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HUMAN RESOURCE DEVELOPMENT 人材育成

ドイツで育むグローバル人材!~アメリカ・イギリスでもない環境を選ぶ日本人~

【第2回】日本とドイツの教育制度は、何が違う? – ドイツで育むグローバル人材!~アメリカ・イギリスでもない環境を選ぶ日本人~

株式会社ダヴィンチインターナショナル

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日本とドイツの教育制度の違いを挙げ、特にドイツの優れた教育システム”デュアルシステム”をご紹介します。

グローバル人材育成の必要性が叫ばれる昨今、たくさんの書籍・雑誌が出版され、多くの研修・セミナー・講演会が開催されています。
ご多忙にもれず、このコラムもグローバル人材をテーマにしたものですが、イギリス、スイスでもない、米国のバーバードビジネススクールでもなく、世界各国が注目をしているドイツの教育制度を通して、実際にドイツで “ゲゼレ” “マイスター” を目指している日本人の活動をお伝えしながら、グローバルな視点に立った人材育成・教育についてお伝えできればと考えおります。

日本とドイツの教育システムとは、何が違う?

日本とドイツの教育システムとは、何が違うのでしょうか?

日本の学校教育は、大多数の若者が高校卒業をして、偏差値の高い大学を目指すことが目的となっています。よって就職をする際に、大学で学んだ専攻内容と就職してからの仕事内容に関連がある人は概ね士業や医者、学校の先生等に限定されており多くの学生は専攻とは関係ない仕事をしているのが現状です。 教育と職業が分離し、学業において職業教育が念頭に置かれていないのです。 就職して始めて仕事に関する知識を学ぶことが多いので、プロのビジネスパーソン・技術者を育てる時期が遅くなってしまいます。

ドイツでは小学校5年生になる際に、早い段階で手工業または技術系のスペシャリストを目指す道、又は進学して研究者や士業等を目指す道を選ぶことになります。当然10歳の頃から自分の将来の職業を意識することになるので、自分は何をして生きていきたいのかについて考える時期が早いのです。

そこに偏差値教育はなく、自分がスペシャリストとして誇りを持って生きていく道を築くための準備期間として教育を受けることができるのです。また、10代で学ぶスペシャリストへの職業教育は10代の感性をも重んじます。

また両者の教育に対する特徴的な違いを言えば、ドイツの教育は幼少期から「自分で考えて表現する力を促す教育」が特徴。 日本の教育の特徴は「正しいことを先生が教えて生徒が覚える」教育。すなわち、ドイツでは生徒が自分で考えて発言したことを常に先生は耳を傾けそこに「間違い」はないという姿勢があります。 一方、日本の教育は常に「正しい」か「間違い」かに主眼がおかれ、さらには物事を覚えるという知識偏重型の教育が根本にあります。

ドイツはいつでも答えがない課題に対して考え行動する力が備わり、日本の場合は、知識は豊富になるが答えがない課題にぶつかった時の解決能力が育たない傾向が出てきます。 社会に出れば人は常に答えのない課題を目の前にすることが多くなるもの。その際に日本人は常に上司の指示待ちの仕事スタイルになりがちなのではないでしょうか。

多くの国が注目する、キャリア育成が直結した教育システム ”デュアルシステム”

日本では、「○○会社(大手企業)に勤めている。」あるいは「上位の役職についている」ことが評価の基準になっていることは否めません。大手企業で順調に出世をしている人が社会の勝ち組といった傾向があり、後述するドイツのように手に職を持つ技術者や手工業系の職業人の社会的地位が国家的枠組みで評価される制度は特に見当たらない。一般的にも技術者や手工業系の方が評価されるのは、「経営者」として成功するなどの実態がなければ「技術者、手工業者」単独で社会的地位が高いと評価されることはないのではないでしょうか。

一方ドイツは、職業(専門)教育を受けた技術者や手工業者を国家的枠組みで支援する制度(デュアルシステム)により確実な技術力のある職業人を育成するだけにとどまらず、ゲゼレやマイスターという国家資格取得に伴い、誇りを持って職務にあたっている職業人を多く育成しています。

ドイツ連邦教育研究省(BMBF)のヴァンカ大臣の発表によれば「職業教育と大学教育が同等であると認め、ドイツのマイスター資格の高い位置づけを強調する・・・」と発表しています(2014年2月21日公開記事の一部の抄訳)。

そして、2013年12月16日号「PRESIDENT Online」(参考:http://president.jp/articles/-/11301)の大前研一氏の掲載記事には『アメリカのオバマ大統領は「経済安定化のためにドイツのデュアルシステムを研究せよ」と何度も号令をかけているように、アメリカでもこの教育制度の魅力を認めているのです。

現地のミュンヘンの手工業会議所訪問した際にも、「EU諸国はもちろんアジア諸外国など多くの国からデュアルシステムを学びたい、導入したいといった相談を受ける。」と責任者が諸外国からの関心の強さを語っており、世界各国からも倣うに値すべき点が多いと評価を得ています。

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※1 勉強コースと職人コースの間のイメージ
※2 ドイツの大学には偏差値はない。専門分野により行きたい大学が異なる。
※3 ドイツの博士号であるDr.rer.natやDr.med.などの授与は、全人格的な評価も重要な審査要因であり、学術職業的な称号というだけではなく、社会的な称号として与えられる。

ドイツでは、手工業系または技術系のスペシャリストを目指す場合、職業教育を選択することができ、職種は手工業系で41種類、工業系で300種類以上もあり各々の職種のスペシャリストになるための道が構築されており、15、6歳で各々が自ら進みたい職種を選び、実際の職場で実施研修を受けながら職業学校にも通い技術力を確実に身につけることができます。そして、4年の研修期間を経て職業人のプロと認定される国家資格ゲゼレを取得し自立の道を築くことができます。

このゲゼレを取得するために各専門分野において各人は相当な勉強が必要です。よく、勉強ができない人が手工業系・工業系の職人を目指すというイメージがありますがゲゼレを取得するのはそんなに簡単ではないのです。(ゲゼレになるためには職種ごとの専門知識はもちろんのことゲゼレの役割や法律なども勉強し実践と知識の両方の厳しい試験に合格しなくてはなりません。また生涯で3回しか受験できないという厳しい制限があります。※今後のコラムで詳細お伝えします。)

ましてや、その上の開業資格でもある“マイスター”になるためには実技に加えて、経営に必要な経営学、法律学、スペシャリストを育成するための教育学など様々な知識を習得し、その試験に受からなければならないのです。

さらにマイスター資格取得には、部下育成についてはもちろん部下の権利もきちんと保護されるよう、労働基準法をも学ぶことが必須となります。労働者の権利がきちんと確保されるようなセーフティーネットも存在しており、現に職業訓練生であっても労働環境に問題がある場合には手工業会議所に相談し是正する仕組みまであるのです。

これが、ドイツの教育制度(デュアルシステム)の優れた点なのです。「より多くの人が実感できるスペシャリストとしての誇り」と「キャリア育成が直結した教育システム」を国家的枠組みで醸成させているのです。

日本では、経営者のうち労働基準法を熟知して労働者の権利をきちんと守ろうと考えて、人材雇用している経営者はどのくらいいるでしょうか。なおドイツでは、仕事に誇りを持ちながらも決してオーバーワークが賞賛されることもないのが、興味深いところです。プライベートも充実させるために全ての有給休暇を消化させており、また育児に関しても父親に「子どもが生後1歳になるまでの間2ヶ月の育児休暇を取得すること」が規定になっており、実際にこの制度を取得されている方が多いのです。

制度があっても利用することが難しい日本の労働環境では、社会問題になっている過労の問題を含め、労働者の権利が正当に守られにくい社会構造になっているのではないでしょうか。

アメリカ・イギリスでもない、ドイツで真のグローバル人材を目指す

ドイツの街並み

そんな環境で、ゲゼレの資格を取得しようとしている林 沙織さんは、日本で大学を卒業後、大手の人材会社でのキャリアを持ちながら、たまたま日本で靴の製作をする機会に出会い、「これだ!」と思ったとのこと。ドイツでしか得られない伝統ある整形靴のプロになる技術力と深みと幅のある知識を習得するために、単身ドイツで挑戦しているのです。

今、私たちは「一人でも多くの人が誇りを持って仕事をしながら幸せな人生を築くための機会をつくりたい」という目標を掲げ、この事業を行っております。

ドイツでスペシャリストとなり、帰国された参加者の方には、是非とも誇りある職業人生を歩む機会を、より多くの日本で伝え広めてほしい、そしてそこから本当の意味でのグローバル人材を創出し、社会をよりいいものにして誇りある職業人生を歩む機会いければと考えております。

次回以降は、冒頭でもご紹介しました林 沙織さんをはじめのドイツで活動している日本人の方々の活動をお伝えいたします。

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