働き方・生き方
LIFESTYLE ライフ・スタイル
立川談慶【第1回】しゃべり上手よりも聞き上手になる – 落語家・立川談慶に聞く!共感力を高める方法
落語家・立川談慶に聞く!共感力を高める方法
「相手が何を求めているかを把握しないと、発信しても届きません。」
落語家には『共感力』が欠かせない。お客さんが求めることを先回りし笑いをとったり、師匠へ気の利いた振る舞いをして評価されたり。どんなにセンスがあっても、発信力だけでは人の共感を得られないのだ。落語家として活躍するだけでなく、その「気づかい」から数々の著書も持つ立川談慶氏に、『共感力』の高め方について聞いてみた。
波多野匠 ≫ 写真 肥沼和之 ≫ 文 小谷奉美 ≫ インタビュー
(※本記事は、2019年4月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)
しゃべり上手よりも聞き上手になる
僕ら落語家にとって、最も大事なのは共感力です。これは、相手ありきで作られている落語の特性に由来します。欧米のスタンダップコメディは、「I think……(私はこう思う)」と自分が基軸でネタが進みます。一方、落語は「熊さん・八っつぁんが……」というような他者目線。自分なりの価値観も大事ですが、聞いている人がどう思うか、という視点がないと共感されません。もちろんウケもしない。共感と笑いに相関関係がある、それが落語なのです。
なので僕らは、相手の気持ちを読み、半歩先回りして、「こういうことを言えば相手はこう思うだろう」と考え言葉を選びます。このセンス、つまり共感力が身に付けば、落語をする上でかなり有利になります。
では、落語家が共感力をどう磨いてきたのか。それは聞き上手になることです。話を聞くことは、柔道で言うと受け身のようなもの。基本ができないのに投げ技をしたら、ケガをしてしまいます。それなのに、ビジネス書などではしゃべり方を教えようとしがちです。プレゼンでも、立て板に水のごとくしゃべれば成功だと思う人がいますが、それは間違い。まずは『受信機能』をアップさせ、相手が何を求めているかを把握しないと、発信しても届きません。私は師匠の(故・立川)談志から、「個性は迷惑」だとよく言われました。個性とは要するに発信力ですが、駆け出し者が発揮しようとしてもウケないし迷惑なだけ。まずは聞き上手になる。そうすれば、個性は自然とにじみ出てくるのです。
落語家・立川談慶直伝 共感力を高めるための6つの方法 前編
其の1 半歩先を行く
自分がこのような発言や行動をしたら、相手はこう感じるだろう、というメタ認知能力のある人は、周囲からの評価も高くなります。大事なのは相手の『半歩先』を読むこと。3~4歩では行き過ぎです。例えば原稿を依頼されて、水曜日が締切であれば、2日前の月曜日に出す。すると、相手の「締め切りに来なかったらどうしよう」という不安を払拭し、さらに時間の猶予というプレゼントも与えられるのです。
其の2 五感を大事にする
人間は視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の5つが備わっています。つまり、受信機能なのです。しゃべり上手になるには、まず受信力をアップさせることが大事です。一生懸命しゃべりの練習をしても、相手に伝わらないのは、受信力が低いからです。五感を研ぎ澄ませて相手を観察し、求めていることは何かを考えれば、メタ認知能力が自然と身に付いていきます。
其の3 聞き上手な人のマネをする
タレントの明石家さんまさんは、しゃべりの達人というイメージがありますが、実は聞き方がうまいのです。話を聞いて大げさに驚き、笑い、のせていく。すると相手は、自分の話は面白いと錯覚し、無防備になるのです。しゃべりが上手い人は、共感力も高い。目標にする人がいれば、どのような聞き方をしているのか学び、真似することから始めましょう。
講師への講演依頼はノビテクビジネスタレントで!
人間関係を円滑にする生き方指南落語家 立川 談慶 講師のプロフィールはこちら