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遥美香子【第10回】『女性の活躍』~バブル突入?ムーブメントの裏と表~ – 研修講師リレーコラム
遥美香子プロフィール
遥 美香子(はるか みかこ)
人材育成プロデューサー。
1986年度「ミスさっぽろ」受賞。1991年に拠点を東京に移し、フリーアナウンサーとして活動。1994年、大手新聞社傘下のニュース専門TV局のニュースキャスターに就任。後に出版広告界でのキャリアを経て、通信企業の社内研修講師に就き、2010年独立。専門分野:プレゼンテーション・パブリックスピーチ・ブランド構築・CSとES・接客・アンガーマネジメント等。
『女性の活躍』~バブル突入?ムーブメントの裏と表~
今年の日本は「女性出世バブル」時代に突入。その発端は「女性活躍推進法」の制定。今年4月から、該当団体や企業では、義務付けられた各施策に着手。女性管理職30%を目標とする企業は、管理職を目指す女性に昇進チャンス到来!…とここまでは「女性活躍推進法」がもたらす華々しい表側のこと。
一方、「管理職になりたいだなんて思ってないんだけど」とする女性の声も有り。その声は「女性の活躍」ムーブメントの裏側でもあります。企業では一般職や事務職を希望される女性も多く、そのような人材はサポート業務を得意とします。しかし、企業によっては、女性管理職の比率を高めるために、サポート職社員を昇進させることもあることでしょう。リーダーとしての職務をこなせない場合、当人のモチベーションが下がるばかりか、組織のパフォーマンスが低下してしまう恐れがあります。そのアンバランスさを回避するための施策としては、得意を生かし、不得意をカバーし合う制度の運用をお勧めいたします。しかし、それができるか否かは部下を見守る管理職者の取り組み次第。「リーダーには向かないから任せない」ではなく、リーダーの上司がフォローできる体制を作ることも必要です。
かくいう私も、男性上司のフォローで自分の殻を破った経験があります。テレビアナウンサーをしていた頃、当時の男性上司に、私にはハードルが高いと思っていた報道番組のニュースキャスター試験を受けることを薦められました。尻込みしていた私に『報道キャスターを帯番組でやれば、やりつくした!と思える日が来るよ』と上司は声をかけてくれました。さらに『簡単に受かるもんじゃないし、お試しに受けてみようよ。試験の勉強の仕方は教えるよ!』と愛嬌たっぷりの笑顔でいわれ、私は試験に対する度胸がつきました。
「やりつくした!」「帯番組」という言葉でモチベーションを上げて、「試験の勉強の仕方は教える」でハードルを飛ぶための方法があることを伝える。そして、「お試しに」といってプレッシャーを軽くする。たぶん、これらの言葉や接し方がなければ私は試験に臨みませんでした。
結果として、私は試験に合格し、ニュースキャスターを連日担当することに。これも、リーダーとしての実績豊富な男性上司の采配のおかげであったと思っています。部下が持つ未開発の能力に気がついた時、その能力を開花させるための環境を整えるスピードの早さはとても重要です。
その采配力がつくまでは、女性リーダー育成過程に、チームや部下を育ててきた実績が豊富な男性リーダーの協力が加わることも必要。リーダー初心者は素直に貪欲に、先輩である男性リーダーからリーダーシップを学べるような環境も必須です。
男性女性双方が互いを尊重して成長していく社会。それが「女性の活躍」を推進させるための理想の姿ですね。
(※本記事は、2016年10月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)