の労働は福祉施設の役割と、業務分掌や生活区分が違うかのような考えが浸透しています。少子高齢化社会への道を歩んでいる中、企業はより多くの力を取り込むために、協働することの重要性を理解し、障がい者雇用への考え方を見直すことが必要です。

強みを活かした業務割り当ての事例

一部の企業では、障がいのある方を企業活動の中に積極的に取り入れることを実践し始めています。商品販売の店舗を全国に展開している企業では積極的に障がいのある方を店舗スタッフとして採用し、徹底したマニュアル管理によって店舗内全員の働きやすさを高めました。

他の例では、長年多額のコストをかけて対応していた課題点を、障がいのある方の力で解決するという新規事業をたちあげた結果、コスト削減と障がい者雇用の2つを一緒に解決しました。

どちらも、マルチタスクへの対応や臨機応変な対処など障がいのある方の苦手な面ではなく、その人が持つ得意な点、例えば、チェックに関しての感度の高さや一つの物事への集中力の高さなど、『人材としてのプラス面』に着目し業務を割り当てているところが大きな特徴となります。

一人一人の業務が過密化している中、効率的な働き方を模索している企業にとって、障がいのある方の能力は、新しいリソースになり得るという考え方を持つことが大切です。

障がい者の能力を理解し戦略的に雇用することが必要

まず、障がいのある方と触れる機会を作ることが大切です。現状、私たち日本人は、障がいのある方と話す機会、その能力を感じる機会に触れることは些少です。そのため、障がいのある方が企業の中で働けるイメージが湧きにくく「フォローしなければならない存在である」と考えている人は少なくはないでしょう。

障がいのある方には色んな能力がある、ということに気づくことができれば、相互に支えあう存在として協働し、『自身の仕事を助けてくれる存在』と考えられるはずです。そのためにはまず、その能力を知る機会を増やすこと。社内で働いている障がいのある方と話す、自社で良い事例があれば、他社の方々にその情報を届ける、他社でのよい事例を積極的に社内で発信する。また、経営層の方からは、障がい者雇用が社会課題ではなく、自社の課題解決につながる可能性を積極的に発信することも大切です。

働き方を改善するという観点では、新しい人員リソース投入を考える時、より効率的・高収益につながる業務は具体的に何か?ということを管理職の方々が見直し、障がいのある方の能力をどのように積極的に取り入れていくかを戦略的に考えていくことが必要です。

白砂 祐幸 (しらすな まさゆき) プロフィール

白砂祐幸

株式会社NANAIRO 代表取締役社長
大学卒業後ITメーカーで営業として勤務した後、ITベンチャー会社に転職。メンタル不調者の方々の復職専門部署を設立し、同時に障がい者雇用の現場を運用しながら営業も兼務。特例子会社を立ち上げる。特例子会社設立コンサルテーション、障がい者就労サポートアドバイザリーなどを得意とし、これまでの経験を踏まえた研修、講演活動も多数実績あり。

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