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竹中平蔵【第3回】視野を広げ、様々な価値観に触れる – 変革の時代に求められるモチベーション
変革の時代に求められるモチベーション
「最も大切なのは、情熱を持てる仕事をすること。」
政財界で活躍し、日米の大学などで教鞭を執ってきた竹中平蔵氏。世界の政治・経済リーダーたちが一堂に会する「ダボス会議」(世界経済フォーラムの年次総会)にも参加するなど、世界的視野で日本の未来を見据える竹中氏に、日本の強みや課題、ジャパンパワーの一翼を担うビジネスパーソンがモチベーションを高め、維持する秘訣などをうかがった。
田村知子 ≫ 文 櫻井健司 ≫ 写真
(※本記事は、2016年4月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)
視野を広げ、様々な価値観に触れる
最も大切なのは、情熱を持てる仕事をすること。
「地図」のない、変化の激しい時代に自分なりの「コンパス」を持ち、モチベーションを高く維持するためには、私は3つのことが大切だと思います。
1つめは、MITの言葉になぞらえると「Learning overStudy(勉強よりも学び)」。世の中の出来事に正解はありません。例えば、消費税増税がいいかどうかは、一律には答えが出ない。こういう答えのない問題に対しては、基礎の勉強をしたうえで、自分で考え、地頭を鍛える学びや訓練が必要です。
世の中の様々なことに視点を向けてみることも学びとなります。私は中高生に講義をする機会があると、自発的な学びの面白さに気づいてもらうために「牛乳のパックが四角いのはどうして?」と尋ねます。常温保存できるジュースなどの容器は丸くても構わない。でも、冷蔵保存が必須な牛乳は、冷蔵庫にムダなスペースができないように四角くデザインされているんですね。こうした世の中の何気ないことにも意味があって、なるほどなと思うことがたくさんあります。
2つめは、海外に出てみること。言葉や文化、価値観などの壁があるアウェーで勝負してみると、日本がいかに恵まれた環境かということ、そして、世界に吹く変化の風を肌で感じることができるはずです。それが、これからの仕事や生き方を考えるうえでのモチベーションとなるでしょう。その意味で留学には極めて大きな意義があります。留学などが難しければ、狭い世界にとどまらないようにすること。今は業種や世代を超えた交流の場がたくさんありますから、そうした場で、様々な価値観に触れるようにするといいでしょう。
そして、最後に最も大切なのは、情熱を持てる仕事をすることです。情熱があれば大抵のことは克服できる。ロシアの作家、マクシム・ゴーリキの言葉に「仕事が楽しみならば人生は極楽だ。仕事が義務ならば人生は地獄だ」というものがありますが、これは非常に的を射た言葉だと思います。人生が極楽になるかどうかは、自分のモチベーション次第ではないでしょうか。
モチベーションを高める3ヵ条
1 自発的な学びで「地頭」を鍛える
2 視野を広く持ち、多様な価値観に触れる
3 仕事に情熱を持つ
竹中平蔵 – 変革の時代に求められるモチベーション(了)
講師紹介
竹中平蔵(たけなか・へいぞう)
1951年生まれ。1973年一橋大学経済学部卒業。ハーバード大学客員准教授、慶應義塾大学総合政策学部教授などを経て、2001年小泉内閣の経済財政担当大臣に就任。以後、金融担当大臣、総務大臣などを歴任。2016年3月に慶應義塾大学教授を退官後、東洋大学国際地域学部教授に就任。その他、アカデミーヒルズ理事長、パソナグループ取締役会長、オリックス株式会社社外取締役などを兼職。博士(経済学)。
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金融・経済・政治以外の分野においても、広い見地と知識、経験、素晴らしいお人柄から
「深く」、「身になる」、「楽しい」、講演をされます。慶應義塾大学名誉 教授/パソナグループ取締役会長
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