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川田修【第1回】自らの軸を持つ – メンタル筋を強化する~一流の仕事人の極意~
【コラムジャンル】
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2015年10月22日
「自らの軸」と「己を俯瞰する視点」を持てば、プレッシャーをはねのけ、大きな成果を出せる!
新卒で入社したリクルートでは、在籍した96ヶ月(8年間)のうち、営業目標を95ヶ月連続達成。プルデンシャル生命保険株式会社に転職後も、常にトップクラスの成績を挙げ、昇格を重ねてきた。社内賞の受賞経験も豊富。端から見れば、川田さんは押しも押されもせぬ「トップ営業パーソン」だ。しかし、そんな川田さんにも、悩み苦しんだ時期がある。
仕事での結果を求められ、プレッシャーに苦しむビジネスパーソンは少なくないだろう。だが、やり方さえ工夫すれば、厳しい環境の中でも高いパフォーマンスを生み出すことが可能だ。一度はどん底を経験した「伝説の営業パーソン」に、自分の軸を生み出し、持てる実力を最大限発揮するための方法論を伺った。
(※本記事は、2015年4月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事をWeb版として再構成しました。)
営業ランキングを無視するを宣言したのが、「どん底」の発端に
新卒で入社したリクルートでは、在籍した96ヶ月(8年間)のうち、営業目標を95ヶ月連続達成。プルデンシャル生命保険株式会社に転職後も、常にトップクラスの成績を挙げ、昇格を重ねてきた。社内賞の受賞経験も豊富。端から見れば、川田さんは押しも押されもせぬ「トップ営業パーソン」だ。しかし、そんな川田さんにも、悩み苦しんだ時期がある。今から6~7年ほど前、40歳を過ぎた頃のことだ。
「若いころからずっと、営業成績で比べられる毎日。少しでも順位を上げたいと思う気持ちを、仕事の原動力にしていました。しかし、年齢を重ねるうちに、今後もこうしたモチベーションで働くのは無理だと感じるようになったのです。また、成績アップを目指すあまり、大事なものを犠牲にしているのではないかという危機感もありました。例えば、売り上げを追求しすぎることで、お客様を最優先に考える態度がないがしろになっていないか。また、プライベートな時間が犠牲になっていないか。そんな疑問を抱くようになったのです」
そこで川田さんは、宣言した。今後は営業ランキングを気にせず働く、と。営業成績というプレッシャーから解放され、自分らしく仕事をしようと思ったからだ。ところが、川田さんの気持ちは、少しも楽にならなかった。むしろ、日に日に苦しさが増していったという。
「そんなある日、急に会社に行くのがイヤになってしまいました。それから、毎朝布団の中で、娘や息子が学校に行く物音を聞く生活が始まったのです。その都度、『少し二度寝したら、会社に行こう』と思います。しかし、いざ起きてみると『これから出社しても、短時間しか働けない』などと自分に良い訳し、結局休むこともありました。そんな状態が、3ヶ月くらいは続いたと思います。まさにどん底でした」
他者評価から自己評価に切り替え、気持ちが楽になった
突然、仕事への意欲を失った川田さんは、状況を打開するため模索を続けた。たくさんの人と会って話を聞いたし、カンボジアでボランティア活動をしたこともあった。そんな中、大きな転機になったのが、スポーツドクター辻秀一氏との出会いだった。
「私は元々、セミナーや研修に積極的に参加するタイプではありませんでした。でも、思い立って辻先生のセミナーに足を運んでみたのです。そこで講演を聞くうち、自分自身が『他者評価』にとらわれすぎていたことに気付きました。中・高校生時代は、校内に張り出されたテスト結果に一喜一憂。社会人になってからは、営業成績の順位を自らの価値だと思い込んでいました。振り返ると、私は他人がつけた順位に振り回されていたと痛感しました」
川田さんが「営業ランキングを無視しよう」と考えたのは、そうした生き方に対し、潜在的な不安を感じていたからかもしれない。だが、他者評価という物差しを捨てた瞬間、川田さんは何を基準にしていいのか分からなくなった。
「古い物差しに変わる新たな価値観が、私の中には何もなかったのです。その結果、自分の中に『軸』がなくなり、浮き草のように浮遊してしまったのでしょう」
川田さんはセミナーへの参加を機に、発想をガラリと転換した。他者ではなく、己の価値観で、自らの人生を評価しようと切り替えたのだ。
「私は何をしたいのか、本当に求めていることは何か。そんな切り口から、仕事を見つめ直しました。そこから導かれた答えが、この3つです。
(1)私は、新しい環境に飛び込み、挑戦するのが好きだ。
(2)私は、想像したときにワクワクできるものが好きだ。
(3)私は、人の役に立てると思えるものが好きだ。
仕事やお客様に対し、営業成績にプラスかマイナスかという価値観で向き合うのはやめる。そして、『新たなことにワクワクしながら挑み、誰かの役に立てる』という3条件に合う仕事をしよう。そう決意したとたん、重かった心が軽くなり始めたんです」
「好き」を求めれば仕事の重圧をはねのけられる
ちょうどその頃、川田さんには息子さんと2人でニュージーランドを訪れる機会があった。その際、現地の少年と知り合いになったそうだ。
「彼は『サッカーが好きだ』だと自己紹介しました。私は学生時代にサッカー部だったので、息子と3人でボールを蹴ることになったんです。ところが、その少年はサッカーがものすごく下手でした。私は驚き、そして感心しました日本人なら他人の目を気にして、『上手じゃないのに、サッカーが好きだと自称するのは恥ずかしい』と躊躇するでしょう。ところが彼は、自分がサッカーが好きという気持ちを大切にし、それを堂々と口にしていました。他人の目などを気にせず、自分に素直だったのです。ああ、こんな風になれればいいなあと、感動しました」
プレッシャーとは、他人からの評価を気にしすぎることで生まれる。逆に言えば、他者評価ではなく、自己評価という「軸」が得られれば、仕事で過度のプレッシャーを感じることは少なくなるわけだ。
「今も、営業ランキングは見ますよ。できるだけ上位にいる方がいいよなあ、とも思います。ただ、上を目指すために力むことは、もうありません。自分が好きな仕事をして、結果としてランキングが上がればいいという考え方です。昔は、ランキングに支配されていましたが、現在はランキングを上手に利用できているのだと感じます。素直な気持ちで、『みんな頑張っているんだな』と、自分自身のモチベーションにつなげることができます。」
他者からの評価を気にしすぎない。同時に、自分の中にある「やりたい仕事」を大事にする。それが、プレッシャーをはねのける第一歩だというのが、己の経験から導いた川田さんの結論だ。
自己評価という軸が得られれば、
過度のプレッシャーを感じることもなくなります。
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