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齊藤正明【第2回】生き生き働く漁師からプロの生き様を学んだ – プロフェッショナルの歩き方
プロフェッショナルの歩き方
「与えられた仕事をこなすのではなく、自分で工夫して期待以上の成果を生み出す人」
どの世界にもプロフェッショナルと呼ばれる人がいる。彼らはどのような出会いによって学びを得て、どのように成長し、現在に至るのか。業種の違うプロフェッショナルに話を伺った。
突然の業務命令を受け、無理やり乗せられたマグロ船。しかしそこには良質な組織が存在していた。人材マネジメントの本質を学んだ齊藤正明氏はマグロ船という厳しい環境で磨かれたリーダーシップやチームワークを、研修・講演を通じ、どのように伝えているのだろうか?
岩崎知佳 ≫ インタビュー 櫻井健司 ≫ 写真 白谷輝英 ≫ 文
(※本記事は、2016年1月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。所属・肩書・固有名詞は当時のものです。)
プロフィール
齊藤 正明(さいとう まさあき)
北里大学水産学部を卒業後、バイオ系企業に入社。25歳の時に業務命令でマグロ船に乗り、40日間以上の航海を経験した。その後、漁師から学んだコミュニケーション手法を社内に取り入れ、社風改善に成功。2007年に独立し、人材育成の研修を行うネクストスタンダードを設立した。2011年、TSUTAYAが主催した『第2回 講師オーディション』でグランプリを受賞するなど、研修講師・人材コンサルタントとして活躍を続けている。
生き生き働く漁師からプロの生き様を学んだ
結果を出すために工夫をしていたのは、船長だけではない。漁師一人一人も同様だった。
「船でいちばんの若手は、20歳のAさん。休憩時間になると皆にコーヒーやタバコを配るのが彼の役目でした。船の上では軍手をつけて作業するので、コーヒー缶を開けるのはかなり面倒。そこでAさんは、いつもプルタブを開けた状態で缶を手渡すようにしていました。また、タバコも各先輩の好みをきちんと把握した上で渡していたのです。これらの仕事は一見、ただの雑用に見えます。しかしAさんは、自分で工夫をして期待以上の役割を果たしました。船長から若手に至るまで、頭を使って仕事に取り組んでいる。これが、『プロフェッショナル集団』だと感動しました」
受講者の期待を超えた研修・講演を生み出す
与えられた仕事をこなすのではなく、自分で工夫して期待以上の成果を生み出す人。それが、齊藤氏が考える「プロフェッショナル」の定義だ。
「コンビニや居酒屋で会計を済ませた後、店員さんの姿を思い出せますか? ほとんどの場合、何も覚えていないでしょう。店員さんが『期待通りの仕事』しかしていないから、あなたの印象に残っていないのです。
私たちは、目の前の仕事をこなすだけで、自分を評価してほしいと望みがちです。しかし、それは間違い。知恵を絞って工夫し、周囲の期待以上の仕事をすることで初めてプロとして評価を受けられるのだと、講演などでは受講者の方々へ伝えるようにしています」
齊藤氏自身も、プロフェッショナルとして期待以上の成果を上げようと、常に努力を重ねている。それを象徴するのが、講演などで登場する場面。ヘルメットにカッパという「漁師スタイル」で、勢いよく走って登壇するのがいつものパターンだ。これは、ウケ狙いではない。意外性を演出することで、講演の中身を受講者の記憶に刻みつけようとしているのだ。他にもさまざまな工夫を凝らし、研修の効果を高めようとしている。
「研修や講演をする際には、積極的にワークを取り入れ、その中に必ず一つは『ワナ』を用意します。」と齊藤氏は言う。
平凡で予定調和的な講演・研修は、人々の記憶に残らない。受講生の役に立つため、期待をいい意味で裏切り、はるかに上回るものを提供する。それが齊藤氏の、研修講師のプロフェッショナルとしてのプライドだ。
「仕事ほど面白いものはないというのが、私の考え。しかも、働くことで人々に感動を与えたり、世の中に役立ったりできるのです。そして、仕事を楽しむためには、マグロ船の漁師たちのように工夫しながら期待以上の成果を出し続けることが不可欠。今後も、プロとして活躍するための気構えやノウハウを、皆さんに伝えていきたいですね」
プロフェッショナルになるための3つの極意
1.相手の期待を上回る成果を出す
2.予定調和ではなく、意外性を演出
3.仕事をとことん楽しむ工夫をする
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