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山下淳一郎【第2回】だから、わが社は発展した! – ドラッカーに学ぶ成功への原理原則
【コラムジャンル】
コーヒーチェーン , ドラッカー , 事業拡大 , 原理原則 , 学ぶ , 山下淳一郎 , 成功 , 発展した , 目次 , 第2回 , 組織 , 講演会 , 講演依頼 , 連載
2015年11月19日
「組織は、それ自身の為に存在するのではない。生き物のように、自らの生存そのものを至上の目的とすることはできない。組織の目的は、社会に対する貢献である」
こんにちは、トップマネジメントの山下淳一郎です。私は、ピーター・ドラッカー教授の理論をベースに様々な企業・団体の活動のお手伝いをさせていただいております。本コラムでは、ドラッカー教授の名言と日本企業を照らし合わせて、分かりやすくビジネスのヒントをお伝えできればと考えております。
ドラッカー5つの質問 われわれのミッションは何か?
“社会は変わっていく。だから事業も常に新しい次元に進化させていかなければならない。”
前回はそんなお話しをいたしました。一方、わが社は何のために存在するのか。この、何のためという原点が曖昧であっては社会の変化に右へ左へとブレてしまい、社会の役に立てる事業にすることはできません。ではどうずればいいのか。前回お伝えした通り事業の骨格をつくるのに不可欠な「ドラッカー5つの質問」をお伝えいたします。
まず、5つの質問とは下記の通りです。
1.われわれのミッションは何か?
2.われわれの顧客は誰か?
3.顧客にとっての価値は何か?
4.われわれにとっての成果は何か?
5.われわれの計画は何か?
この中で今回のテーマは、「第一の問い われわれのミッションは何か」です。
だから、わが社は発展した!
先日、コーヒーを提供している大手のコーヒーチェーンが、今後アルコールを提供していくことが話題になりましたね。カフェと言えば、日本にその文化をつくったのは、ご存じの通り、ドトールコーヒーです。
ドトールコーヒーは、1926年にコーヒー豆の卸売として創業されました。当時は八畳一間の事務所で、従業員はたった2名。喫茶店にコーヒー豆の営業に訪問しても「商売の邪魔だ!」と怒鳴られ門前払いの日々だったそうです。創業当時は来る日も来る日も苦境の連続であったことは、余人が語れるものではありません。
1964年、ドトールコーヒーはコーヒーショップを開業し、事業を拡大していきました。創業者である鳥羽社長は相当悩まれたそうです。それもそのはずです。コーヒーショップの開業は、コーヒー豆を納めていた喫茶店と競合関係になってしまうわけですから、事業の拡大というよりも、当時は、その日の利益を獲得する苦肉の策であったそうです。
今でこそ、カフェと言えば華やかなイメージですが、その時代の喫茶店といえば、テーブルがゲーム台であったり、よもや一歩違う業界にまで発展しかけたように、健康的なイメージを持たない分野でした。
「老若男女問わず、健康的な空間を提供しよう」
当時では想像すらできない業界の改革に挑まれたのです。現在、ドトールコーヒーは従業員1000名を超え、店舗数は1500ヵ所以上、年商は約700億を超える大企業に発展しています。
1996年に日本に進出を果たしたスターバックスが注目されはじめ、ドトールコーヒーは厳しい競争を余儀なくされたかに思われました。ところがドトールコーヒーはそれをチャンスととらえ、エクセルシオールという新しい業態をつくり、事業をさらに伸ばしていきました。
創業者である鳥羽名誉会長は、次のように語られています。
織田信長が軍旗に掲げたものは「天下布武」、武田信玄は「風林火山」。いずれも戦いの発想だ。徳川家康が掲げた「世のため人のため」というミッションが正しかったからこそ、多くの人々の賛同を得られた。最初に正しい願いやポリシーを持ったからこそ、半世紀以上にわたりコーヒー業界に身を置くことができた。だから、わが社は発展した。
ドラッカーは次のように言っています。
「組織は、それ自身の為に存在するのではない。生き物のように、自らの生存そのものを至上の目的とすることはできない。組織の目的は、社会に対する貢献である」
ここでいう、社会に対する貢献こそミッションです。
つい、売上や利益の拡大を目的としてしまいがちですが、事業の目的は「お客様に喜んで頂くこと」です。そのお客様に喜んで頂くからこそ、事業が繁栄するのです。創業者である鳥羽名誉会長は、ミッションを掲げて業界全体の行く末を見守りながらドトールコーヒーの経営を通して、ミッションの必要性を教えてくれている気がします。
ぜひ、ミッションを問いただし、社会に対する貢献の内容を明らかにしてください。
ミッションが決まったら、次に行うことは「対象とするお客様を決めること」です。
次回は、「第二の問い われわれの顧客は誰か」をお伝えいたします。
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