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秋葉正枝【第28回】やり続ければ力になる! – 研修講師リレーコラム
秋葉正枝プロフィール
秋葉 正枝(あきば まさえ)
短大卒業後、富士通株式会社に入社。仕事を通じて〝伝える力〟の影響力を知る。第二のキャリアは〝人に関わること〟と決めて15年目に転職。その後、コンサルティングファームにて、CSをテーマにした研修及びコンサルティングに従事。10年間のキャリアを積み、フリーとして独立。モットーは「研修は楽しくやる!」。受講者に楽しみながら気付きを与え、改善に向けてポシティブに取り組む姿勢を促す。
(※本記事は、2020年10月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)
やり続ければ力になる!〜主体性は経験と承認によって育まれる〜
「やるほうを選ぶ」「目の前の一歩を超える」「やり続ければ力になる」
私が新人研修で伝える3つの柱です。そして、私が研修で指導のベースにしているのは「経験と承認」です。
「最近の新人は真面目で素直だが主体性に欠ける」と言われます。しかし、それは経験値がないから不安なのであって、必要なのは「経験と承認」だと私は考えます。
私は新人時代、コンピューターメーカーの事務職として勤務していましたが、あるときはヘルメットと安全帯を着けて大型コンピューターの搬入に立ち会い、またあるときは地下足袋姿の工事業者の人たちと開港前の空港に船で渡ったりと、本当にいろいろな経験をさせてもらいました。
いずれも小さなチャンスに反射的に「YES」と答え、やるほうを選んだ結果です。〝やるほうを選ぶ〞ことで新しい経験とスキルが得られました。そして、そこには上司や先輩の承認があったと実感しています。
仕事は経験からしか学べないことが多くあります。研修では多くの模擬体験をし、受講者にはよい点や強みを具体的に伝えます。どの新人も承認されると安心して表情が明るくなり、改善に向けて気持ちをシフトすることができます。一つ自信が持てれば、次は自ら考えて行動できるようになるのです。もちろん、うまくいかず壁にぶつかることもあると思います。
私自身、上手くいかないことが多くありました。30代で未経験の人材育成の仕事に就いたときは苦労しました。複数案件を抱えて許容オーバーになったときに上司に相談したら、「仕事は一度断ると二度とこないよ」と言われて愕然としつつ、必死でやり遂げました。
数年後、上司にその話をしたらすっかり忘れていて、「でもできたでしょ」と二人で笑いあったのが懐かしい思い出です。
また、昔は書くことが苦手でしたが、「あなたの文章にはキラリと光るものがある」と言われ、その言葉を頼りに書き続けました。不思議なもので、気付くと書く仕事がくるようになっていました。苦手なこともやり続ければ力になるのです
つまり、短い承認の言葉が私の原動力となり、私の背中を押してくれたのです。だからこそ、「経験と承認」が私の指導のベースであり、研修で関わる受講者には「一歩を超えてほしい」と、心から思うのです。
仕事は登山にたとえられたりしますが、大切なのは途中でくじけそうになったときに起き上がる力です。一歩を諦めなければ必ずゴールにたどり着きます。そして、その道中はできるだけ楽しいほうがいい。一歩上がればちがう景色が見え、さらに上がると様々な人との交流があり、たまに振り返ると自分の足で歩いた結果がある。
それに気付かせ、一歩を超えさせるのが講師の役目だと思っています。