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長瀬夕祐子【第23回】重要なことは、リーダーが2つの口をそろえる意識をもつこと – 研修講師リレーコラム
長瀬夕祐子プロフィール
長瀬 夕祐子(ながせ ゆうこ)
オフィスangel-gift 代表研修講師・コーチ
日本航空CAを経て研修講師として独立。2000年よりビジネスコーチとなり後続のプロコーチを養成。プライベートではコーチングをいかした2 0 年間の子育て経験をもつ。2003年に質問で問題を明確にする会議・アクションラーニングに出会い現在日本アクションラーニング協会シニアALコーチ。1300回に及ぶ日本企業の問題解決セッションから現在進行形で知見を得ている。目に見えない関係性へ着目し部下の心を結集させる部門長向けコーチング研修は特に人気が高い。
(※本記事は、2021年1月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)
「心を燃やす」リーダーシップ
「あなたには期待していますよ」
よくリーダーから部下に向かって発言される言葉です。同じ言葉をけていても、あるリーダーの言葉は部下のハートに響かずスルーされるばかり。もう一方で、力づけの言葉ひとつで部下の心に火を灯すことができるリーダーもいます。口にする言葉、目力、笑顔、シチュエーションなど、一見両者に違いはないのですが、生じてしまうこの違い。なぜ、このような違いが出てしまうのでしょうか。
「咒」という漢字には口が2つ入っています。2つの口とは、顔についている身体の口と、心の中でつぶやく口の、2つの口を指します。2つの口が揃った時に咒(魔法)がかかるのです。「心の口」から発せられる想いを意念といいます。身体の口から発する言葉と心の口から発する意念の言葉。両方の口から発する言葉が合致した時に、その言葉は初めて本来の「言霊」としての効力を発揮するのです。部下の心を燃やせる言葉を発するリーダーは、2つの口が揃っています。実はこれが大きな違いなのです。
たとえば、あなたがある部門のリーダーだとします。自部門は突如到来したニューノーマル時代に適応すべく、オンライン商談や新規創生に必死に取り組んでいます。しかし結果が出ず、昨対契約件数は落ちています。競合は一歩リードして強力な新規創生企画を打ち出してきました。
こんな状況で、リーダーであるあなたの心はどんな言葉を口にしているでしょうか。身体の口で、「大丈夫だ! 未来を信じて頑張ろう!」と力強い言葉を発していても、心の声の口は「これはまずい、ダメかもしれない、どうしよう?」とザワザワしていませんか?
リーダーの心の声の口が落ち着かずにザワザワしているうちは、残念ながらリーダーが身体の口から発する言葉に効力はありません。身体の口と心の口が揃って、初めて言霊のパワーが効いてくるのです。
2つの口を揃えることは意外に簡単ではなく、日々の修練の積み重ねが必要です。人を育てるリーダーは、ニューノーマルの今こそ、心の修練が求められています。
さあ、息を深く吸って、集中しましょう。自分の心の口は今、どんな言葉を発していますか。リーダーの皆さん、大変革の時代だからこそ、心を燃やしてまいりましょう。
でも、心を燃やす燃料はありますか?